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おばあちゃんの生きてきた時代

カトリーヌ・ドヌーブら仏女性100人、過剰なセクハラ告発に警鐘(映画.com ニュース)

 ハーベイ・ワインスタインの過去30年以上にわたるセクハラ行為が暴露されたのをきっかけに、大勢の女優や映画関係者が相次いで性的な被害を告白。「#MeToo(私も)」のハッシュタグと共に、SNSを中心としたセクハラや性的暴行の告発、性犯罪に対する抗議運動がますますヒートアップする中、フランスを代表する大女優カトリーヌ・ドヌーブを含む同国の女性100人が、過剰な抗議運動に警鐘を鳴らした。

 仏ル・モンド紙は1月9日(現地時間)、ドヌーブをはじめとする女優や作家、心理学者やジャーナリストなど、様々な分野で活躍するフランス人女性100人の連名による公開状を掲載。その中で、「女性への性的暴行・セクシャルハラスメントがあるまじき行為であるのは確かだが、告発を強制する風潮のせいで、沈黙を貫く人たちが裏切り者呼ばわりされるのはいかがなものか」と疑問を投げかけた彼女たちは、「#MeToo」キャンペーンを「行き過ぎ」と批判した。

 さらに、「弁明の機会も与えられないまま一方的かつ公に糾弾された結果、失職に追い込まれた男性たちも同じく被害者。その気がない女性に対して、ビジネスディナーの場で“親密”な言葉をささやいたり、性的な含みのあるテキストメッセージを送ったり、膝に軽く触れたりしただけで、性犯罪者扱いされてしまうのだから。レイプは間違いなく犯罪だけど、女性を口説こうとちょっかいを出すのは、犯罪じゃない」と、セクハラ容疑をかけられた男性陣を擁護するかのごとき一文もある。これは、掲載と同時に大きな物議を醸している。

 さて「#MeToo」の流行に、常識的な言動で定評のあるマリリン・マンソン氏は警察に相談したらどうかと述べたそうで、まぁ欧州サッカー界隈では「(有名選手に)レイプされた」と新聞社に駆け込む人が定期的に出てくるのを思い出したりもしました。性的被害の訴えにも、本当に深刻なものとそうでないものがあります。軽いノリで「#MeToo」とTwitterに書き込む人が増えるほど、本来の趣旨とは違った印象を第三者に与えるものになってしまう、そんなこともあるでしょう。

 一方フランスではカトリーヌ・ドヌーヴ氏が中心となって「警鐘を鳴らした」そうです。確かに反対意見の一つもあってしかるべきと思われますが、紹介されたところでは「ビジネスディナーの場で“親密”な言葉をささやいたり、性的な含みのあるテキストメッセージを送ったり、膝に軽く触れたりしただけで、性犯罪者扱いされてしまう」云々とのこと。これは現代では、完全にセクハラですよね。

 何ら利害関係の絡まない対等な人間関係において「女性を口説こうとちょっかいを出すのは、犯罪じゃない」とは、私も思います。しかし、仕事の場で性的な含みのあるテキスト等々や意図して体に触れるのは、現代人の目には非常識に映るのが一般的のはずです。とはいえ、おばあちゃんが生きてきた時代においてそれはセクハラではなかった、当然のこととして受忍すべきものだったであろうことは、この歴史の証人の言葉から理解できます。

 往々にして人は、自分が不愉快に感じたことを後世に受け継いでいくものです。典型的なのは体育会系社会の上下関係でしょうか。下級生が上級生の横暴さに不快感を覚えたとしても、自身が上級生になる頃には、自分が先輩にされたことを後輩に繰り返すわけです。あるいは虐待されて育った子供が親になったとき、残念ながら自身も子供を虐待してしまうことが多いとも聞きます。「普通の人」は、そういうものなのだと思います。

 カトリーヌ・ドヌーヴも大御所ですから、業界の若手女性にとっては「姑」みたいなものなのでしょう。セクハラを受ける立場だったのは遙か遠い昔の話です。むしろ自分が受けた仕打ちを嫁達が免れるのを見れば、なんとなく腹立たしく感じる年頃なのかも知れません。実の娘がセクハラに遭えば彼女も怒るでしょうけれど、ヨソから上がり込んできた娘なら話は違いますからね。

 恐らくは数え切れないセクハラを受け入れてキャリアを築いてきたであろう御大にしてみれば、今になって反対の声を上げれば過去の自分を否定することになってしまうところもあるのだと思います。「沈黙を貫く人たちが裏切り者呼ばわりされるのはいかがなものか」と疑問を投げかけたそうですが、「#MeToo」と連呼される数十年前から沈黙してきたのなら、じゃぁカトリーヌ・ドヌーヴはフランスを代表する大裏切り者か、と。誰しも自分の決断は間違っていなかったと信じたいもの、これまで沈黙してきた人ほど、それが正しかったと強弁せざるを得ないのでしょう。

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