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ビール定義変更にみるサントリーの思惑は?

今年4月、ビールの定義が変更されます。どういうことでしょうか。

ビールに使われる副材料に、麦芽の重量の5%の範囲であれば、香辛料や果実を使えるようになるんですね。果たして、定義変更による新商品の登場は、縮小するビール類市場の救世主になれるかどうか――。

ビールのおいしさは、麦芽の甘味とホップの苦味にあるといわれます。ところが、その味わいを苦手とする人たちもいます。原料の幅が広がり、さくらんぼや木苺、カシスなどが加われば、新たな味わいのビールが提案できるようになり、ビール離れに歯止めがかけられるかもしれません。

また、副材料に果実が使えるようになれば、味わいだけでなく、ビールの色にも特徴が出せるようになります。ピンクやレモンイエローの見た目にも魅力的な個性あふれるビールが増えれば、インスタ映えもバッチリですよね。

ビール大手4社のうち、先頭をきって、規制緩和に合わせた新商品を発表したのは、アサヒビールです。4月17日に発売される、ビールの副原料にハーブの一種であるレモングラスを配合した「グランマイルド」がそれです。

このほかのビール大手3社も、現時点では詳細を明らかにしていませんが、定義変更による新商品の投入を計画しているのは、間違いないとみていいでしょう。

サントリービールは10日、都内で開かれた「18年事業方針」記者会見において、ビール類の販売数量で前年比101%を目ざすと発表しました。サントリービール社長の山田賢治氏は、「検討中」と述べるにとどまりましたが、定義変更を受けて、いったいどんな新商品を出してくるのか。

ビールの歴史を振り返ってみると、時代とともに好みが変化していることがわかります。
バブル時代、サラリーマンたちは、ドライビールを飲んでその日の疲れをリセットして家路についた。いってみれば、ドライビールは「のどの渇き」を癒すためのビールだったといえます。

そして、09年、他の多くのビールが対前年比マイナスのなかで、サントリーの「ザ・プレミアム・モルツ」は、前年比110%の伸びを見せました。デフレ下において、販売数を伸ばしたのは、不安やストレスをかかえた人々が求める、「心の渇き」を癒すためのビールだったからです。

近年はというと、アルコール度数の強いお酒から徐々に弱いお酒に好みが移り、女性にも飲みやすいおしゃれな雰囲気のお酒がシェアを伸ばしています。

こうした傾向に寄り添いながら、いかに新しいビールの味を提案するか。それは、少子高齢化に加えて、若年層の飲酒離れに対する答えにもなるはずです。

さらに、もう一つ、サントリーがビールに力を入れる理由があります。

サントリーホールディングスは、現社長の新浪剛史氏から創業家出身で副社長の鳥井信宏氏への社長交代が遠からずあるといわれています。信宏氏へのバトンタッチはほぼ確実視されていますが、創業家社長へのスムーズなバトンタッチのカギの一つとなるのが、国内ビール市場のシェアをどう伸ばすかだといわれているんですね。

各ビール会社にとって、ビールの定義変更は、新商品創出の願ってもないチャンスです。それに加えて、サントリーにとって、ビールの定義変更による新商品創出は、自社の命運をかけた大きなチャレンジだといえるのではないでしょうか。

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