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羽生竜王「初モノ」との勝率は驚異の83%!藤井四段は14人目の勝者になれるのか

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BLOGOS編集部

かつて、プロ野球セ・リーグの覇権を握っていた読売ジャイアンツはプロ入り初登板の新人投手にノーヒット・ノーランされるなどの経験から、「初モノに弱い」という負の伝統が語られることがあります。

では、将棋界の常勝・羽生善治竜王と「初モノ」はどうでしょうか?

2月17日(土)に行われる第11回朝日杯将棋オープン戦の準決勝、羽生善治竜王と藤井聡太四段の「公式戦におけるはじめての対局」が迫っています。はじめての対戦のことを相撲では「初顔合わせ」と言いますが、将棋の対局の場合「初手合い(はつてあい)」といいます。藤井聡太四段のような「後輩の棋士」との初手合いで、羽生竜王はこれまでどんな成績を残してきたのかご紹介します。

非公式戦でも容赦ない羽生竜王

羽生竜王が四段(=プロ入り)に昇格することが決まったのは1985年12月18日。プロになると「棋士番号」が与えられます。この時、同時に昇段した安西勝一七段には「174」、羽生竜王は「175」の番号が付与されました。つまり、棋士番号176以降が「羽生竜王のプロ入りよりも後にプロになった棋士」。2018年1月現在、昨年10月にプロ入りした古森悠太四段の「312」番が最新の棋士番号なので、羽生竜王の後輩にあたる棋士は「137人」いる、ということになります。

137人の後輩棋士の中で、羽生竜王と「公式戦」で対局をしたことがない棋士は57人。非公式戦は山形県天童市で行われる「ヒトが駒として実際に動く」ことで知られる人間将棋や、西武ドームで行われた「車将棋」、また、将棋まつりで行われるものが多く、羽生竜王の対局相手もタイトル保持者や"その時最も勢いのある若手"などが選ばれる傾向にあります。前回の記事で、羽生竜王と戦うまでの「ハードルの高さ」について紹介しましたが、非公式戦でも似たような状態です。

しかし、「プロ入り前であれば戦ったことがある」という棋士もいます。都成竜馬四段はプロ入り直前の「三段」時代に「新人王戦」で優勝し、記念対局で羽生竜王と対局。壮絶な戦いを制したのは羽生竜王でした。また、2005年に編入試験を受けてプロ入りした瀬川晶司五段は、アマチュア名人としてテレビで羽生竜王と対局。2000年の元日放送という記念対局は、「角落ち」の手合いで行われ、羽生竜王が勝利しました。

すでに「羽生さん、非公式戦でも容赦ないな…」という雰囲気が出ていますが、変わり種は村田智弘六段。村田六段は小学6年生の時に第19回小学生将棋名人戦(1993年度)で優勝。「小学生名人戦記念対局」で1局、さらに雑誌の企画でも羽生竜王と対局しています。どちらも「飛車落ち」というハンデ戦("駒落ち"といいます)で、羽生竜王に「連勝」しています。

初手合いの勝率は驚異の8割超え

さて、残る80人が羽生竜王と1回以上、公式戦で戦ったことのある後輩棋士となります。

羽生竜王、後輩との公式戦初手合いでの戦績は…

羽生竜王の67勝13敗。その勝率.8375!!8割オーバーです。

この勝率が高いのか低いのか。1月27日時点の羽生竜王の通算勝率は.7118。それを1割以上超える勝率というのは、やはり「高い」と言ってよいでしょう。さらに、羽生竜王が七冠王を達成した1995年度の勝率は.8364。なんと、わずかに七冠達成年度の勝率を超えているのです!

ちなみに藤井聡太四段の今期の勝率は、1月27日の時点で.8196で、通算勝率は.8450。「羽生竜王と藤井四段の初手合いに関する"勝率"は、どこをとっても8割オーバー」という、比類なき世界の話というのがお分かりいただけると思います。また、将棋界の歴代最高勝率の1位は中原誠十六世名人が1967年度に記録した.8545。羽生竜王の七冠達成年度の勝率でも「歴代3位」。これはこれでとてつもない話です。

11年1ヶ月、初手合で負けなかった羽生竜王

初手合いで羽生竜王を破った棋士はわずか13人。その棋士の名前と、初手合いの対局年月日を確認しましょう。

佐藤康光  1988年7月15日
小倉久史  1990年5月18日
郷田真隆  1992年3月10日
藤井猛   1996年12月4日
長沼洋   2008年1月7日
戸辺誠   2010年3月30日
広瀬章人  2010年6月11日
豊島将之  2010年11月17日
菅井竜也  2011年5月15日
永瀬拓矢  2013年11月15日
佐々木勇気 2016年7月22日
近藤誠也  2016年11月22日
及川拓馬  2017年8月6日

特筆すべきは1996年から2008年までの11年と1か月、初手合いの後輩に一度も負けていない、という点。絶対的な強さを感じます。この対局日一覧をなんとなく頭の中にとどめつつ、続いては相手棋士の生年月日を見てみましょう。ある特徴が見えてきます。羽生竜王が1970年9月27日生まれということをふまえてご覧ください。

佐藤康光  1969年10月1日
小倉久史  1968年5月15日
郷田真隆  1971年3月17日
藤井猛   1970年9月29日
長沼洋   1965年1月7日
戸辺誠   1986年8月5日
広瀬章人  1987年1月18日
豊島将之  1990年4月30日
菅井竜也  1992年4月17日
永瀬拓矢  1992年9月5日
佐々木勇気 1994年8月5日
近藤誠也  1996年7月25日
及川拓馬  1987年5月6日

いかがでしょうか。1972年から1985年生まれの棋士がすっぽり抜けているのが特徴です。5つ上の長沼洋七段を含め、羽生竜王と「広く同世代」とくくれる棋士が5人、羽生七冠王が誕生し、将棋教室に子供たちが殺到した1996年に小学生だった棋士が3人、就学前だった棋士が4人、羽生七冠以降に生まれた棋士がひとりという内訳です。

つまり、羽生竜王の同世代やその少し下の世代、「羽生竜王のデビュー前後に将棋をはじめた世代」よりも、「七冠達成後の羽生さんをテキストに将棋を勉強した世代」が初手合いで勝利している、という特徴も読み取れます。

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