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立憲民主党・枝野代表へ「非正規公務員の正規化」「公契約法で官製ワーキングプア根絶」を基本政策に

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 前回、「立憲民主党の基本政策「公務員人件費削減」は官製ワーキングプア増大で更なる貧困・自己責任社会まねく」と指摘しました。うれしかったのは、旧来の公務員バッシングよりも立憲民主党の公務員人件費削減を批判するツイート、リツイートの方が圧倒的に多かったことです。

 これは政治の世界で最も激しく公務員バッシングを主張している日本維新の会が支持を失っていることにも示されていると思います(▼下の画像はNHKの直近の世論調査〈1月6~8日〉)。

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 公務員バッシングが激しくなったのは、1981年の第2臨調(第2次臨時行政調査会、会長に土光敏夫経団連名誉会長)が「公務員の総人件費抑制」「行政の効率化、減量化」「民間活力の導入」を打ち出したときからです。

 その流れで1982年に発足した中曽根内閣が国鉄分割民営化を強行。2001年には「橋本行革」による中央省庁再編が強行され新たに内閣府が設置され、現在の加計・森友問題の背景にある時の政権による行政私物化の流れや、内閣府に法定化された経済財政諮問会議によって財界の意向がダイレクトに国の施策に持ち込まれることになりました。さらに郵政民営化など「官から民へ」「小さな政府づくり」を強力に進めた「小泉構造改革」によって、今に至る「貧困と格差」が拡大し続ける日本社会となってしまいました。

 こうした貧困と格差を批判して登場した民主党政権も「行革」「官から民へ」「小さな政府づくり」という点では自民党政権の延長線上にあり、いま欧米の市民運動で高揚している反緊縮によって新自由主義に対抗する政策を展開することはできず、民主党政権は瓦解しました。

 そういう意味では、もう40年近く、「行革」「官から民へ」「小さな政府づくり」「公務員人件費削減」は実施されてきたのです。

 その結果、日本社会は良くなったでしょうか?

 ジャーナリストの斎藤貴男さんが指摘しているように、「公務員バッシングすればするほど政府・財界の“思うツボ”、政府・財界・特権官僚による悪政から目をそらす“うっぷん晴らし”の代償は“自分で自分の首を絞める”民間・公務労働者共倒れ貧困社会の到来」というのが事実です。

 また、雨宮処凛さんが指摘するように、「公務員バッシングで得するのは誰か? 公務員バッシングは「犠牲の累進性」の典型=公務員より民間正社員が厳しい→民間正社員より非正規が厳しい→非正規よりネットカフェ難民が厳しい→みんなを黙らせていく」という日本社会になってしまっています。

 今回、立憲民主党の公務員人件費削減を批判するツイート、リツイートの方が圧倒的に多かったのは、公務員バッシングを40年近くやってきたけれど、日々の暮らしが悪くなるばかりであることを、多くの人が認識し始めているということではないでしょうか?

 なので、立憲民主党には公務員人件費削減という「基本政策」を撤回して、「非正規公務員をただちに正規化し官製ワーキングプアをなくします」という政策にあらためて欲しいと思いますが、枝野さんがよく分からないツイートをしていますので、以下少しツッコミを入れておきます。(※「▼」にツイートをリンクしています)



◆公務員に労働基本権が回復したら「職員団体」でなく「労働組合」になります。(細かい話ですが)



◆「幹部級の一部」は、現在でも労働組合に加入することはできず、職員団体との交渉の課題ではありません。公務員に労働基本権が回復したら実質的に使用者の利益を代表する管理職になりますので、労組法上、組合に加入することはできません。ですので「幹部級の一部」の人件費はそもそも労働組合の交渉の対象にはなりません。

◆「非正規公務員の正規化を含む処遇改善」を「急ぐべき課題」と言うのなら、「基本政策」として「非正規公務員をただちに正規化し官製ワーキングプアをなくします」と明記してください。



◆「公務員人件費総額を削減することは困難だと思」うのなら、ただちに「基本政策」から「公務員の人件費削減を目指します」を削除してください。今の書き方だと誰もが「公務員人件費総額を削減する基本政策」だと認識します。

