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「大林組課徴金全額免除されず」でリニア談合独禁法での起訴は“絶望”か

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JR東海が発注する中央新幹線をめぐる談合(リニア談合)事件については、当ブログの【リニア談合、独禁法での起訴には重大な問題 ~全論点徹底解説~】でも、「不当な取引制限」の犯罪構成要件に照らしても、リニア工事をめぐる「競争」の実態からしても、独禁法違反の犯罪ととらえることは困難であることを詳述したし、日経BizGate【「リニア談合」の本質と独禁法コンプライアンス~本当に「日本社会が腐る」のか~】では、独禁法の法目的である「公正かつ自由な競争」を前提とするコンプライアンスの観点からも、このリニア工事をめぐる問題は独禁法違反ととらえるべき事件ではないことを指摘した。

しかし、東京地検特捜部の動きに関しては、年明けから、他地検からの応援検事が動員されて捜査体制が増強され、独禁法違反での立件に向けての捜査は本格化していると報じられている(読売新聞【捜査態勢増強、準大手・中堅聴取へ…リニア談合】など)

そうした中、1月29日に、産経新聞が、【大林組、真っ先に自主申告も刑事訴追免除されぬ可能性も 課徴金、免除でなく30%減額】と題する記事を掲載した。

この事件については、12月8日、東京地検特捜部が大林組に「偽計業務妨害」の容疑で捜索を行った直後に、同社が、単独で、公取委に課徴金減免申請(自主申告)を行ったと報じられていた。それによって「課徴金全額免除」「刑事告発免除」の恩典を獲得した同社は、今後も、検察や公取委の捜査に対して独禁法違反の事実を全面的に認めるものとみられ、他の3社が、期限までに大林組に続いて減免申請を行うかどうかに注目が集まっていた。

産経新聞の上記記事によれば、大林組は、課徴金の全額免除ではなく、30%減額にとどまり、刑事告発も免除されないとのことだ。それが事実だとすると、リニア談合の独禁法違反事件の今後の捜査に大きな影響を生じることになる。

そこで問題になるのが、他社に先がけて減免申請を行った大林組が、なぜ課徴金全額免除・告発免除にならないのかである。

産経新聞の記事は、

調査開始前に自主申告するためには、違反行為の概要を記載した「様式1号」と呼ばれる申請書類を提出。さらに公取委が通知する期限までに、不正行為に関与した自社や他社の役職名や時期などを明記した詳細な報告と営業日報などを添えた「様式2号」を提出しなければならない。

大林組は昨年12月8、9日、名古屋市の「名城非常口」新設工事の入札で不正があった疑いがあるとして、偽計業務妨害容疑で東京地検特捜部の強制捜査を受けた後、公取委に様式1号を提出したとみられる。

だが、様式2号の提出期限前だった同月18日に特捜部と公取委が独禁法違反容疑で大林組などの大手4社の一斉捜索に着手。この日が調査開始日となってしまったため、様式2号の提出ができなくなり、結果的に刑事訴追免除の対象から外れたとみられる。

としているが、しかし、この見方は、明らかに誤っている。

独禁法7条の2 10項では、課徴金が全額免除となる申請の要件について

公正取引委員会規則で定めるところにより、単独で、当該違反行為をした事業者のうち最初に公正取引委員会に当該違反行為に係る事実の報告及び資料の提出を行つた者(当該報告及び資料の提出が当該違反行為に係る事件についての調査開始日以後に行われた場合を除く。)であること。

と規定している。

カッコ内が「一番目の申請者が全額免除とはならない場合」だが、これに該当するのは「事実の報告」(様式第1号及び様式第2号)及び「資料の提出」(様式第2号に添付)が、いずれも調査開始日以後の場合であり、第1号様式の報告だけでも調査開始日前に行われていて、公正取引委員会が申請者に通知した期限内に第2号様式による事実の報告と資料の提出が行われていれば、全額免除の資格はある。

実質的に考えてみても、様式第1号を提出した事業者が、様式第2号の提出について公取委側が一定期間の猶予を与えているのに、その期間内に公取委が調査を開始したら、全額免除の権利を失ってしまうというのであれば、減免申請した事業者の立場は著しく不安定なものとなる。他社に先がけて課徴金減免申請を行うインセンティブも著しく損なわれる。

「資料の提出」が調査開始後だったことは、課徴金全額免除を否定する理由にはならない。

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