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男はなぜセクハラをしてしまうのか

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Q:このような男性たちに「女は俺に関心がある」と勘違いさせるものは何か?

最近暴露された何人かの権力を持った男たちの中でも、とりわけ意味不明で不快な行動が「自分の裸を見せる」というものだが、これは相手の女性が自分のことを魅力的に思っているはずだし、裸さえ見せれば自分に好意をもつはずだ、という期待を持っているからだという。

そして意外なことに、これにはちゃんとした科学的な説明ができるという。

2011年に発表された画期的な研究結果では、リーダー的な立場にいる人たちが、幻の「性的なシグナル」を、実際は好意をもっていない部下から受け取ることが多いということが判明している。

ジョナサン・クンツマンとジョン・マナーの行った実験では、78人の男女を異性同士でペアにして、片方がリーダーとなり、それぞれおもちゃの「レゴ」を使って、共同でオブジェをつくるプロジェクトを実行してもらっている。

このプロジェクトが終わったあとに被験者たちは個別にインタビューされるのだが、この結果としてわかったのは、リーダー役をした人のほうが、部下役のほうはなんとも感じていないのにもかかわらず、自分の方がはるかに「性的に好意をもたれている」と感じたということだ。

実験者側が被験者たちの動きを撮影した動画を後で分析してみると、リーダー役の人の方が勘違いした行動をしており、部下の足をさわったり、目をじっとみつめたりという行為が多いことがわかったのだ。

マイアミ大学オハイオ校の心理学者であるクンツマン教授は、「権力は、このような不品行をしてしまうような精神状態をつくりあげてしまうのです。このようなロマンチックな雰囲気を過剰に感じてしまう傾向によって相手を自由にタッチしても良いという感情を生み出し、結果として不品行につながることがあるのです」と述べている。



Q:このような男性が最終的に求めているのは「性的充足」?それとも「支配的な状態」?

前述のプライヤー教授は「セクハラについてよく言われるのは、それが性的な欲求ではなく、権力の現れとして行われるものだということです」と述べている。

近年において性と権力の関係性について研究してきた心理学者たちの研究によれば「セクハラ度」の高い男性の多くにとって、この二つのアイディアは互いにからみあっていることが多いという。

同教授は「この二つは同じコインの表裏であり、あまりにも密接なために、その二つを切り離すことができないほどです。彼らがもし誰かに対して権力を持った立場になれば、その相手に対して性的な考え方を抑えることは難しくなります。しかもそれについて考えれば考えるほど払拭することができなくなってしまうのです」と述べている。

Q: ハラスメントをするのがほぼ常に男性であるのはなぜなのか?

これについては統計学的な答えが出ている。現在の社会の間違いや偏見など、その現実を踏まえて考えれば、あいかわらずリーダー的な立場にある男性の数が圧倒的だからだ(ところが最近あった事件では、女性のリーダーが男性の部下にハラスメントを行っていたとして訴えられた例が報告されている)。

また、このようなハラスメントについて、フェミニスト的な構造の解釈もある。つまり、ハラスメントというのは支配状態を誇示するための手段として使われ、女性がその手段として利用されるというものだ。

ところがイリノイ大学アーバンシャンペイン校の心理学者、ルイーズ・フィッツジェラルドによれば、行動科学では性別の違いが行動の違いに出ることが判明しているという。

同教授は「女性がそのような後ろ暗い人格をもっていないというわけではないのですが、それでも性別の研究から判明しているのは、男性のほうがアグレッシブで、セックスを求めて社会的な行動をし、その権利があると考えているという点です」と述べている。

Q: 最近の#MeTooによるセクハラ暴露運動は社会を変えるか?

セクハラが及ぼす破壊的な影響について30年間研究してきたフィッツジェラルド教授は、意外なことに、現在の社会変革を起こそうとするムーブメントの将来的な成果については悲観的である

「私はクラレンス・トーマスの最高裁選出の公聴会の時にも、いよいよ文化が劇的に変わる時が来た、すべてが変わる!と考えておりました。ところがその20年後になっても人々はセクハラがまだ存在していたことを再発見して驚いているような状態なのですよ」と同教授は述べている。

現在注目を集めているセクハラ関連のニュースは、ハリウッドやメディアのように、主に注目を浴びやすい立場にある人々に関係したものばかりだからだ。

「このような報道があったとしても、ウォルマートや工場でセクハラを受けている女性たちの立場を変えることになるでしょうか?私は微妙だと思います」と同教授は述べる。

ところが前述のプライヤー教授によれば、#MeTooによって、セクハラやハラスメントによる社会的な不名誉の度合いが変わる可能性があるという。

「#MeTooによる暴露運動が示しているのは、このような経験がいかに頻繁に行われたのかという点です。そしてこのおかげで、今までハラスメントを受けても泣き寝入りによって隠されていた沈黙状態が、解消される可能性も出てきたのです」と同教授は述べている。

そして前述の教授たちが述べているのが、このムーブメントのもうひとつの効果が、セクハラ研究への関心を高めたことにあるという点だ。

たとえば(現在は半分リタイアした)プライヤー教授が1980年代にセクハラを研究しはじめた当時は、この研究に対する支援は少なかった。同教授は初期の多くの研究を自費でまかなわなければならず、業務以外の空き時間をつかって「セクハラ見込み度」のような研究を進めたという。

それから数十年が経過して、状況は改善したが、それでもその度合はわずかなものだという。

「現在われわれが目にしている状況は、私の経歴を考えるとすでに手遅れだけどようやく始まってくれたかという感じです。これが後に続く世代にとって分岐点になればいいんですがねぇ」

===
文化が違うという点を考慮しても、このような研究の成果は、洋の東西に関係なくすべての国に当てはまりそうですね。

それにしてもリーダー役の人間は、勝手に部下から「好意を持たれている」と勘違いしやすいというレゴの実験は、なんというか、人間のサガのようなものを如実に感じさせてくれるものであります。

「英雄色を好む」とはよく言われることですが、この研究が正しければ、ミクロなレベルでも「上司」になった人間は「(異性の)部下に好かれている!」と勘違いしやすいということですね。

逆にいえば、そのような「部下からの好意」というのは幻(ファントム)でしかない、という切ない話になるわけです(苦笑)

そしてその反対に、部下になった人間も「上司は勘違いしやすい」と知っておくのは重要かと。、
いずれにせよ部下を持った人間だけでなく、「人の上に立っている(と感じている)人間は、性別に関係なく、すべからく自重・自制すべきであり、決して勘違いしてはならない」という警告として受けとった方がよさそうです。

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(羽田空港上空からの眺め)

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