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早慶生の4割強が「AO・推薦」となるワケ

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■大学が個性を競い合う時代に

大学が個性に合わせた学生を求める動きは、早慶以外でも起きている。例えば京都大学は、書類やセンター試験を通して高校での実績や能力を総合的に評価する「特色入試」を実施している。

「京都大学の山際寿一総長は、京大は研究者を養成するのがミッションだと言っています。研究者に必要な志を見るために、高校時代の学業活動報告書や大学入学後の学びの設計書を提出させ、面接をしているのです」(小林氏)

ほかには国際基督教大学は講義を聴いて設問に回答する試験を、上智大学はアカデミック英語能力判定試験(TEAP)の得点を提出する入試形式を設けている。

大学が自らの個性や役割に合った学生を求める入試は、欧米でも行われている。例えば英オックスフォード大学は、大学に合った学生を選ぶため約1万6000人の受験生全員と面接を行う。面接では「志望理由」を詳しく聞くため、「偏差値が高いから」では門前払いされてしまう。

■AO・推薦入試の増加は全国的な傾向

日本国内で見ると、2000年度から2015年度までの間に、大学全体におけるAO入試の入学者数は1.4%から8.8%、推薦入試は31.7%から34.7%に増加している(文部科学省)。AO・推薦入試の増加は全国的な傾向だ。

その一方で、AO・推薦入試入学者は一般入試入学者より学力が劣るのではないかという懸念もしばしば抱かれる。これに対して小林氏は「今後は、AOでも推薦でも学力の3要素を見る形になる」と語る。

「学力の3要素」とは、(1)知識・技能の確実な習得 (2)[(1)を基にした]思考力、判断力、表現力 (3)主体性を持って多様な人と協働して学ぶ態度の3つを指す。文部科学省が取り組んでいる高大接続改革で、この3要素をすべての入試区分で見ることが目指されているのだ。大学には、学力の評価方法をアドミッションポリシーや募集要項で明示することが求められるようになる。

「今まで、学力とは知識と技能を指していましたが、知識・技能をもとに答えが定まらない問題に解を出す力や、主体性・多様性・協働性も見ていきます」(小林氏)

■実は「最も成績が良い層」はAO・推薦組

大学入試において「学力の3要素」が重視されている背景には、従来の「詰め込み型」では対応できなくなった時代の変化がある。

「『偏差値の高い大学に入り、大企業に入る』というのが高度成長期日本の成功モデルでしたが、都市銀行の統合が進み、大手メーカーも海外企業に買収されるなど、随分と変わってきました。また、2017年に生まれた子どもは107歳まで生きると言われており、学ぶ時期、働く時期、老後の区分も変化しています。そこでは、詰め込み型ではなく、自分で学ぶ力をつけなければならないのです」(小林氏)

また、AO・推薦入学者の学力については、こんな話もある。早稲田大学広報課によると、各入試での入学者数や学部による違いはあるものの、「入試形態別で入学者のGPAを調査すると、本学の学部全体で最も成績が良い層はAO型入試・指定校推薦入試で入学した学生である」という。同大学におけるAO・推薦入試入学者が、一定の学力を持っていることを示す一例といえる。

■「受験勉強ができる」も個性のひとつに

入試方法の多様化が進んだ場合には、高校時代の経験や積み重ねの影響が大きくなりそうだ。「通っていた高校によって差が出るのではないか」という問いに、小林氏はこう答える。

「それはあると思います。ただ、私立の一貫校が良いという意味ではありません。受験に強い一貫校の中には、前倒しで授業を進めて最後の1年間を受験対策に使う学校もありますが、それでは太刀打ちできません。高校時代までの経験価値が大切になるのです。高校による評価の仕組みも変わり、評定平均だけではなく、部活動やボランティア、留学などの日々の活動も調査書で見られるようになります」(小林氏)

「学力の3要素」の育成と親和性がある高校の例としては、探究型の学習を行っているSSH(スーパーサイエンスハイスクール)やSGH(スーパーグローバルハイスクール)が挙げられる。SSHは将来の国際的な科学技術関係人材を、SGHはグローバルリーダーを育成するとして、文部科学省の指定を受けている高校だ。これらは、地方の公立校にも増えてきているという。

「受験勉強ができるのも個性です。一般入試にしろ、AO・推薦入試にしろ、選抜性が高い大学には自分なりの個性を持っていかなければならなくなるでしょう」と小林氏。入試方法は多様化しているが、それは求めるレベルが下がることを意味するわけではない。各大学が自らの個性に合う学生を入学させるため、入試の選択肢を増やしているということだ。早慶でのAO・推薦の割合増加も、その変化の一つといえるだろう。

(フリーランス編集者・ライター 飯田 樹 写真=時事通信フォト)

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