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入札失敗で改めて分かった太陽光発電導入における政策の〝不備〟 導入量は世界第2位に達するも価格は下がらず - 朝野賢司

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(写真・BLOOMBERG/GETTYIMAGES)

 再生可能エネルギー(再エネ)に対する固定価格買取制度(FIT)が2012年7月に導入されて、5年半が経過した。FITとは、再エネで発電された電気を20年間等の長期にわたって、「固定」した価格で電力会社(送配電事業者)が買い取ることを政府が義務づけるものだ。FIT開始当初、高すぎた買取価格が太陽光発電(PV)バブルとも呼べる偏った大量導入をもたらし国民負担を増大させた。

 これまで買取価格は、有識者による調達価格等算定委員会(調達委)において、設備建設等に要する費用に「適正な利潤」を加え算出されていた。17年4月のFIT法改正により、国民負担抑制のために、2000キロワット(以下、kW)以上の大規模なPV設備に入札が導入された。これは各事業者が上限価格内で買取価格を入札し、募集容量に達するまで安い価格をつけた事業者から落札していく方式だ。

 しかし、昨年末に公表された第1回の入札結果によれば、応札は募集した容量の1割にも満たず、落札価格は上限価格にほぼ張り付いた。これは直近のドイツの落札価格の3倍である(次頁図2)。日本のPV導入量は昨年にドイツを抜いて世界第2位まで達しながら、なぜコストダウンが進まないのか。この状態を解決できなければPVへの補助政策は停止も含めた検討が必要だ。

募集容量に届かず全件が落札された

 日本では、FITによって、PVを中心に再エネ比率は10%から15%に増加した一方で、国民が負担する年間の賦課金総額は2兆1000億円(17年)と既に電気料金支出の約1割に達している。電気料金に加算される賦課金は、買取総額から、電力会社がFIT買い取りで免れることができる燃料費等の回避可能費用を減じて算出される。

経済産業省が15年に示した長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス)が掲げる、30年度の再エネ目標22~24%を実現する場合、筆者の試算によれば賦課金は年間3兆6000億円に達する(図1)。これは現在の消費税でいえば約1・6%分に相当する。FITは20年間等の長期固定で買い取る制度であるため、累積賦課金額は50年までに約69兆円に達する。


(出所)資源エネルギー庁資料を基にウェッジ作成 (注)2030年度の数値は筆者の推計 写真を拡大

 その国民負担の軽減策の一つとして導入されたのが、前述した入札である。今回の入札では、応札時に入札した価格で買取価格を決定した。

 具体的には、①2000kW以上の設備を対象に、②募集容量は今年度50万kW、来年度50万kWを2回の合計150万kWと設定し、③上限価格は入札の対象外となる事業用PV(10kW以上)の買取価格と同額の1キロワット時(以下、kWh)あたり21円とした。

 なお、2000kW以上の設備に限定されたのは、PV事業者団体が「事業者が入札に慣れていない」と主張し、調達委も「大規模事業者間の競争による価格低減効果が期待される」としたからである。

 ところが、昨年11月に入札が大失敗に終わったことが明らかになった。入札された9件の設備容量の合計は約14万kWにとどまったため、募集容量に到達せずに全ての入札が落札されてしまった。加えて、落札後、期日までに保証金が未納付の案件については落札が取り消されたため、最終的に落札されたのは4件・容量約4万kWと入札量の僅か9%にとどまった。入札量に対する応札量が不十分であったため、競争原理が働かず、平均落札価格は20円弱と、上限価格の21円に張り付いた。

 こうしたPVの入札で、これまで世界で最も落札価格が高かったのはドイツだが、それでも直近の落札価格(17年10月)は1kWhあたり4・29~5・06ユーロセント(約5・9~6・8円)と日本の3分の1である。最も安いメキシコは日本の10分の1だ(図2)。


(出所)国際再生可能エネルギー機関資料などを基に筆者作成 写真を拡大

 なぜ入札は失敗したのか。調達委では、来年度の2回目の入札に向けて、上限価格を非公表として実施し、開札後に公表することを検討している。しかし、上限価格の公表有無にかかわらず、応札件数が少なく競争原理が働かなければ、今回と同じ失敗が繰り返されるだろう。

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