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ルポ・生きづらさを感じる人々13 Twitterで「死にたい」とつぶやくと、ナンパされることが多い〜美奈の場合

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昨年10月末に発覚した神奈川県座間市の男女9人死体遺棄事件で、無職の白石隆浩容疑者(27)は16日、殺害の疑いで再逮捕された。立件の対象となった被害者は4人目。この事件と同じように、「死にたい」とつぶやいている自殺願望のある若者は事件後も後を絶たない。今年1月3日、警視庁八王子署は、10代の少女を殺害しようとした類似の事件で、新聞販売所の従業員、斎藤一成容疑者(28)を逮捕している。

今なお、ツイッターで「死にたい」とつぶやく人たちも多い。その1人、美奈(仮名、20)に話を聞いた。

母親のアルコール依存症が原因で離婚。父子家庭に

美奈が「なんとなく死にたい」と初めて思ったのは小学校4年の頃だった。その原因は家族にあったようだ。小3の頃、家族が荒れ、両親が離婚したのだ。

「当時、母親は早朝の新聞配達のバイトをして帰宅後に、飲酒をしてから寝ていたんです。母親はアルコール依存症だったようです。父親はよく不満を言っていましたし、ものに当たっていました。そして、キャパオーバーで逃げ出したんです」

このとき母親はビールを飲んでいた。そのためか、美奈はいまでもビールを嫌う。トラウマになっているために、飲めないようだ。

母親に対するイメージはよくない。といっても、母親の事情を把握していたというよりも、父親からは聞かされていた情報をもとにしている。

「離婚のための裁判中だったと思いますが、母は精神科にも入院していたことがあったようです。『末っ子だけちょうだいよ』と言っており、弟の児童手当を当ていしたとのことでした。父は『(母親は)お金のためにお前らを使う気だぞ』と言っていました。こんな風に育って着たので、愛とは何か?というのがわからないんです」

インタビューに応じる美奈(仮名)

離婚が決まるまでは、都内の祖母の家で過ごすことになった。きょうだい3人で一ヶ月ほど、児童養護施設に入ったこともある。この先、どうなるのか不安な日々を送っていた。

「施設での記憶はあまりないんです。(記憶と感情の)乖離がひどかったんだと思います。ただ、覚えているのは、はた織りをしたこと。そして、年上のお姉さんに髪を切ってもらえたこと、弟とゲームをしたことです。このときは施設内でいじめられもせず、平和でした」

父親と一緒に過ごすか、母親と生活をするのか。美奈には選択した記憶もある。結局、父親と弟とともに生活することを選んだ。「どっちといても未来はない。ならば、お金を稼げるほうについていく」というのが判断基準だったようだ。

「死ねばなんとかなる」。家庭内で抱いたストレスで万引きを繰り返す。

父子家庭となり、神奈川県内に住むことになった。当時は、学校に行けなかったが、友達に誘われることはあった。その友達と万引きを繰り返す日々だった。この頃、母親からも電話が多かったようで、父親には「俺のところにいるよな」と念押しをされていた。ストレスがたまった美奈は「生きるのをやめたい」「毎日をやめたい」と思うようになっていく。と同時に「死ねばなんとなる」との思いを抱く。

当時、携帯電話を持たされていた。その携帯で「機能不全家族」というキーワードで調べることもしていた。「機能不全家族」は、「アダルトチルドレン」とセットで語られることが多い概念だ。家族内で依存症や虐待などがあると、子どもは萎縮したり、バランスを取ろうとする。姉だった美奈は家庭内で母親の役割を果たしていたときもある。生きることがきついのは「自分が病気ではないか」と思っていた。

小学校5年になると、父親に愛人ができた。一緒に住む美奈にとっては「義母」となる。美奈が母親の役割をしないで済むようになるが、「義母」はネガティブな思考だった。父親はモラルハラスメントをよくする人間のようで、“ダメな女性”を捕まえては、常に優位に立とうとしていた。父の口癖は「死ぬか、生きるか」「やるか、やらないか」で、極端な選択肢を提示する。しかも、“女性性は売り物”という感覚を父親は持っていた。こうした姿を見ていた美奈は、幼い頃から、精神的に病んでいく。

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