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外国からの圧力なしに日本で根本的改革が進んだ例は少ない - 「賢人論。」第55回赤羽雄二氏(中編)


日本人の資質には、良い面と悪い面があると主張する赤羽氏。「自分の頭でものを考え、積極的に行動する」という能力に乏しい日本人は、どうすれば日本人的資質を良い方向に活かすことができるのか?今後の日本が向かうべき方向性について、話を伺った。

取材・文/ボブ内藤(編集部) 撮影/公家勇人

高齢化問題は、日本人が自らの力で解決しなければならない

みんなの介護 日本人が「ことなかれ主義」や「出る杭は打たれる」社会を脱するための処方箋はありますか?

赤羽 とにかく日本人に欠けていると思うのは「自分の頭でしっかりとものを考え、積極的に行動する」という能力と習慣です。

例えば、生命保険なども過剰に保険に入っていると思われます。「とにかく保険に入っておけば安心」という考えで、保障の種類、条件、幅などを考えずやみくもに保険商品を購入している人が多いのではないでしょうか。

みんなの介護 「自分の頭でしっかりとものを考え、積極的に行動する」という能力があれば、そうした無駄は回避できるわけですね?

赤羽 そう思います。自分ではあまり考えず、うのみにしたり、あるいは現状の問題を政治家や行政のせいにし不安や不満をひたすら抱き続けたりする、というのはちょっと残念な姿勢だと思います。これは一人ひとりだけの問題ではなく、企業も官公庁も政治家も同様になんでこうなんだろう、おかしなことが続くんだろうとよく思います。

例えば、医療において、保険が適用されるのは厚生労働省が認めた治療法や投薬に限られ、それ以外の方法は「自由診療」になります。そこまではまだ理解できるとしても、一部だけ保険外の治療法が入ると、全額が自由診療になるのはなぜでしょうか。役人はもっともらしい説明をしますが、納得できないことは多いと思います。その点を突っ込むと、根本にある省益重視の考え方が出てきます。

みんなの介護 政府の福祉政策のみに頼るのではなく、市場原理を導入してサービスを自由に選べるようにすることが、介護・医療にとって望ましいのでしょうか?

赤羽 市場原理だけではなく、もっとよく考えた行動を取ることができるように変わっていかなければならない、と思います。言い換えれば、自分たちで議論し、よりよい方向に大きく変えていくということが比較的苦手な国だと思います。

これまで日本が何かしらの根本的な改革を進めることができたのは、海外などの外圧に影響されたときではないでしょうか。大政奉還、明治維新を進めることができたのは黒船が来航して開国を迫ったからですし、戦後の高度経済成長も、敗戦によって既存勢力・既得権益者が一掃され、新しい世代が台頭し大活躍した結果、実現したと理解しています。国の危機になるような大きな力が働くと俄然がんばって、力を発揮する国民性です。

しかし、現在の深刻な高齢化と介護の問題には、そのような外圧がありません。つまり、他国からの圧力なしに日本人が自らの力で解決していかなくてはならない。そういうときに力を発揮するかどうかは、過去の例からは微妙と言わざるを得ません。一刻も早く「自分の頭でものを考え、積極的に行動する」という能力を醸成し、ものごとを前に進ませるべきだと思います。


「年齢」というレッテルに、日本人はこだわり過ぎている

みんなの介護 人間なら誰しも、自らの「老い」というものに直面しなければなりません。そのことについて、どのように考えれば良いと思いますか?

赤羽 再生医療や創薬の技術は、「死ぬ瞬間まで、なるべく若々しく生きたい」という気持ちを実現する方向にどんどん進んでいくでしょう。

ところが日本では、寝たきりになりつらい状況のままで生きるということがかなり続きます。私はそういうふうには絶対なりたくありませんし、人間の尊厳にも関わる問題だと思います。延命治療をどこまですべきなのかなども含めて、私たちは真剣に考え、行動できるようになる必要があります。

みんなの介護 赤羽さんご自身60代を迎えられましたが「老い」にはどう向き合っていますか?

赤羽 健康については、ストレスを感じない、ストレスを溜めない、暴飲暴食をしない、過度な飲酒をしない、ということを常に意識をしてきました。そもそも私は酔うという状態が好きではないので、お酒でストレスを紛らわすことはしませんし、週に1回は必ずテニスをして身体を動かすようにしています。とはいえ、これは「60代だから」とか「年相応に」などと年齢を考えてしていることではなく、昔から常に意識していたことでした。

だいたい、日本人は「年齢」というレッテルにこだわり過ぎるところがあり、違和感を感じます。20代であろうが40代であろうが70代であろうが、健康を維持することは誰にとっても大事なことだし、それを維持する方法をいろいろ工夫する必要があります。年齢を過度に意識するのではなく、人生をもっと前向きに捉えればと思います。

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