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大王製紙元会長の井川意高氏、政府のギャンブル依存症対策に「童貞と処女がAV作ろうとしているようなもの」

 安倍政権が成長戦略の一つとして成立を目指す通称"カジノ法案"。一方、ギャンブル依存症の懸念から、与党である公明党からも慎重論が浮上している。そこで政府はカジノ入場を週3回・月10回までを上限する規制案を提案。また、入場料として日本人と日本で生活する外国人からは2000円を徴収、マイナンバーカードの提示義務付けによる本人確認も行う方針だ。

■井川意高氏「現場や依存症のことがわかっていない」

 「私に言わせれば、童貞と処女がAV作ろうと脚本を書いているようなもので、まったくピントがずれている」。

 カジノ資金約106億8000万円を関連会社から借り入れていたことが発覚、2011年に特別背任容疑で逮捕され、懲役4年の実刑判決を受けた井川意高氏は、そう指摘する。

 1988年に東京大学法学部を卒業後、祖父が創業した大王製紙に入社したした井川氏は、オーストラリアのゴールドコーストで初カジノを経験。元手の100万円が2000万円にまで増えたことで、味を占めてしまったという。「よくあるパターンで、一番よくないパターン」。

 やがて借金をするようになり、年に数回、マカオでギャンブルを楽しむようになる。2007年に大王製紙社長に就任した後は、ファミリー企業から借りた10億円あまりの赤字額を全て取り返す経験もし、賭け金は一層膨れ上がっていった。2010年頃に借り入れがかさむようになったが、それでも毎週のようにマカオへ足を運んだ。一張りが数千万円単位になり、クレジットカードで3000万円分ほど腕時計を購入、すぐに質屋で現金化したことや、48時間ぶっ続けで遊んだこともあるという。

 2016年12月14日に仮釈放された翌日、国会では統合型リゾート(IR)推進法(通称・カジノ法案)が可決された。これについて「"今度からは日本でお金を落とせよ"という、安倍総理からの出所祝いだったんじゃないですか」と冗談を飛ばす井川氏だが、今回の規制案を「国会議員や官僚、反対運動している人のほとんどはギャンブルを経験してない。時間制限だって、フライトの時間が近くなると賭けが荒っぽくなるので一番最悪。これもやったことない人間の意見。依存症の心理、カジノを経営者の考えも分かっていない。現場を見ないで観念だけで神学論争をしてしまう、日本の悪いところがここでも出ている」と厳しく批判する。

 「一回に50万ドル賭けていた私からすると大した額ではないが(笑)、入場料2000円をさらに上げようという意見も出ている。逆にシンガポールでは8000円の入場料を下げようという議論がある。結局、8000円負けている状態からのスタートという間隔になるので、それを取り返そうと無理をするからだ」。

■高橋洋一氏「パチンコ店などの規制も必要だ」

 元財務官僚の高橋洋一・嘉悦大学教授は「日本人のギャンブル依存症のほとんどはパチンコによるもの。日本でパチンコはギャンブルではないということになっているが、街中にパチンコ店があるのを見た外国人は"日本では子どもが見ているところでギャンブルしているのか"と驚く。アメリカの場合、カジノは郊外の隔離された場所にあり、日常生活でギャンブルできる場所はない」と指摘する。

 また、「カジノだけ規制してもだめ。競馬は農水省。競艇は国交省、競輪・オートレースは経産省、totoは文科省、宝くじは総務省。そしてパチンコは警察庁が所管している。これに新しく加わるカジノはおそらく内閣府になるだろう。各省が予算拡大や天下りに走ると、依存症の拡大にもつながるので、この状況も変な感じだ。今回の案も変な規制かもしれないが、それでもパチンコのように放置され、ギャンブルじゃないから法人税しか取れないという状況を放置しているよりはマシだ。包括的に見る必要があるし、カジノに国際的なルールを入れることで、他のジャンルはどうなっているの?と規制が広がっていくことを期待する」と話す。

 井川氏も「パチンコが悪いとは思わないが、レジ袋からネギを出したような主婦が出入りしているような国は世界にない」と指摘、高橋氏の意見に同意していた。

■依存症患者からも懸念の声

 今回の規制案について、メイドによるカジノをイメージした「アキバギルド」(東京・秋葉原)の来店者からは「入った時にお金をたくさん使っちゃえば同じ。回数を制限してもあまり意味がないのでは」「パチンコ屋には規制がないし、カジノにも規制はなくてもいいんじゃないか」といった意見が聞かれた。

 日本初のカジノディーラー専門学校として、海外のカジノに多くの卒業生を輩出してきた「日本カジノスクール」(東京・新宿)の大岩根成悦社長は「あまり規制を厳しくしていくと楽しめないカジノになってしまうのではないか」と話す。

 ギャンブル依存症の人たちはどう感じているのだろうか。50名以上が共同生活を送りながら社会的自立を目指す回復施設「グレイス・ロード」(山梨県甲斐市)の入所者、山口太郎さん(28歳、仮名)はカジノ法案について「自分と同じようになってしまう人も増えてしまうのではないか」と懸念を示す。バカラにハマって闇金にまで手を付け、借金の総額は300万円を超えた。「手元にお金があれば行ってしまっていた。もうお金じゃなくて、満たされない気持ち。"あと1回勝つまで"、とやめられなかった」。

 また、自己破産した志村孝明さん(24歳、仮名)は、「ずっと逃亡生活。地元は兵庫県なんですが、東京まで逃げて見つからないように過ごしていました。逃亡中も友人からお金を借りてギャンブルを続けました。ヤバいなと思いつつ止まらない、止めたいと思っても、借金を返さなければいけないという思いもあるし…」。

 井川氏は「私は規制緩和論者なので、経済効果が見込めるなら緩和すればいいと思うが、依存症の根本的な対策は、そもそもカジノを作らないことではないか。パチンコや公営ギャンブルもやめるしかない。私も周りに迷惑をかけたが、あくまでも個人の問題だと思う。日本はパターナリズムの国なので、他人の人生にも干渉しすぎる。自分が責任の取れる範囲でやれば良く、取れなかったら私にようにけじめをつけようという発想がなかなかない。もう少し自立する必要がある」とも指摘した。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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