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日本eスポーツ連合のプロ制度を至極真面目に分析してみる

さて、かねてより懸案となっていたeスポーツの統合団体、日本eスポーツ連合の設立発表会がありました。以下、ASCIIより転載。
「日本eスポーツ連合」誕生、プロライセンス発行も
http://ascii.jp/elem/000/001/625/1625425/
ただ、これだけ僕が間違ってるといってるにも関わらず、いまだ関係者がそこここでスポーツのプロ制度を例示しながら自身のライセンス制度を語ってるなんて情報が聞こえてきておりまして、正直辟易としているところであります。別エントリに纏めたとおりですが、どの企業に権利が属するものでもないパブリックコンテンツたるスポーツと、どこまで行っても究極的には「特定企業のいち商品」でしかないゲームを景表法上の取り扱いで同列に語ることは大きな間違いです。

とうことで、コチラはコチラで彼等の制度の問題点を粛々と「詰めて」ゆくわけですが、そもそも彼等が自身のプロ認定制度の説明にゴルフのライセンス制度を持ち出してくること自体が「判ってない」わけです。僕がもし彼等ならばゴルフではなく、トヨタ社が開催している自社製品を対象としたカーレース、Vitzレースあたりを類似例として示します。但し、これを持ち出したところで彼等の論の間違いが補強されるだけではありますが。

Vitzレースは2010年からトヨタが開催しているカーレースで、その概要は以下のとおりです。
Vitzレース
2010年よりトヨタが主催。トヨタ社の製品であるヴィッツ車両の利用を限定してカーレースを開催。参加には日本自動車連盟による国内A級ライセンスの取得が必要。賞金は1位:20万円、2位:15万円、3位:10万円、4~6位:5万円。
参照:http://toyotagazooracing.com/jp/vitz/join/

国内A級ライセンス:
日本自動車連盟が認定する国内カーレースに出場するのに必要となるライセンス。一般のドライバーがそのライセンスを取得するには「公認サーキット毎に定められたスポーツ走行の経験が50分以上あり、公認サーキットからその証明を受けられること」を要件とし、講習会を受講し、その後の試験(学科および実技)を受けて合格すれば獲得できる。
参照:http://jaf-sports.jp/license/a_license.htm
上記Vitzレースは、トヨタ社の販売するヴィッツ車両の利用に限定して参加を認めるものであり、1位、2位に提供される賞金額は20万円、15万円と、外形的には景表法の規制する「10万円を上限として商品価額の20倍以内」とする景表法の景品規制に抵触しているように見えます。

一方、Vitzレースはその参加資格としてJAFが認定する国内A級ライセンスの取得を義務付けており、その賞金はライセンスホルダーのみに提供されるもの。この点で日本eスポーツ連合が主張するプロ認定制度および高額賞金制大会実施のスキームに酷似すると言えます。

但し、実はこの両者には大きな違いがあります。それは、そのライセンスの取得にあたって特定商品の購買が前提となっているか否か。JAFによる国内A級ライセンスは特定の車種を定めず、国内でカーレースに参加する技術、知識、および経験があるかどうかを問う一般的な「運転技術」に対する認定です。当然ながらその取得にあたって、特定商品の購買は前提としていない。

一方、日本eスポーツ連合がおこなうプロゲーマーの認定は、各ゲームタイトル毎にライセンスの発行がなされるものであり、一般的な「ゲーム技術」ではなく、特定ゲームタイトルにおける技術上の優劣を問うものとなっています。

即ち、上記のようにトヨタ社が自社製品を利用したヴィッツレースに対して賞金を拠出したとしても、その参加の前提として国内A級ライセンスの取得を要件付けている限りにおいては、一般消費者がたちまち特定車種であるヴィッツの購買に向かう事はなく、これは顧客誘引の手段として機能しないといえます。

一方、日本eスポーツ連合が行うプロゲーマー認定は、各企業の発売する特定ゲームタイトルにヒモ付いたゲーム技術を認定する制度であり、その技術を鍛錬し、プロ認定を取得する為には特定企業が発売する商品の購入、もしくはそこに対する課金が前提となっています。

即ち、この認定取得を前提としてゲームパブリッシャが賞金制大会を開催した場合、

 賞金を取得する為にはプロ認定が必要
 →プロ認定の取得には特定商品の購買もしくは課金が必要

が成立してしまい、結果的にゲームパブリッシャによる賞金の拠出が顧客誘引の手段になってしまう事となります。この構図を最も象徴する事例として挙げられるのが、今回、日本eスポーツ連合のプロ認定制度の採用第一弾として開催が予定されている闘会議2018内で行われる各種ゲーム大会。中でも特にガンホー社の展開するパズル&ドラゴンズ(以下、パズドラ)の賞金制大会です。

今回、日本eスポーツ連合の設定するパズドラプレイヤーを対象としたプロ認定の付与基準は以下のとおり。
ライセンス取得:
ガンホー社の提供するスマートフォン用ゲーム、パズドラレーダーのゲーム内ランキング「闘会議2018予選杯」(1/19~1/24開催)を対象とし、上位8名が2/10の闘会議2018内で開催されるトーナメント大会に参加。当該トーナメントで上位入賞した者がプロゲーマーライセンスの取得権を付与される。
今回、ライセンス取得の対象とされているパズドラレーダーは、ガンホー社の発売するパズル&ドラゴンズの派生商品であり、基本プレイ無料ではあるものの、ゲーム内課金が競争上の優劣に影響を与える、いわゆる「Pay to Win」ゲームです。即ちゲーム内ランキングで上位8名に選出されることを要件とする上記ライセンス付与の仕組みは、特定商品の購買(この場合はゲーム内課金)によって各プレイヤー間に有利/不利が生まれてしまうものとなっています。

そして、このプロライセンス制度を前提として賞金制大会を開催した場合、当然ながらプロ認定の獲得の先にある賞金を巡ってゲーム内の課金競争を誘発するものとなるわけで、結果的にそれが顧客誘引の手段として機能することとなる。ここにガンホー社自身が景品表示法の規定する「10万円を上限として商品価額の20倍」を超える賞金を拠出する事は、当然ながら景表法規制に抵触するものと考えられます。

ちなみに、今回は最も象徴的な事例として上記パズドラを例にして解説を行いましたが、そのプロ認定が特定ゲーム商品の購買にヒモ付いて、その優劣を測るものである限りは、その取得を要件として賞金制大会を開催することが結果的に顧客誘引の手段となるという論理は他のゲーム商品に関しても同じく適用されるものであると考えられます。

また、もし逆に上記のようなプロライセンス制度を前提とした賞金制大会が景表法の規制対象「外」となり、事業者がそこに自由に賞金を設定できると判断されるとするのならば、私は明日にでもオンラインカジノ企画を立ち上げ、自社ゲーム内ランキングで上位に入賞した人間に「プロ」ライセンスを付与した上で、彼等のみを対象とした高額賞金を拠出するリアルイベントを連動させたサービスを始めることになります。メチャメチャ儲かること間違いなし。夢広がるわ~(棒

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