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何者かになれるもの

2011年12月25日 22:34

湯浅 哲徳

アメリカのハリウッドはすごいらしい。ぶったまげるような規模で映画が生み出され、全世界でぶったまげるような売上を叩き出して行く。かれこれ何十年も前から、それも毎年毎年、私たちをたくさん楽しませてくれる。アメリカが世界に誇る一大産業だろう。

ところ変わって日本でも、かれこれ20年以上前から私たちを楽しませてくれているものがある。テレビゲームだ。「テレビゲーム」が生み出されてきた背景には、それはものすごい努力があったのだろうと思う。

私は小さい頃からファイナルファンタジー・シリーズが大好きなのだが、50時間くらいかけて「映画のような世界を自分で体験していく」そのストーリー性に魅かれていた。ファイナルファンタジーには各タイトル毎に「テーマ」が設定されていると、勝手に解釈してプレイしていた。例えば7は「環境」、8は「愛」、9は「命」といった具合に。

期末テストの前日に新作が発売された日にはもう大変だった。忍耐力の無い私はテスト勉強そっちのけで新作ゲームを夜通しプレイしたものだ(笑)余談だが私が一番好きだったのは「9」ジダンの世界。(無意味にエンディングを貼ってみる。ネタバレ要注意!)

話しがそれてしまった。各タイトルごとに、いろいろと書きたい事はあるのだが長くなるのでこの辺にしておこうと思う。「映画のような世界を自分で体験していく」という意味で、アメリカのハリウッドに近いものの一つとして「テレビゲーム」があるのではないだろうか。日本にも、かくも深い物語を生み出すチカラがあるのだ。

しかも最近の作品を見てみると、「映像」としてのクオリティも物凄く高い。下記のトレーラーなど、わざとゲームっぽくしているのかもしれないが、まるで実写のようだ。

テレビゲームなのか、映画なのか、もはや境目はあまり無くて、それはただコンテンツが作られる「文法」が違うだけなのではないか。もちろん、これらが小説やマンガになったっていい。ただ映画や小説・マンガなど、「用意されたものを読み進めて行く」のとちょっとだけ違うのは、自分で動かして自分で進んで行くというところだろうか。そういえば、登場人物に「名前がつけられる」という機能もいつの間にか当たり前につくようになっていた。

登場人物に自分の好きな「名前がつけられる」。自分の名前をつけるもよし、ヒロインに自分の好きな相手の名前を付けるもよし。これって実はすごく大切な事なんじゃないかと感じた。

 映画  : 用意された物語を第三者的に楽しむ
 ゲーム : 用意された物語の主人公が自分

機能的にはほんの少しの違い。ただ、楽しむ方はもしかすると全然違う受け取り方がされるのかもしれない。たった少しの事がもしかするとびっくりするくらいの「没入感」を生むのかもしれない。

当たり前なのだろうけれど、どんな時代においても「何者にも成れない人がほとんど」である。しかし、例えば50時間程度のゲームの中だけでも「自分の名前が付いた主人公が大冒険し、何事かを成す。」何者かを追体験できる物語があらかじめ用意されている。

 ・ 何者にもなれないが、何者かの追体験ができる。

最近、「怪盗ロワイヤル」や「ドラゴンコレクション」など、テレビゲームではなく「ソーシャルゲーム」が着実に人気を伸ばしているらしい。これらが人気になる背景として、多少なりとこれが関係しているのかもしれないと感じた。

 映画  : すごく面白い物語を見る
 ゲーム : すごく面白い物語の主人公が自分

ソーシャルゲームというのは、こういっちゃなんだが「あらかじめ用意されている」物語はそんなになくて、どちらかと言うと、誰かに手伝ってもらったり、誰かに教えてもらったり、誰かと協力したりする、だけれど、自分一人でもやっていける。この柔軟性に面白さがあるのかもしれない。

 ・ ソーシャルゲームは「物語をつくるのも自分(たち)」

ということなんだろうか。ここまで委ねつつも、それでもハマるものを作る。それはそれでまた物凄い試行錯誤の連続なんだろうけれど、仮に「物語を作るのも自分(たち)」という事が当てはまるのであれば、これはもしかすると、

 ・ 何者かになれるもの、それがソーシャルゲーム。

という事になるのだろうか。だとすると、人気が高まるのもうなずける。いろんなコンテンツがあって、それぞれ特徴のある「文法」で描かれていてそれぞれに面白い。と同時に、すごく消化しきれない面白いコンテンツたちに満たされているのも事実としてあると思う。

今でも十分に面白いソーシャルゲームはいくつもあると思うのだけれど、何十年かけて育ってきた「映画産業」や「テレビゲーム産業」のように、どんどん成長してクオリティが高くなって行く未来を想像すると、なんだかワクワクする。なんたって、ソーシャルゲームはまだ生まれて3年くらいなんだ。

誰かが用意した物語でもなく、物語そのものを自分たちでつくりあげる。既に満たされているが何者にもなれない時代に、何者かになれるものを。そう考えると、なんだか今という時代のニーズを的確に捉えているのではないだろうか。

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