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「愛国心でなくナショナリズム招く」軍事パレード計画、米国内から一斉に拒否反応


Christopher Lyzcen / Shutterstock.com

 トランプ大統領が軍事パレードの検討を水面下で指示していたことがわかった。アメリカ軍の武力誇示が目的と見られるこの計画に対し、民主主義を重んじるアメリカの精神を逸脱するほか、北朝鮮のテポドンの披露やソ連時代の赤の広場の行進を想起するとして、議員や退役軍人らを中心に各方面から批判が噴出している。

◆パリ由来の極秘計画

 パレード計画はトランプ氏の指示のもと、極秘事項として国防総省内で検討が進められていた。ワシントン・ポスト紙(2月6日)によると、同紙が計画の存在を報じたことを受け、ホワイトハウスのサンダース報道官が正式にこれを認めた。危険を冒して国の安全に貢献している軍人に米国民が感謝する機会を設ける趣旨だとサンダース氏は説明している。記事によると、5月28日の戦没将兵追悼記念日など複数の候補があがっており、場所についてトランプ氏は、ホワイトハウスと国会議事堂を結ぶペンシルバニア大通りを希望している。

 同紙は、フランスで昨年7月に行われたパリ祭がきっかけだとしている。兵士、戦車、戦闘機などが華々しく登場する祭典を目にしたトランプ氏は、帰りのエアフォース・ワン機内で心酔した様子を見せた。ペンタゴンに対し「フランスのようなパレードが欲しい」という指示を極秘で出したとされる。

 ニューヨーク・タイムズ紙(2月8日)は、実はパレード案は大統領就任前後から検討されてきたと報じる。就任演説の際に軍事パレードの開催を希望したトランプ氏だが、式典を担当する委員会による検討の結果、あえなく廃案になった。パリ祭の観覧で再び火がついたトランプ氏は、9月の国連総会の際にフランスのマクロン大統領に対し、アメリカ版を実施する意向を伝えていた。

◆まるで独裁政権

 問題はこの計画にアメリカ国民が強く反発している点だ。ニューヨーク・タイムズ紙は、議員らの反応は芳しくないと伝える。下院軍事委員会の民主党代表は、「(トランプ氏という)一人の人間に過度にフォーカスしたこのような軍事パレードは、民主政治ではなく、独裁政権が行うものだ」と強く反発している。過去には第2次大戦終結の際にパレードが行われたが、アメリカ国民の協力を讃える目的であった当時とは目的が大きく異なる。

 共和党議員でさえ計画に乗り気でない。同紙によると、ソビエトのように兵器を誇示するパレードはむしろ弱さを露呈するとの懸念があがっている。別の共和党議員は自信のない者ほど大声でわめくとの例えをあげ、すでに世界が実力を認めるアメリカの軍事力を誇示する必要はないとの考えを示している。

 ワシントン・ポスト紙では、ほかにもさまざまな角度から問題点に切り込んでいる。ソ連や北朝鮮のパレードの想起や、軍へ敬愛の精神は育まれないであろうこと、冷戦時代への回帰を思わせる点、そして愛国心でなく北朝鮮のようなナショナリズムを招くなど、懸念は尽きない。

◆むしろ軍の任務を阻害

 こうした問題に加え、より現実的な壁も立ちはだかる。政治メディア『ポリティコ』は、第2次大戦以降で最大となった1991年の軍事パレードでは、およそ8000人の兵士と1200万ドルという巨額の資金が投じられたと報じる。現在は91年当時とは異なり、世界中に派遣されたアメリカ軍兵士が、予算とリソース不足に苦しみながら海外で危険に身をさらしている状況だ。退役軍人や議員らは、パレードにより軍本来の任務が阻害される恐れがあるとして、このような計画は受け入れられないと洩らす。

 ワシントン・ポスト紙も類似の観点から懸念を示す。軍の準備体制の不足と予算の欠如をマティス米国防長官が訴える中、高くつくパレードを実施すれば、米国内に火種をまく危険性がある。また、1台につきおよそ70トンにも達する戦車がペンシルバニア大通りを行進することになれば、舗装が耐えられないという物理的な問題も存在する。トランプ氏肝いりのパレード構想だが、各方面から再考を求める声が上がっている。

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