記事

前川喜平さん「私がもし佐川宣寿国税庁長官(前理財局長)の立場に追い込まれたら」

1/2

朝日新聞の報道です。

首相、佐川国税長官は「適材適所」
議場から「ええー」
朝日新聞 2018年1月24日14時50分
 安倍晋三首相は24日の衆院本会議で、立憲民主党の枝野幸男代表が国有地売却問題をめぐり佐川宣寿国税庁長官の更迭を求めたのに対し、「他の全ての人事と同じく、適材適所の考えに基づいて行った」と答弁し、否定した。議場からは一斉に「ええー」との声が上がった。

 森友学園問題をめぐる佐川宣寿国税庁長官(前理財局長)のウソ答弁が明らかになっているなか、苦情殺到の矢面に立たされているのは現場で働いている国税庁職員です。「2~3月の確定申告で、私たち個人事業主は『書類は廃棄済みで、復元できません』と言えばいいんでしょ」との声は当然です。下は国税庁が作成した昨年度の税務職員募集ポスターです。



 このポスターには、「公平な社会を夢見ている。本気で。『この世で最も被害者が多い犯罪はなにか?』 その答えは、脱税。税金は国民のために使われるもの。それをごまかして正しい税額を納めないことは、国民全員を被害者にするから。その話を聞いてから、私は国税の職場に興味を持ち。「国税庁」の門を叩いた。公平で住みやすい社会のために、私にできること。いまは、本気でそれを考えている。」とあります。佐川国税庁長官が国税庁トップとして「不公平な社会を夢見て、国民全員を被害者にして、不公平で住みづらい社会のために本気で国税庁トップをつとめている」ことを、安倍首相は「適材適所」と断言しているわけです。

 こうした佐川国税庁長官と同じく官僚トップであった前川喜平さん(前文科事務次官)に、月刊誌『KOKKO』12月号で3時間に渡るインタビューを行いました。すでに、「前川喜平さんインタビュー「加計・森友のような不正、お友だち優遇案件はあちこちにあるのではないか」」で一部を紹介していますが、前回紹介していない部分で、前川さんが「佐川宣寿さんへの論功行賞」、「「私がもし佐川さんの立場に追い込まれたら」などについて語っているところを紹介します。

〈インタビュー〉

加計・森友のロンダリングと国家公務員を「下僕化」する安倍政権
――「全体の奉仕者」の役割問われる国家公務員
前川喜平さん(前文部科学事務次官)

 安倍晋三首相と昭恵氏の「お友達」なら、国有地が特別に値引きされ、獣医学部の新設も特別扱いされる国は法治国家とは言えません。加計この問題が動く渦中に文部科学事務次官であったことを踏まえて加計学園疑惑を告発した前川喜平さんにインタビューしました。(収録日=10月4日。※10月22日投開票となった衆議院選挙前のインタビュー。聞き手=国公労連・井上伸



官房長官が各府省の幹部人事を握っている

 ――国家公務員の「下僕化」の原因は内閣人事局の存在にあるということでしょうか?

 複合的な要因があると思いますが、そのうちの1つが内閣人事局による幹部人事の掌握だと思います。実質的な権限は官房長官が持っています。私の経験では幹部人事だけでなく、課長の人事に官邸が介入してきたという事実もありました。

 この内閣人事局を中心とする国家公務員幹部人事に対する官邸の、内閣官房の権限の強化は大きいですね。人事検討会議というものも置かれましたし、閣議了解の範囲が広がりましたから、閣議にかけるその前提として人事検討会議という会議にかける。その事務を行うのが内閣人事局という組織ですが、内閣人事局長は萩生田光一さんだったのですが、いまは杉田和博官房副長官になっています。

官房副長官がやっていますが、実質的な権限は官房長官が持っているわけです。内閣人事局長が権限を持っているのではなくてやはり官房長官ですよ。官房長官が各府省の幹部人事を握っていて、官房長官を中心とする側近が幹部人事に口が出せるようになっているということですね。

 任命権者はあくまでもまだ各府省の大臣なわけですけど、ところが大臣が任命権を持っているとはいえ、大臣がこの人をここのポストに就けたいと思っても、官邸から拒否権を発動されて「差し替えろ」と言われる。すると官邸からOKと言われるまで繰り返さなければならないということが起こり得るわけで、結局、拒否権を持っているほうが強い。大臣自身は自分が一緒に仕事をしている部下ですから、その部下である人を次はこのポストら就けたいと思っても、「だめだ」と官邸から言われたら飲まざるを得ない。だから実質的な権限が官邸にシフトしていることは確かですね。

