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「アスペ」日本における誤解、誤訳、誤用の実態


ibreakstock / Shutterstock.com

著:Nevin Thompson & Michael Peckitt

 最近行われた人気漫画家へのインタビューをみると、「アスペルガー」という言葉がいかに日本で理解されておらず、また同時にネットオタク文化で広く浸透しているかがわかる。

 4月のはじめ、日本のポップカルチャーを扱うサイト、ニコニコニュースインタビュー記事で人気漫画家の山田玲司氏は、アニメや漫画のキャラクタにアスペルガー症候群と思われる人物が多く登場すると述べている。

 アスペルガー症候群は自閉症スペクトラム障害の一つで、日本人の約1%に表れる。山田玲司氏は、ノンフィクション漫画シリーズ「絶望に効くクスリ」の作者で、アスペルガー症候群は、漫画やアニメの主人公にピッタリだと述べている。

最初に、ザックリ言ってしまうと、ちょっとイカれた変わり者が、何でもかんでも病名を付けられるというトレンドが、ここ20年ぐらいあるわけ。実際のところ、本当に障害なのか病気なのかは、定かではないし、専門家によっては、意見が分かれているんだけど、いわゆるアスペルガーヒーローみたいな人達が活躍する時代というのがあるのよ。

 山田氏によれば、アスペルガー症候群の人は極度に合理的であることに加え、高い分析力と鋭い直感力を持つ一方、共感力に欠けるので、主人公にすると面白いという。

ザックリと特徴を言うと、ずば抜けた能力がある。これは、合理的な能力。分析力、直感力も含めて、能力は高いんだよね。スペックが高いという。だけど、共感力に欠ける。つまり、自分だけの世界にいて、美意識が高く、どこか人を馬鹿にしている。

◆ドラマの役柄としての「アスペルガー・ヒーロー」

 山田氏がいう「アスペルガーヒーロー」というのは、能力は高いが人とうまく関われないタイプのキャラクタで、日本の漫画やアニメの主人公としては定番だという。共感力がなくても、別の飛び抜けた能力があるので役柄としては許されるのだ。たとえば、デスノートLである。Lは、キラと呼ばれる連続殺人犯を忍耐強く追い続ける。ボサボサの黒髪で、ずば抜けて優秀なLは、確かにアスペルガー・ヒーローかもしれない。仕事の能力が圧倒的に高いので、愛嬌がなくても許されるのだ。

 アスペルガーの人をヒーロにするドラマの設定は日本に限ったことではない。山田氏によると、BBCドラマ「シャーロック」では、ベネディクト・カンバーバッチ演ずるシャーロックがまさにこのタイプの主人公で、助手のワトソン役はマーチン・フリーマンだった。

例えば、名探偵シャーロック・ホームズを現代に蘇らせたと評判になった。英国BBCのドラマ『シャーロック』…アスペルガーっていうのはバディー物に向いてるんだよ。クールでバンバンやっていく人の横に、一般的な人情派が付く。だから、『シャーロック』は見事。

◆日本で使われる「アスペ」というスラング

 ニコニコニュースの山田氏のインタビュー記事のタイトルは、「アスペや発達障害の主人公が愛される理由を考えてみた」である。

 この記事では、アスペルガー症候群と同じような特徴を持つ人という意味でアスペルガーのスラングである「アスペ」という表現を使っている。(英語でも「アスピー(aspie)」という場合がある)山田氏は、医学用語の「アスペルガー症候群」を使っている。

 日本では、人と違った行動をしたり、変な態度をとる人に対しても、冗談で馬鹿にするときに「アスペ」という言い方をする。

 たとえば、あるツイッターのユーザーは、AKB48の大園桃子さんを馬鹿にしてアスペと呼んでいる。

 顔面から滲み出るアスペ臭 pic.twitter.com/p1gfp6nKst

 — ぼぶ田ぼぶ子 (@RIKACHAN_SUCHI) May 3, 2017

 日本のインターネットにおけるこの現象は、最近韓国タイムズでも取り上げられた。

20~30代の日本のネットユーザーは、精神に障害のある人、あるいは人と違った行動をする人を「アスペ」と呼ぶ。

 韓国タイムズは、日本人の精神科医、星野概念氏の日本語コラムを引用している。

 星野氏は、4月下旬の週刊文春で山田氏の発言に答える形で、アスペという言葉使いについて書いている。

簡単に「お前まじアスペ」とは言えないはずです。なぜなら、精神医学を専門に学んだ医師でも「アスペルガー症候群」と診断を確定するには相当な勇気が要ります。それほど難しい診断なのに、人と違っているというだけで簡単に「アスペ」と言うのは、ただの誤診です。

 星野氏は、その言葉を使って人を馬鹿にすることについて以下のように批判している。

その方々が、「アスペ」という言葉を聞いて、嬉しいと思うでしょうか。たとえ「お前まじアスペ」と軽い気持ちで言う相手が、通院などを要さない人であったとしても、周りで聞いたり見たりする人で間接的にショックを受ける人がいるかもしれません。それくらい繊細に考えるべきだと思います。

This article was originally published on Global Voices. Read the original article.
Translated by Ko Ito

Text by Global Voices

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