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【読書感想】人工知能の「最適解」と人間の選択

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人工知能の「最適解」と人間の選択 (NHK出版新書 534)

人工知能の「最適解」と人間の選択 (NHK出版新書 534)

Kindle版もあります。

人工知能の「最適解」と人間の選択 (NHK出版新書)

人工知能の「最適解」と人間の選択 (NHK出版新書)

内容紹介
人工知能はブラックボックスだ。人生を左右する判断を委ねていいのか?

AI裁判、AIトレーダー、AI人事、AI政治家、そして、「人類代表」佐藤天彦名人が挑んだ電王戦――。膨大な計算力を背景に導き出される「最適解」に、私たち人間はどう向き合えばいいのか? そして、正しく「操縦」できるのか? 国内外の現場取材を基に、山積みの課題からルールづくりまで、人工知能と社会のかかわりを展望する1冊。『人工知能の核心』に続く、NHKスペシャル「人工知能 天使か悪魔か」シリーズ出版化第2弾!

第一章:「最適解」と神の一手~電王戦第一局
第二章:研究室からリアルワールドへ~広がるビジネス利用
第三章:管理される人間たち~「最適解」といかに向き合うか
第四章:人工知能は世界を救うか~AI政治家の可能性
第五章:盤上に現れた未来~電王戦第二局

 2016年5月15日に放送されたNHKスペシャル『天使か悪魔か 羽生善治 人工知能を探る』を書籍化した『人工知能の核心』の続編にあたります。

 2017年6月に放送されたNHKスペシャル『人工知能 天使か悪魔か 2017』が元になっているのですが、前作が「人工知能の現在」を紹介した内容であるのに対して、今回は「人工知能が社会に浸透していくなかで、人間は人工知能とどう付き合っていくべきなのか」がテーマとなっているのです。

 すでに、人工知能は、生活のなかに取り入れられていて、さまざまな影響を及ぼしているのですが、結局のところ、それを使うのが人間である、というのが最大の問題点ではあるんですよね。
 この本のなかで、最後の『電王戦』での佐藤天彦名人と最強の将棋ソフト・ポナンザとの対局が採りあげられています。
 結果は、佐藤天彦名人の2連敗だったのですが、この対局そのものは大きな話題になったものの、佐藤名人が負けてしまったことに対しては、ほとんどの人が冷静に受け止めていたのです。

 『電王戦』で、はじめて現役プロ棋士がコンピュータに負けたときの人間側の憔悴を考えると、隔世の感があります。
 『ポナンザ』が、佐藤慎一四段を破ったのが、2013年5月ですから、まだ4年半しか経っていないのに。

 事前準備用に貸し出されていたポナンザとの対戦について、記者から尋ねられた佐藤名人は、「ほとんど勝っていません」と率直に明かしている。
「ポナンザは、現役のプロ棋士の強さを超えていると言っていいぐらいの実力を持っているのではないかというのが個人的な意見です」
 もちろん、名人の威信を賭けた戦いに敗れたことには、「残念です」の一言では表されない心境があっただろう。しかし、対局を自ら明晰に分析する佐藤名人の姿には、何より、ポナンザという「強い相手」から大きな刺激を受けた喜びが窺えた。

「技術的なことが勉強になったのはもちろんですが、『こんな世界もあるんだ』『将棋にはこんな手もまだ残っていたんだ』と感じられたことが、将棋を愛好する者として大きな財産になったと思います。『これまで人間がやってきた将棋とはまた別の銀河があってもおかしくない。それぐらい大きな可能性が将棋にはあるのかもしれない』と感じました」

 盤上で人工知能と出会った衝撃は、佐藤名人の心を大きく揺さぶった。

「ポナンザは、人間よりも将棋の神様に近い側にいるのではないか。それほどのすごい存在と一瞬すれ違った――それが今回の電王戦だったのだと思います」

 人工知能の力を見せつけられた電王戦第一局。羽生善治もまた、佐藤名人に通じる思いを抱いた。
「今までの根本的な将棋のセオリーをもう一回見直さなくてはいけなくなった。その点で、非常にインパクトの強い一局だったと思っています。棋士たちがシャベルやスコップで掘っていたら、人工知能が急にブルドーザーで一気に開拓を始めた――そんな印象です。人工知能によってまた、今まで見たこともないような新たな手や戦術が生まれてくる可能性は十分あるのかなと思います。最近よく考えるのですが、ずっと長く将棋をやってきた身としても、全体の中のひとかけらというのでしょうか、(人間は)一部分の局面しか見てこなかったのだなと」

 佐藤天彦さんや羽生善治さんは、人工知能と勝負する、というよりも、人間より強い人工知能から学んで、人間の将棋をより深化させていこう、と考えておられるようです。
 将棋の世界で起こっていることは、人間社会全体でこれから起こることを先取りしている、とも言えそうなんですよね。
 人工知能と人間が勝負するのではなく、どうやって人間より優れた人工知能を活用していくか、という時代になってきているのです。

 そこには大きな問題もあって、『ポナンザ』のように「機械学習で自ら学んで強くなる」という場合には、人間には、その思考、選択のプロセスがわからないんですよね。

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