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日刊ゲンダイ“衝撃の珍論”で考える、安倍首相「平昌五輪出席問題」 一般紙の論調を凌駕するウルトラC - プチ鹿島

 出席か、欠席か?

 安倍首相の韓国・平昌冬季開会式問題が注目されてきたが、今週水曜(24日)の1面で「読売」と「産経」が「出席へ」と報じた。

 とくに「産経」は1面トップで「首相、平昌五開会式に出席」とし、首相インタビューを掲載。政権側は「安倍スタジアムでの1塁側」の新聞をここでも巧みに利用した感がある。

 そもそもリオ五輪閉会式には「土管」を使ってまでブラジルに駆けつけたのに、安倍マリオ、いや安倍首相にとって隣国の韓国はなぜ日本の裏側より遠かったのか。

安倍首相、さてどうすればいい論で各紙にぎやか

 理由はこちら。ちょうど2週間前の記事。

《旧日本軍の従軍慰安婦問題に関する日韓合意を巡り、韓国側が日本政府の新たな謝罪が必要などとする新方針を打ち出したことを踏まえ、首相が訪韓できる環境ではなくなりつつあるとの判断が背景にある。》
(「安倍首相、平昌五輪開会式出席難しい」日刊スポーツ 1月12日)


©getty

 このあと、各紙の社説やコラムでも「開会式」問題は取り上げられはじめた。新聞によっても意見がわかれたお題だったのである。

「毎日新聞」の社説は、「平昌五輪開会式と首相 むしろ出席した方がいい」(1月12日)とキッパリ。


毎日新聞「むしろ出席した方がいい」(右=12日社説)、産経新聞は「『スポーツ』を軽んじるな」(19日「主張」)

毎日は「出席にメリットあり」

 主張を抜粋してみる。

・日韓合意が「最終的かつ不可逆的な解決」をうたっている以上、日本政府が「更なる措置を求めることはまったく受け入れられない」との立場を取ることは理解できる。

・しかし、そうだとしても、「平和の祭典」に政治的な対立を持ち込むことには慎重であるべきだ。

・もし、首相が開会式に欠席すれば、隣国同士の日韓の冷え込みを内外に強く印象付けることになるだろう。日韓の離反が鮮明になれば北朝鮮を利するだけだ。

・むしろ、首相はホスト国に敬意を表し、開会式に出席することで、韓国に対する立場を強めることができるのではないか。  


行くことに決めたけれど 首相官邸HPより

「毎日」は首相は冷静に対応(開会式出席)したほうがメリットがある、と言っているのだ。

産経は「安倍晋三首相の平昌五輪出席は論外である」

 これに対し「産経新聞」は1面コラム「産経抄」で、「安倍晋三首相の平昌五輪出席は論外である」(1月19日)ときた。こちらもキッパリ!読み比べとしてはこう来なくっちゃ!


青く囲まれたのが「産経抄」。毎日の主張(左)とはキッパリ別論調

「産経」の主張は以下。

・「五輪に政治を持ち込むな」などと、建前論を主張するつもりはない。北朝鮮が非核化に前向きの姿勢を示すならば、五輪参加に意義を認めよう。

・その可能性はゼロである。核開発の時間稼ぎと、米韓同盟にくさびを打ち込む、北朝鮮の策略に利用されるだけ。

・慰安婦問題の合意についての、韓国への失望だけではない。茶番劇になりかねない平和の祭典に首相として関われば、北朝鮮の思うつぼだ。


北朝鮮の五輪参加問題で一気に注目の人となった、玄松月・牡丹峰(モランボン)楽団長兼労働党中央委員会候補委員 ©getty

 整理してみよう。

「毎日」は開会式に欠席すると日韓の離反が鮮明になり「北朝鮮を利する」と言い、「産経」は出席すれば「非核化どころか核開発の時間稼ぎと、米韓同盟にくさびを打ち込む」という「北朝鮮の策略に利用されるだけ」と主張する。

