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仮想通貨と行政の勇み足

スイスのダボスで開催された今年の会議で、ビットコインなどの「仮想通貨」(あえてカッコ付きで書いておいたが、その理由は後で述べる)、英語でcryptocurrenciesの議論が盛んである。そこでの議論を斜め読みすると、日本との認識上のギャップがきわめて大きい。

興味深いことがある。そのダボスのニュースが、ビットコインの大手取扱業者であるビットフライヤーのホームページ上でまとめられていることである。これまでの多くのニュースが「仮想通貨」に好意的だったことから、「仮想通貨」業者としてニュースの選別を行っていない可能性が高い。それとも、きわめて中立的な模範業者なのか。

それはともかく、ダボスでの複数の論者(日本人の意見を探し出せなかった)の主張を僕なりに要約すると、「仮想通貨」の基本的な技術であるブロックチェーンは画期的な技術であるものの、その技術が即「仮想通貨」ではないし、「仮想通貨」の価格が異常すぎる、以上に尽きるだろう。

日本の現状はというと、ブロックチェーン技術から生み出された「仮想通貨」を過大評価してしまった。その結果、「仮想通貨」こそが未来の金融への入口だと誤認してしまい、それに近い状態が依然続いているようだ。

「仮想通貨」とは何か。12月のブログで2回にわたって書いたが、これは現状において通貨ではない。「通貨」と名付けられたから、誤解が生じている。単なる取引の記録に近い。「タヌキ村のお札」みたいなものだと思えばいい。価値はかぎりなくゼロである。

1万円札など、日銀券の本質的な価値もかぎりなくゼロに近いのだが(新聞の折り込みチラシとどこが違うのか)、価値があるとみなすように日本の法によって強制されているし、これまでは日銀がきちんと管理してきた。この点が重要である。ジンバブエやベネズエラではなく日本国だから、国民はもちろん海外も、「そらそうやな、価値が日本によって保証されている」と信じ、何の疑問も抱かずに日銀券と品物やサービスや外貨との交換(つまり売買)を行っている。

本質的価値がなく、誰も価値を保証していない「仮想通貨」に何故とんでもなく高い値段が付くのか。取引する者が「価値あり」と思い込んだからでしかない。

もっとも、送金手段としての価値が当初はあった。現在では、ビットコインなどの価格がこれだけ乱高下すると、危なくて送金に使えない。それに、送金時にかかる手数料も高くなったらしい。今、「仮想通貨」に値段が付き、もてはやされているのは、投機手段として重宝だからにすぎない。もしくは、違法な行為に使えるからだろう。

金融庁を中心とする日本の行政は「仮想通貨」の取引を認めてしまった。認めることが先進的な行政だと早合点したのかもしれない。最近、主要国で「仮想通貨」に対する規制を強化する動きがある。これに対して麻生さんが、「何でもかんでも規制すればいいとは思わない」と語ったという。このことが日本の行政の認識と今後のスタンスを象徴している。

パチンコ、競輪競馬競艇、FX、宝くじなどのギャンブルが闊歩する日本において、さらにカジノを普及させようという姿勢を思い浮かべればいい。その延長上に「仮想通貨」があるのではないか。そう思えてならない。

揶揄してしまえば、行政は「貯蓄から投資へ」をうたい文句にしているものの、本心は「貯蓄から投機へ」、「投機大国へ」なのではないか。仮想通貨によって大儲けした個人が高額商品をばんばか買えばいい、そうすると景気が良くなって物価が上がるとくらいに呑気に(無責任にかな)考えているのかもしれない。

いずれにせよ、ブロックチェーン技術とフィンテックの本流が「仮想通貨」ではないことを、国民はもとより、大臣さんらはどの程度理解しているのか。そう疑ってしまう。

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