佐川宣寿さん、谷査恵子さんへの論功行賞

 ――そういう中で、佐川さんや谷査恵子さんの問題が生まれているわけですね。

 そうですね。森友学園を巡る問題に関し、国会で「当時の交渉記録は破棄した」などと答弁した財務省理財局長だった佐川宣寿さんが国税庁長官になったり、安倍昭恵氏付職員だった谷査恵子さんがイタリア日本大使館1等書記官になったりで、安倍政権による国家公務員の「下僕化」は極まっています。

 佐川さんは論功行賞で、谷さんは論功行賞であると同時に、国外に置いての「口封じ」という側面も強いと思います。

 佐川さんのようには、私はできなかっただろうと思います。私も現役のときに国会答弁をするときには、問題によってはとにかくオウム返しに1つのことしか言わないということも実際ありました。ただ、行政が私物化されているというようなことが実際に起きた場合に、私だったらそれこそ面従腹背するだろうなと思います。国会では「知りません」「ありません」とか答弁するかもしれないけど、何らかのかたちで国民に知らしめる方法を考えたのではないかと思うんですよね。

実はこうだったということを国民に知らせる必要がある。そこがいま国家公務員に問われている部分だと思います。全体の奉仕者としてもとるようなことをさせられるときにどうするかというときに、公益通報のような仕組みがきちんと整っていればいいのですが、それがない中でも匿名でリークするということはできるわけで、現に加計学園問題では文部科学省の現役が相当情報を外部に提供していますね。

私もだれが具体的にどの情報を出したかを知らないです。具体的にこの人物だということを知っている人もいるけど、知らない人もいるし、私と連動してやっているわけでもない。恐らく3~4人はいると思うんです。

私がもし佐川さんの立場に追い込まれたら

 私がもし佐川さんみたいな立場に追い込まれたら、組織を守るために表向きに従うかもしれないけど、国民に知ってもらうための何らかの方法を考えたかもしれないなと思う。

あるいはどこかから明らかになるように持っていくとか、何か会計検査院に提出する資料の中に紛れ込ませておくとか、会計検査院が「こんなのあったよ」と言えるようにするとかね。少なくとも会計検査院は憲法にも規定されている独立機関ですし、国の財政をきちんと監視する役割があるわけですから、会計検査院を動かす仕掛けを考えただろうと思います。

そうすると、「うちは何も知りません。会計検査院から求められたんだ」ということで、自分の組織は官邸に対して防衛しつつ、事実関係が国民の前に明るみに出るような仕掛けを考えるとか、私だったらそんなことを考えたかもしれませんね。

公文書管理、情報公開のための第三者機関が必要

 ――今回は文書管理の問題も大きくクローズアップされています。

 そうですね。私はやっぱり情報公開とか、公文書管理とかに関して、何らかの独立行政委員会のようなものを、権限を持たせてつくったほうがいいと思いますね。

 これは私のひとつの経験から申し上げるんですが、天下り問題では強烈に文部科学省の情報を明るみに出していただいたんですよ。これは再就職等監視委員会という極めて強力な第三者機関があるからですよね。独立性が高いんですよ。

 情報公開や公文書管理にしても、もっと権限を持って、そのときそのときの権力を持っている人たちの影響を受けない第三者機関をつくって、それが例えば直接国会に報告する仕組みをつくるとか、そういうものを法律に基づいてつくったらいい。再就職等監視委員会みたいに調査権限を持って、証人喚問して偽証罪にも問うことができるぐらいの権限を持たせる。これをやったらいいと思いますね。そういう仕組みをつくらないと「ありません」「知りません」「忘れました」など知らぬ存ぜぬだけで全部通ってしまう。どんな文書についても「偽証罪に問うぞ」ということで追及できる政府の権力から独立した第三者機関をつくる必要があると思います。

あわせて読みたい

「前川喜平」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    イモトのWiFiまだ使う情弱に助言

    永江一石

  2. 2

    消費増税を批判しない野党に疑問

    やまもといちろう

  3. 3

    織田裕二が坂上忍に絶縁通告か

    女性自身

  4. 4

    立憲民主党は消費増税の対案出せ

    鈴木宗男

  5. 5

    日本の伝統を理解してない杉田氏

    岩田健太郎

  6. 6

    TBS宇垣アナがキレた同期の一言

    文春オンライン

  7. 7

    色あせる中国 金融の舞台で矢面

    ロイター

  8. 8

    よしのり氏 左翼の人権論に苦言

    小林よしのり

  9. 9

    外国人大歓迎 裏目にでた観光地

    MAG2 NEWS

  10. 10

    政治的発言許されぬ日本の芸能界

    篠田博之

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。