 両紙とも北朝鮮の思うつぼになることを警戒しているのだが、それを避けるための対応策は正反対ということになる。

なぜか船越英一郎を持ち出す「日刊ゲンダイ」

 こういう提案もあった。「日刊ゲンダイ」だ。

「安倍政権 船越英一郎の対応見習え」(1月13日付)

 ふ、船越英一郎?いったいどういう主張なのか。読んでみた。まず、安倍首相の開会式出席の慎重論に対し「ちょっと感情的になりすぎではないか。」と書く。ゲンダイらしからぬ淡々とした呼びかけである。

 しかし、

《ぞんざいな合意をタナに上げ、怒りに任せて韓国政府に激しい言葉をぶつけるとは、この政権はつくづく大人げない。》


「見習え」ときた

 ゲンダイ師匠、徐々にボルテージをあげてきた。そんざいな合意というのは、慰安婦問題に関する日韓合意のこと。

《そんなに韓国政府に合意の長期的な順守を求めるなら、なぜ安倍政権は条約の形式を取って国会で審議し、日韓両国の立法府も巻き込んだ合意を形成しなかったのか。日韓合意は2015年12月28日、年末のドサクサに日韓両外相が共同会見を開いて発表しただけ。合意内容について公式な文書すら交わしていなかったのだ。》

 開会式を欠席するのは、《韓国国内の一部反日勢力の慰安婦問題をめぐる感情論と同じ土俵に立つつもりなら、愚かだ。》とゲンダイは説く。

わかりやすい! でも各方面から叱られそうな例え!

 そしていよいよ「船越英一郎」の登場である。

《例えは悪いかもしれないが、国と国との「合意」を一方が反故にするのは離婚交渉に似ている。昨年、松居一代のエキセントリックな言動にダンマリを貫いた船越英一郎を見習って、安倍首相も静観すべきではないか。》

 ゲンダイ師匠は韓国の「エキセントリックな言動」を松居一代に例え、日本は船越英一郎の「静観」という態度を見習え、と主張するのである。

 わかりやすい! でも各方面から叱られそうな例え!


船越英一郎 ©深野未季/文藝春秋

 最後は、

《安倍自身が唱える北包囲網には韓国の協力が不可欠。日韓両国にすきま風が吹けば、金正恩を喜ばせるだけである。 》

 と締める。

 ゲンダイは「冷静に対応して開会式も出席したほうがいい」という「毎日」に近い論調なのであろう。

 ふだんから安倍首相の「度量」に関してチェックしているゲンダイ師匠としては「器の大きさを見せろ!」ということか。

船越英一郎が松居一代に直接何かを言いに行っていたら

 そして今週24日、「産経」紙上での出席表明。

《五輪開会式出席をめぐっては、首相官邸や外務省の幹部にも慎重意見が根強かった。また、首相の支持者の間でも反対論が圧倒的だったにもかかわらず、首相があえて出席を決断したのはなぜか。》
「首相周辺は語る」として次の言葉が載る。
《韓国の文在寅大統領は日韓合意をおとしめ、日本に新たな措置を求めることを表明して、それで話を終わらせようとしていた。そうはいかない。安倍首相は文氏に、合意を履行して在韓日本大使館前などの慰安婦像を撤去しろと言う。》
 こうして読むと「出席」という対応はするが《船越英一郎の「静観」という態度》を見習うというより、むしろ「ガツンと言いに行く」というニュアンスに近い。五輪という機会に政治の話をしに行くのだ。

 実際、「夕刊フジ」は「安倍殴り込み 平昌出席」「慰安婦像撤去しろ!!」(1月25日付)との1面見出し……。


夕刊フジは「殴り込み」、産経は「拒否伝える」

 あのとき船越英一郎が松居一代に直接何かを言いに行っていたらどういう展開になっていただろう。いけない、ついついゲンダイ師匠の例えで考えてしまっている。

(プチ鹿島)

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