◆枝野さんは「幹部級の一部の人件費削減を目指す」という意味だと言っているわけですが、下表(人事院の資料)にあるように、「幹部級の一部」(指定職俸給表が適用される国家公務員のトップで現在959人。給与法の対象の国家公務員のトップ0.34%)の平均年収は1,684万円(一時金4.4月含む)です。民間企業で言えば役員クラスになるわけですが、この水準をもっと削減すべきというならそれは時の政権ができることですからやればいいと思います。




◆これはどう転んでも「官から民へ」をさらに進めることになります。「官から民へ」「公的サービスの民営化」と言うと何か良いことのように思う人もいるのでしょうが、「公的サービスの民営化」の本質は「公的サービスの私物化」です。公務員の仕事を民間に投げるということは、公的サービスを営利企業の利潤追求の対象にしてしまうということです。

加えて必然的に労働者の貧困化をまねきます。たとえば、国土交通省の河川事務所の民間委託料のうち35%は民間業者の役員報酬や内部留保等にあてられています。公務員が仕事をすると「原価+人件費」ですが、民間企業に委託すると「原価+人件費+35%の役員報酬や内部留保等」となるわけです。

そうすると同じ経費をかけたなら「人件費」を削減するほかありません。結局、労働者の貧困化をまねくことになるのです。どんな仕事でも民間企業は利益を生むために存在しているのですから、公務の「原価+人件費」を民間企業に投げると「原価+人件費+利益」となり、労働者は必ず貧困化することになります。

官製ワーキングプアというのは、公務内での非正規化と同時に、「公的サービスの民営化・民間委託」によっても多く生み出されているのです。ですので、より正確に言うなら「非正規公務員をただちに正規化すると同時に公契約法により民間委託等の官製ワーキングプアをなくします」とする必要があります。

この「公的サービスの民営化・民間委託」による最悪のケースが派遣労働者です。私は「霞が関で働く派遣労働者座談会」を行ったことがありますので、巻末で紹介しておきます。

★「公契約法」については、日弁連の「官製ワーキングプアをなくし、生活賃金を! 公共サービスの質の向上を! 適正な競争で地域経済の活性化を!」を参照ください。



◆「非正規を中心とした公的サービスを担う低賃金の皆さんの処遇改善と賃金底上げ」が大事と言うのなら「非正規公務員をただちに正規化すると同時に公契約法により民間委託等の官製ワーキングプアをなくします」と「基本政策」を書き換える必要があります。そして、「官から民へ」「小さな政府づくり」から反緊縮・反新自由主義へと明確に舵を切ってもらいたいと思います。

▼〈霞が関で働く派遣労働者座談会〉
賃下げ有休ゼロとなる競走入札、
交通費は出ず電車遅延で賃金カット
A省庁で働くAさん(男性)
B省庁で働くBさん(女性)
C省庁で働くCさん(男性)
〈司会〉井上 伸
(月刊誌『KOKKO』2017年6月号より)


霞が関で派遣労働者として働く

――きょうは霞が関の省庁でフルタイムで働く派遣労働者のみなさんに集まっていただきました。最初に省庁で派遣労働者として働くことになった経緯について聞かせてください。

 A 大学を卒業して民間の会社で働いていたのですが、上司からパワハラを受け精神的にまいってしまい出勤することができなくなりました。その会社を辞めて仕事をさがしているときに、派遣会社のホームページで、「霞が関の官公庁で安定した仕事をしよう」という告知を見て応募しました。

 B 大学院で勉強して博士課程も修了したのですが、就職先が見つからず、いまの仕事は少しだけなのですが大学院で学んだことも活かせる省庁だったので働いています。

 C 高校を卒業して民間の会社で働いていたのですが、その会社が倒産してしまい失業してしまいました。仕事をさがしていて、最初は霞が関にある省庁の非常勤職員で働いていたのですが、その省庁の職場は、国会対応もあり、非常勤職員も正規の国家公務員並みに働かなければいけないところで、過労がつのり身体を壊してしまいました。それで非常勤職員として働き続けることができなくなって、いま派遣労働者として働いています。

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