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イベントにかかわるすべての皆様に「あっぱれ」~中川淳一郎の今月のあっぱれ~

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イラスト&題字 まんしゅうきつこ

2017年12月12日、東京・阿佐ヶ谷のライブハウス「阿佐ヶ谷ロフトA」で「2017年ネットニュースMVP」を山本一郎氏と一緒に行った。前身の「津田大介と中川淳一郎のオフ会」から数え、20~25回阿佐ヶ谷ロフトには登壇したが、今回が最後となった。阿佐ヶ谷ロフトでは他のイベントにも数多く出させてもらったが、今回は「人前でしゃべる機会」の重要性について書いてみるとともに、こうした場を支える人々、そしてお客さんへの感謝をしてみたい。

提供:中川淳一郎

集客つきのイベント登壇は「引退」

阿佐ヶ谷ロフトに初めて行ったのは2009年の5月ことだった。韓国からやってきた市民メディアのオーマイニュースが閉鎖したことに伴い、関係者による「オーマイニュース反省会」みたいなイベントがあったので見に行ってきたのだ。

その1年後の2010年、津田氏と一緒にネットについて語り合うような形式で「ネットニュースMVP」の基礎となるようなイベントを開始した。そして12月12日の回をもって、私は人前でしゃべる仕事を自発的にすることは辞めることにした。もちろん誰かが「一人足りないんで出てくれないかなぁ」などと言ってきたら出るが、自分が主導でイベントをすることはもうない。

理由は、「人前でしゃべる機会」というものが、仕事人としては経験しておくべき貴重なものであり、これまでに散々その経験をさせてもらった44歳のオッサンとしては、その枠を若者に譲った方がいいと考えるからである。あとは、正直「告知」がキツい。毎回企画を作ってから、告知をし、当日会場にお客さんが本当に来るのだろうか……という不安が常につきまとう。ここから解放されたい、というのも理由の一つ。

そういった理由もあるため、すでに集客が決まっている案件、かつクローズドな場で話すことはまだ辞める気はない。これからも、自分の専門領域である「編集」「ウェブ」「フリーランスの稼ぎ方」「PR」といったエリアでの講演は継続する。

イベントを経験することで得られる能力

さて、人前で話すことは何がそんなにいいのか。その前に私が初めて人前でしゃべった時のことを紹介する。2008年5月に行われた「日本のニュースサイトはなぜつまらないのか?」というイベントである。登壇者はマイネット・ジャパン(現マイネット)社長の上原仁氏、ライブドア執行役員(当時)の田端信太郎氏、そして私である。この時は上原氏の会社が主催するイベントであったため、上原氏にとってはホーム。田端氏も業界ではそれなりに知られた存在だったため、リラックスしていた。大勢の来客があったが、ほとんどの人は私については「誰?」という状態だったことだろう。

【トレビアン】日本のニュースサイトはなぜつまらないのか? 『痛いニュース』は素晴らしい!!

そんなアウェイ状態ではあり、緊張はしたのだが、上記リンクにあるように、会自体は盛り上がったし、その後行われた居酒屋「天狗」での大宴会も楽しかった。まだネットメディアの黎明期で数少ない人々が傷をなめ合ったり情報交換をするような牧歌的な時代だったからこそ、かなとも考える。この時、「人前でしゃべる」ことには以下の要素が求められると分かった。

・何かを批判するにしても、誰かを傷つけたり、差別にならない言葉選びを一瞬でする判断力
・聞かれた質問に対してグダグダと前置きをせず、端的に答えを言い、「演説」をするのではなく「対話」をすることこそ重要
・場の盛り上がりや空気を読み、適切な話題を話す「ネタの選別力」
・退屈していそうな人をいかに楽しんでもらうか、のターゲット設定と必殺のネタの繰り出し時の見極め
・他の参加者でしゃべり過ぎる人、あまりにしゃべらない人がいる場合の話の振り方や止め時の判断
・寸止めの暴露話と、引かない程度のえげつない話を混ぜながら話すこと
・とにかく笑いが多い方が会全体の満足度が上がる。明るく、楽しいことを話すことを心掛ける

こういったことを考えるようになったが、当然事前の企画も重要である。前出・上原氏の企画では「日本のニュースサイトはなぜつまらないのか?」がテーマだったが、当時は新聞系のサイトが圧倒的に強く、ウェブだけで展開するサイトの質は正直カオス状態だったと思う。私もやっていたのだが、ニュースというよりは「歌舞伎町・お台場・表参道にゴキブリホイホイを仕掛けてみた」や「初詣でどれだけ落し物があるかを明治神宮で集めてみた(後で社務所に届けます)」「すべてのものはカレー味にするとウマくなる」みたいなライターが酔っ払ってノリで「イェーイ」とアホなネタをやるようなものばかりだったのだ。

そういった状況下、ネットメディア関係者は「新聞と渡り合うために我々はどうすればいいのか……」という漠然とした不安を抱いていた。さらにマイネット・ジャパンの取引先等の固定客もいるだけに、来場客の関心にはドンピシャでハマったのだろう。この時、「しゃべりの技術、内容云々以前にテーマ設定と想定来客のプロファイリングが大事」ということも理解した。

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