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仏、深刻な農業の地盤沈下


トップ写真:国際農業見本市(SIA)2018に参加するマクロン大統領
出典)エマニュエル・マクロン Twitter

Ulala(ライター・ブロガー)

【まとめ】

・農業大国フランスでパリ『国際農業見本市(SIA)2018』が開催中。

・生産農家は低収入に苦しんでいる。

・マクロン大統領、設備投資への補助金など農業保護策打ち出した。

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されず、写真の説明と出典のみ記載されていることがあります。その場合はhttp://japan-indepth.jp/?p=38677で記事をお読みください。】 


現在、2018年2月24日~3月4日の期間で、農業大国・フランス、パリ『国際農業見本市(SIA)2018』が開催されています。例年多くの入場者を集め、特産品目当ての買い物客から政府高官までが詰めかけるフランスの国家的イベントである農業見本市。そんな農業見本市開催の2日前の2月22日、エマニュエル・マクロン大統領により、エリゼ宮に若い農家約700人が招かれました。

▼国際農業見本市に参加した農家から話を聴く様子(マクロン大統領Twitter)

国際農業見本市2018 会場の様子
▲写真)国際農業見本市2018 会場の様子
出典)国際農業見本市2018

現在フランスの農業は、次世代への対応の遅れもあり、グローバル世界での競争力に押され多くの農家が苦戦しています。特に2016年に大きく問題とされて衝撃的だったのは、月収が350ユーロ(約46000円)未満であった農家が30%もあったという事実。

経済危機の影響や、輸入による価格の下落により生産農家も収入の減少に頭を抱えていますが、減少しても利益があるならまだいい方と言え、っと問題なのは収入が生産費用を下回ることです。

例えば、2012年には養豚業者は45200ユーロの収入があったのにもかかわらず、2年後の2014年には22100ユーロと収入が半減。フランス北部にあるブルターニュでは、現在、豚の農家の約40%、または200の農場に相当する農家が倒産寸前となっています。それもそのはず、豚肉の生産コストは約1.75ユーロ/Kgかかるのにもかかわらず、スーパーマーケットでは販売価格がKg当たり約1.50ユーロで売られているのです。

それは乳製品に対しても同じことが言えます。経済危機の影響で乳製品の売れ行きが急激に悪化しました。生産コストとして、32~35ソンチーム/Lかかるため、作り手には40~45ソンチーム/Lが入らなければ最低限の生活ができないのにもかかわらず、実際には20~23ソンチーム/Lで取引されているのです。

この結果、2016年9月から2017年9月までの農業企業の倒産件数は1281件、過去12カ月間に比べて6.7%の増加。農家の30%は2016年に1カ月あたり350ユーロ未満の収入であることも含め、全体の平均収入は1年あたり13000〜15000(約171万円~197万円)ユーロ、1カ月あたり1083〜1250ユーロ(約14万円~16.5万円)と、国が定める最低賃金のSMIC(2017年)の1480.7ユーロ(約19.5万円)よりも下回っているという生活。そして、さらにヨーロッパから援助が削減される話が上がって追い打ちをかけます。

フランスの畜産の様子
▲写真)フランスの畜産の様子
出典)国際農業見本市

中国産のリンゴやチリ産のキウイなど国際競争が激化する中で市場価格の下落に対抗する術もなく、毎日8時間から14時間の労働に加え、週末も働くという過酷な労働に耐える農業従事者。現状を受けて、親の仕事を継がないことを選ぶ若者が増え、それに加え安価な牛肉を輸出する南米との貿易協定に署名する場合、フランスは「20~25000戸の農場を失う」と推測されており、フランスの未来の農業の担い手の減少も心配されています。

またフランスで、中国企業が地価の安さと地方部の困窮に乗じて農地買収を進めているという懸念も広がっていますが、すでに、ワインを栽培するのシャトーでは現在100件以上が中国資本の手が入っていることは事実。

以上のようにフランスの農業は深刻な問題を抱えている中、Odoxaの調査によると、フランス人3人のうち2人以上(69%)が、マクロン大統領がフランス農村問題に関心がないと考えていました。そこで、関心がないというイメージを払拭する狙いもありマクロン大統領が若い農業従事者をエリゼ宮に招いたのです。

「希望をつぶやくためにここにいるのではない。改革を実行するためにここにいる。」

という言葉から始まった演説では、新設備投資などに対しての補助金を出すことを約束するとともに、心配されている安価な南米からの牛肉を輸入しないことや、海外投資家による農場買収の阻止につながる措置を講じる構えを述べました。

現在のフランスの食料の自給率は127%、農用地面積は国土の約52%を占め、農産物輸出額は、米国、オランダ、ドイツ、ブラジル次ぐ世界第5位の農業大国。

図)先進国の食料自給率の比較
▲図)先進国の食料自給率の比較
出典)農林水産省

第二次世界大戦後深刻な食糧危機に陥ったフランスは、農作物生産増のためにここまで努力してきたのです。そして今後も継続が望まれるところ。国外との競争にどのように対応していけるか、マクロン政権での対応はとても重要となってきます。

国際農業見本市会場に並ぶフランス産の食材
▲写真)国際農業見本市会場に並ぶフランス産の食材
出典)国際農業見本市

パリ『国際農業見本市』では、そんな、忍耐と努力の上に作り上げられたクオリティー高い美味しい食材がフランス全国から集められ、それを求めた人々が各国から人が集まり大盛況。いろいろな苦境を乗り越えながらも守り続けているフランスの農業の伝統と味が楽しめるフェアーでもありますが、マクロン大統領をはじめとする、政治家たちの対応が注目される場にもなっているのです。

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