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人口を支える食料と木材の生産力

小学生の頃から不思議だったこと。

地理の時間だったか、ヨーロッパの国々の人口はほとんど日本より少ないことに気付いた。イギリスもフランスも日本の半分ぐらい。ドイツだって東西合わせて8000万人に届かない。しかしヨーロッパは基本的に平地が多く、農地面積は広い。

それに比べて日本は山がちで平野はわずかだし、その中に町をつくっているため農地は少なめ。山の斜面まで農地にしているが、たいして増えないし効率悪い。それなのに、なぜ多くの人口を支えられるのか。逆にヨーロッパはなぜ人口が増えなかったのか。

そんな素朴な疑問を持ち続けていたのだが、最近読んだ本で解答を得た。

日本は米を生産している。ヨーロッパはよくて小麦。北側ではライ麦がせいぜいで穀物の育たない地域も少なくない。ところが米と小麦の収穫量が全然違ったのだ。

米は播いた種子(米粒)の110~140倍の収量が見込めるのに対して、小麦は20倍前後にすぎないらしい。これが15世紀だと、米が20~30倍、小麦で3~5倍だったそうだ。

 しかも日本では米の収穫の後に麦を植える二毛作も可能だった。ヨーロッパの冬はほとんど農業は不可能で、せいぜい牧草を育てて牧畜を行う程度だった。

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秋の稲穂と、春の小麦畑

さらに日本の米はカロリーベースで1アール10万キロカロリー。トウモロコシを植えるアメリカは2万8000キロカロリーしかない。

そうか、日本は少ない耕地で多数の人口を養える生産力があったのだ。だから日本は(正確には米を生産するアジア全体が)人口を増やしたのか。日本の農家当たり耕地面積は2ヘクタールもないが、その中で生産性を上げてきたのだ。

もちろんスゴク手間がかかる。水田をつくるには地面を平坦にしなければならないし、水の管理もきめ細かい。肥料も多投しなければならない。草取りも大変……。でも、おかけで小さな面積からおおきな収穫を得ることができた。

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お米、バンザイ。

と、これで終わってはつまらない。

ようは面積ではなく、生産性である。これを林業に応用すると、どうなるか。

もちろん日本固有のスギやヒノキは、外材の主な樹種に比べて生長が早いわけでもなければ木質が優秀とも言い切れない。お米に相当する作物の力はない。

しかし、農産物をカロリーベースで見るように、価格で比べたらとうか。ようは木材が生み出す富がどれほど人を養えるか、である。

そんなこと言ったら、スギはメチャ安いではないか、と文句が出てくるだろうが……ほんの少し前、日本の銘木と呼ばれる木々、たとえば京都野北山杉の磨き丸太は世界一高い木材として有名だった。

せいぜい20年生の丸太1本が10万円どころか100万円するものもあったのだ。吉野杉も、完全に無節の柱材にすると、とてつもない価格になった。

それは樹木そのものの性質による銘木ではなく、人が作り上げたものだ。絞り丸太だ錆丸太だ出節丸太だ、あるいは四方無地だと生長過程に人が手を加えることによって達成した。

そんな産地は手間隙かけた作業を行った。その点、粗放林業とは一線を画す。それゆえ大面積は無理で、人里近い山(毎日のように通わなくてはならないから)で、狭い面積の持ち山で丹精こめて作り上げた木材であり林業だったはず。

つまり小さな山で木を一本一本手をかけて高く売る品を作り出す林業もありではないか、と考えるのだ。

たとえば山から100本だけを選んで徹底的に手をかけて育てる。多すぎると、手が足りなくなるからだ。そして収穫後も加工に知恵と手間をかけて高く売れる商品に仕立てる。

もちろん、今では磨き丸太なんか高く売れない。今風の感性とアイデアを元に開発するという前提だが……。

どんな商品かって? 美しい庭木や緑化木かもしれないし、よりインテリアになる形状や色合い・木目をしている木かもしれない。

たとえば伐ってみると断面が虹色だとか、輪切りすると猫の顔が現れる木目とか(笑)。幹が二重螺旋しているとか。。。(そんなアホな。)

もっとも材質より加工が大切だ。ようは高くても売れるニーズを見つけることだ。 

量の林業とは、大面積が必要で低コスト育林と低コスト伐出が欠かせない薄利多売の林業である。

それに対して質の林業とは、小面積で一本の価格を追求する林業。育林にも加工にも手間とコストをかけて、それでも報われる品を生み出す。

ある意味後者の方が、趣味的なこだわりの林業として行える。

そんな林業も存在してほしい。それは意外と日本に向いているのではないか。

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