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アングル:シンガポールが警戒、武装攻撃は「時間の問題」

Fathin Ungku John Geddie

[シンガポール 4日 ロイター] - テレビ画面や巨大ポスターが武装勢力の脅威を警告する駅構内では、武装した警官がパトロールしている。近くでは偽物の銃で武装した男たちがショッピングモールを襲うといったシミュレーション訓練が、最近になって頻繁に行われている。

ここは、どこかの内戦国ではない。世界で最も安全な国の1つ、シンガポールで起きている話だ。

この裕福な島国は、武装攻撃を防ぐことにかけては、ほぼ完ぺきな実績を誇る。だが、東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会合を今週開催するにあたり、地域における武装勢力の拡散を食い止めることを最優先課題とすべき、もっともな理由がこの国にはあるようだ。

コスモポリタンな金融ハブで知られるシンガポールは、東京に次いで安全な都市だと、英経済誌エコノミストの調査部門エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)の2017年インデックスから評価を受けている。

だが、イスラム教徒が多数を占める隣国が発端となる場合も含め、シンガポールは長年武装勢力の標的となってきた、と地元当局者は指摘。攻撃は「起きるかどうか」の問題ではなく、それが「いつ起きるか」という問題だ、と彼らは強調する。

「シンガポールは引き続き、ここを価値ある標的とみなす国内出身の過激派と外国人テロリストの双方による深刻な安全保障上の脅威にさらされている」と、内務省はロイターの取材にメールで回答した。

1990年代からイスラム過激派の標的となってきたシンガポールだが、近年になって、西側諸国を狙った攻撃増加や、過激派組織「イスラム国(IS)」が昨年フィリピン南部の街を一時占拠したことを受け、攻撃回避に向けた取り組みを大幅に強化している、と当局者は語る。

シンガポール出身の戦闘員がISの宣伝映像に現れ、12月には他の戦闘員とともに男性たちを処刑している映像が流れたことも、懸案材料だ。

内務省が昨年初めて作成した「テロ脅威の評価報告書」では、シンガポールがISの「レーダー上」にあり、その脅威は「近年で最高レベル」に達していると指摘。安全保障の専門家も、この見方に同意する。

「シンガポールは、ここが安全だと知られているがゆえに、リスクの高い標的になりやすい」と、米保険関連企業エーオンのアジア危機管理責任者で、元英陸軍大尉のダン・ボールド氏は語る。

「フィリピンで攻撃があっても、そのニュースは短時間しか注目されないだろうが、多国籍の人々が働くシンガポールで攻撃があれば、何日も注目が続くだろう」

2017年初めに、エーオンは、テロ攻撃と政治的バイオレンス分野におけるシンガポールのリスク評価を「ほとんどない」から「低リスク」に引き上げた。

<モバイルアプリ>

実際これまでのところシンガポールは、近年ニューヨークやロンドン、ベルリンなどの主要都市を襲った過激派による攻撃を逃れてきた。

国際的シンクタンク、経済平和研究所(IEP)による昨年のグローバル・テロリズム・インデックスで、世界でも最も低リスクな国の1つとして評価されたのはそのためだ。2001年に米国で起きた同時多発攻撃以降、この国ではテロ関連の攻撃は1件も報告されていない。

だが、国民の4人に3人が、過激派の攻撃発生は時間の問題だと考えていることが、サンデー・タイムズ紙の昨年の世論調査で明らかになった。

シンガポール当局はもちろん、市民に油断しないよう戒めている。学童を含めた市民全員は、緊急アラートを受けたり、疑わしい状況の写真や動画を当局に送ったりできるモバイルアプリ「SGセキュア」をダウンロードするよう奨励されている。

内務省によれば、昨年末時点で130万台以上のデバイスにこのアプリがインストールされたという。この国の人口560万人の相当な割合だ。

テロ攻撃に備えたシミュレーション訓練も定期的に行われており、最近では、セントーサ島の児童向け施設を銃を持った覆面の男が襲うという想定の訓練が行われた。

シンガポール軍は先月、過去30年で最大規模の動員演習を実施。銃で武装した男が国立スタジアムを襲ったという想定で、省庁間の連携も確認した。

当局者は昨年、IS武装勢力が2016年前半にシンガポールで攻撃を検討していたという信用できる情報があったことを明らかにしており、この計画は未然に阻止されたという。

世界最大のムスリム人口を擁する隣国インドネシアは2016年8月、シンガポールの有名なリゾートホテル「マリーナベイ・サンズ」を狙ったロケット砲攻撃を計画したとして、ISとつながりのある容疑者6人を逮捕、訴追した。

インドネシアと、シンガポール北側の隣国でムスリムが多数を占めるマレーシアは、国民数千人がISに共感しており、数百人が同組織に加わるためシリアに渡航したとみている。地域の安全保障当局者は、その多くが、中東におけるISの退潮を受けて故国に戻ってきていると話す。

<強硬策>

シンガポールは過激派勢力に対して強硬姿勢を取っており、ラジャラトナム国際研究院のビルベール・シン氏は、それがこれまでの成功の理由の1つだと語る。

当局の手法の中で、最も議論を呼んでいるのは、植民地時代に作られた、裁判なしに長期間被疑者を拘束することができる国内治安維持法(ISA)だ。

内務省は、この法律を根拠に「テロ関連」行為で現在20人を拘束しており、2002年以降では90人近くを拘束したとしている。

「ISAは素晴らしい抑止策で、これまで有効に機能してきた」と、シン氏は言う。

また、シンガポール当局は近年、過激派との関連が疑われる外国人数十人を国外退去処分にした。10月には、ジンバブエとマレーシア出身の著名ムスリム聖職者2人についても、その見識が非寛容を助長し、社会の和を乱す恐れがあるとして入国を禁止している。

(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)

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