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韓国LGからの客人――その2

また、わが事務所に韓国5大財閥の一つLGグループからの来客がありました。昨年9月は、LGコミュニケーションセンターからのお客さんでしたが、今回はLG経済研究院からのお客さんです。日本製造業の今後の競争力について研究をしているそうで、意見を聞きにこられたんです。

事務所にこられたのは、LG経済研究所(中国)所長の朴来正さん、LGエコノミック・リサーチ・インスティチュート、シニアコンサルタントの柳尚潤さん、同エコノミストのイ・ジスンさんの3人です。


※左から朴さん、イさん、柳さん、筆者

日本の製造業は、このところ活気を取り戻しつつありますよね。

国内家電メーカーは、失われた20年の間、雇用、設備、債務の三つの過剰の清算や構造改革、コスト削減など内向きの改革に終始し、その間に韓国のサムスンやLGをはじめとする新興国企業に追いつかれ、追い抜かれました。

しかし、ご存じのように例えばソニーは、今期、史上最高益を見込みます。パナソニックも今期は増収増益見込みと好調です。むろん、サムスンの5兆円の営業利益には程遠いですが、復活の兆しが見える。韓国でも、“日本製造業の復活”が、よくいわれているんだそうです。

今回は、日本の製造業は本当に復活しつつあるのか、なぜ復活したのか、競争力はどこにあるのかなどについて、話を聞きたいということだったんですね。

大きく三つの話が出ました。一つは、アベノミクスの効果など円安をはじめとする政策の効果です。二つ目は、パナソニックやソニーの近年の改革についてです。利益重視や、モノづくりからコトづくりへの変化に興味をお持ちでした。三つ目は、日本製造業の今後です。いまは高収益をあげているが、今後、どうなっていくのかという話ですね。

詳細は割愛しますが、中国やインドなど勃興期の国は、産業政策の主導のもとで経済成長するのに対し、日本はもはや、政策主導ではなく各企業がそれぞれの事業戦略を描いたうえで成長する段階にあります。労働規制や電気料金の高さなど、国が主導して改善すべき点はありますが、足下の日本製造業の好業績は、政策によって導かれたものというよりは、企業が自ら稼ぐ力をつけた結果といえると思います。

それから、パナソニックやソニーは、バブル崩壊後、時間はかかりましたが、売上高重視から利益重視へ舵を切りました。2012年に両社とも社長が交代し、ようやくその方針が定着しつつあります。日本企業は、こうした方針の転換に非常に時間がかかるという点は弱点です。今後、よりスピーディな経営が求められます。

製造業の課題としては、単品売り切り型のビジネスから、ソニーのいうリカーリング型ビジネスのように、継続的に収益をあげられるビジネスモデルへの転換が進められています。それが、いわゆる“コトづくり”でもある。ICTの時代、求められるのは、利用者の視点に立ち、付加価値の高いサービスを、製品と一体で提供するビジネスモデルです。

1時間半ほどのうちに、アベノミクスの効果や、規制緩和、製造業の国内回帰の理由など、マクロからミクロまでさまざまな話が出ました。グローバル経済、日本経済、さらに製造業の課題などについても鋭い質問を受けました。

彼らは、この後、重電メーカーに話を聞きにいくといっていました。いまや日韓の企業の立ち位置はずいぶん変わりました。そして今日、クローズドよりオープンが志向される時代となりました。広く窓を開いて、互いに学ぶ姿勢を持ち続けることが理想ですよね。そのことを強く感じました。

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