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なぜ報道は平昌オリンピックの失敗を期待するかのようなものになるのか

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http://www.huffingtonpost.jp/2018/02/10/pyeongchang-olympics_a_23358038/
2月9日、平昌オリンピックの開会式終了後、まさにワタクシはこの写真の場所で最寄りの珍冨駅行きのシャトルバスを待っていた。

翌朝、以下の見出しの新聞記事を読んで違和感を持つ。

平昌オリンピックの開会式後、深夜におよぶ大混乱 「電車は終わりました」
気温は零度を下回り、冷え込んでいく。音楽を流して楽しむ団体もいれば、イライラし出す人も。
遅々として進まない行列に、ある米国人男性は「輸送で、五輪の評価は決まるよね」。
1時間かかってバスに乗った時には、日付が変わっていた。

うむ。

もちろん「イライラし出す人」はいただろうが、大声を上げたり、係員に文句を言っている人はワタクシが知る限りではいなかったぞ。

加えて、「輸送で、五輪の評価は決まる」って・・そうなのか??

「ある米国人男性」の、このコメントを採用するなら、少なくとも彼が体験したどの五輪が素晴らしくて、どの五輪がダメだったのかを具体的に引き出して書くべきだろう。選手が持てる力を発揮し合える環境と、競技そのものこそが良い五輪の基準だと思っていたが、「輸送」が基準となる根拠がもっと知りたい。

もしくは、日本の、普段からの終電の混み具合等を鑑みれば、五輪時の輸送は対応できるのだろうか?と言うのであればまだわかる。

先日の大雪時の日本の混乱ぶりも記憶に新しいからこそ、首都圏の交通事情に対して何かしらの対策をとるべきであろうことを示唆させる記事になったはずである。

午前1時になろうとするころ、駅に続々と、満員のシャトルバスが到着した。東海岸の江陵(カンヌン)駅を目指す人が多い。だが案内する警察官の答えは「もう電車は終わりました」。思わずみんな天を仰ぐ。駅内にある出発時刻の案内画面も消えてしまった。

この状況は午後11時50分頃に珍富駅に着いた私たちにも起ったが、一方で江陵駅行きの一番線ホームに上がるところでのセキュリティチェックは行なわれていたし、人の流れを見れば電車が来るであろうことはわかった。

ホームに上がって3人程の韓国人男性たち(ボランティアかどうかわからなかったが)「に聞くと電車の時刻も教えてもらえた。

ほどなく12時12分に電車が来るとのアナウンスが。続いて、5分程遅れることを詫びるアナウンスも。韓国語と英語で。
チケットはなくても電車の中で買えます、ということも、何度も流れた。

タクシー乗り場に数十人の行列ができた。だが、ここは深夜の田舎駅。タクシーは30分に1台ほどしか姿を見せない。やがて「江陵駅へ車で輸送する」という案内が。一気にそちらに行列が移る。

田舎駅・・・。「地方都市」と言うべきところではないか。

今度はカナダ人の女性が走ってきた。「1番線に電車が来るって!」。その声を聞き、人々は一斉に駅へと走り出した。江陵駅行きの電車がようやくやって来ると、人々をのみ込んで走り去った。

記事は続いて「英語スタッフが少ないことも拍車」という見出しで以下に続く。

混乱に巻き込まれたのは、欧米系の人たちが中心だった。英語が話せるスタッフは少なく、片言でのもどかしいやりとりが、あちこちで見られた。

韓国語を読めない、話せない日本人も基本状況は一緒だった。

いや、前述通り、アナウンスは韓国語と英語で流れていたから、日本語しかできない日本人はかなり困ったはず。

なぜこの記事が「英語スタッフ」が少ないことを特筆するのかわからない。

一般のスタッフは片言であろうが、方々で英語は通じることは実感したもの。

タクシー乗り場で待ちぼうけをしていたスイス人女性は、ホテルの住所を印刷した紙を持って困り果てていた。「どうやって行ったらいいの? 携帯の電池も切れちゃって」。書かれた住所は平昌エリアだが、駅からは遠く離れた場所だった。

さて、こうして結ばれた記事。

一番の不思議は、現地の運営スタッフ、駅員、もしくはその場にいるであろう日本人も含めた観光客への取材が全く見えてこないことだ。

答えているのは「ある米国人」と「カナダ人女性」のみ。

彼らのプロファイル、つまり韓国、そしてオリンピックの開会式に来るのは初めてなのか等々の記載もない。

あのラインに並んでいれば、新聞記者でなくとも、オリンピックの開会式に来ている観光客、特に欧米からの場合はある意味「旅慣れた人」が多いことに気がつくはずだ。

何しろ帽子には各地で行なわれたオリンピックのピンバッヂを付けた人率が高い(笑)また「これがコリアンキューよ」と秩序なく並ぶことにも慣れている。韓国社会の、直前まで準備はできていないが最後はなんだかんだでつじつまがあうことも経験積みといった趣だ。(ソウルの公式グッズショップ周りも前日に木材を切っていた笑)

そもそも、今回、このフリーの輸送バスを使っているのは、基本ツアー客ではない。

そもそも帰りの足を心配するなら、この無料のシャトルバスは利用しない。

高級ホテルも独自でシャトルバスを出していて、事前に旅行会社に申込をすることが可能だからだ。

宿泊費が高騰したこともあり、ワタクシたちも含めてその選択肢をとらなかったフリーの観光客はサバイバルに対してある種の免疫ができているし、混乱を予想した上でつっこむ決断をしているとも言える。決して「不意」というわけではなかった。

ちなみにそうした者にとっては「行き」のシャトルバスの運営は、驚く程スムーズだったことも付け加えたい。

平昌オリンピックに関する報道を見ると、「寒さ」に対する過剰な報道も含めて、多かれ少なかれマイナス側面を大げさに印象づける内容になっているような気がする。

まるで失敗を期待するかとも取れるような。

その心象こそ、考えなければならない「危機」のような気がしてならない。

開会式で日本選手団が入って来た時の歓声は意外なほど大きかった。

両国の関係が今までになく悪い、との危惧を持っていたが、そんなことはなかったことに、以下に生の情報から遮断されていたのかを痛感させられた。

いろんな報道があって良いと思うが、少なくとも公共性を担うという自覚と、基本的な押さえポイントは把握していてほしいと願う。

当然ながら多くの人は報道を通じて事象に触れるのだから。

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