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慰安婦「記憶遺産」“落選”に韓国政府衝撃 実際は引き分け

鄭鉉栢女性家族相は慰安婦の記憶遺産登録の全面支援を表明 YONHAP NEWS/AFLO

 文在寅政権が慰安婦合意を事実上破棄し、ゴールポストを動かすのはほぼ確実だろう。再び韓国は官民一体で歴史戦を仕掛けてくると思われる。次の主戦場はユネスコだ。現代史家の秦郁彦氏が解説する。

 * * *
 2017年10月末、「慰安婦」関連資料がユネスコの「世界の記憶」(世界記憶遺産)への登録を見送られた。2744点もの「慰安婦資料」を申請したのは韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)を中心とする韓国、中国、台湾、日本の「ワム」など14団体(8か国)だ。これに対して日本の「なでしこアクション」など保守系の4団体が反対資料を提出した。その結果、登録見送りを決めたユネスコは「申請者と関係者の間で対話するように」と促した。

 まさかの「落選」は韓国政府に衝撃を与えたらしい。鄭鉉栢女性家族相は国会で「支援団体と協議して最大の支援を行う」と語った。また「日本政府が分担金を凍結しユネスコに不当な圧力を加えた」と論評する韓国メディアもあった。

 一方の日本では、官民が一体となって登録阻止に取り組んだ成果だと評価された。外務省もほっと胸をなで下ろしたようだ。近年、韓国、中国との歴史戦で連敗が続いていたから、なおさら安堵したのだろう。だが、私はそこでひと休みしてしまうのではないかと心配している。

 そもそも、慰安婦問題を「最終的かつ不可逆的に解決」した2015年末の日韓合意では「世界の記憶」への申請を取りやめる約束もしたとされる。

 だが、日本大使館前の慰安婦像の撤去が進まないばかりか、韓国内外に新設が相次いでいる。そして、「世界の記憶」への申請は当然のように実施された。

 そんな状況で慰安婦資料の登録が先送りされたからといって、果たして日本の「勝利」といえるのか。ひいき目に見ても引き分けだろう。

 逆に「落選」の反動で、挺対協を中心とするNGOがさらに力を入れて再申請をするのは目に見えている。文在寅政権も全力でバックアップしてくるはずだ。

【PROFILE】1932年生まれ。現代史家として慰安婦強制連行説を調査により覆す。『慰安婦と戦場の性』(新潮選書)、『慰安婦問題の決算』(PHP研究所刊)など著書多数。

●取材・構成/山川徹(フリーライター)

※SAPIO2018年1・2月号

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