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【読書感想】文豪の女遍歴

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文豪の女遍歴 (幻冬舎新書)

文豪の女遍歴 (幻冬舎新書)

Kindle版もあります。

文豪の女遍歴 (幻冬舎新書)

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内容紹介

下司だ、覗き見趣味だと言われようと、文学者の異性関係を知るのは楽しい。彼らが当時の姦通罪に怯え、世間の猛バッシングに耐えながらも不義を重ねたり、人間の痴愚や欲望丸出しで恋愛し、破滅と蘇生を繰り返し、それを作品にまで昇華させるタフさに畏怖すら覚える。小説はモデルなど詮索せず、文章だけを虚心坦懐に読めと言う人もいるけれど、そんなつまらない味わい方はしたくない――。森鴎外から太宰治、芥川龍之介、谷崎潤一郎ほかスター作家62名の赤裸々な性愛の記録。日本文学の真髄と、生の根源がここに。

 著者は「まえがき」に、こう書いています。

 私はこれまで、文学者の伝記を5冊ほど書いてきて、今も近松秋江伝の準備をしているところだ。

 作家に限らず、伝記でいちばん面白いのは、異性関係である。もちろん、同性愛者であれば「同性関係」になったりするわけだが、世の中には、そういうことを調べたり書いたりすることを嫌う人というのがいる。最近の人物なら、遺族が嫌がるが、それ以外でも、下司だ、のぞき趣味だ、と言うのである。

(中略)

 私はもちろん、のぞき趣味だ週刊誌だと言われたって、異性関係について読んだりするのが大好きである。本書では、近代文学者たち60人程度について、その異性関係(や同性関係)を記述する試みである。

 夏目漱石・森鴎外から、谷崎潤一郎、川端康成、そして、開高健、高橋和巳まで。

 幕末生まれから、昭和初期生まれまでの、すでに亡くなっている作家が採り上げられているのですが、これを読んでいると、「プライベートの恋愛ネタを書けない有名作家というのは、幕末以降の日本にはいないのではないか」という気がしてきます。

 ちなみに、リストのなかで、もっとも遅く生まれた作家は、1934年生まれの池田満寿夫さんです。

 『週刊文春』も『2ちゃんねる(いまは『5ちゃんねる』なのかな)』もない時代で良かったねえ、と思うほど、性におおらかな人が多いことに驚かされます。

 親族の女性や友人の妻(夫)、弟子、芸者など、「愛人がいない人のほうが珍しい」のです。

 まあ、このエッセイ集のテーマからして、そういうのに縁がない人のことは書かれていないのでしょうけど、じゃあ、これに載っていない有名作家を挙げてみろ、と言われると、ちょっと困ってしまうんですよね。

 昔は今とは倫理観が異なるとはいえ、正直、この人たち、よくこんなに異性関係に費やすエネルギーがあるなあ、と感心するばかりです。

 そのくらいの有り余るものがないと、小説は書けないのかな。

 ネットでは、「私生活を切り売りするメンヘラ」が叩かれがちですが、もしかして、昔は小説にしていたことを、ブログやSNSに書くようになっただけなのでは……。

 「下司なスキャンダル」が多くの人にアクセスされるのは、今も昔も変わりません。

 著者は、最初の夏目漱石の項で、こう書いています。

 漱石、名は金之助。私がいたった結論は、漱石は一度しか結婚せず、多くの子供をなしたが、妻以外の女とはセックスせず、娼婦を買ったこともない、というものである。

 なぜ漱石が「国民作家」になったかといえば、東大卒の英文学者で、東大講師をしており、明治四十年代以降、自然主義が盛んになって、性的な経験を描く作家が増えた中で、漱石は性的なことがらを書かなかったから、中産階級の家庭で、漱石なら読んでもいいということになったからである。大正5年(1916)、漱石門下の赤木桁平は、「読売新聞」に『「放蕩文学」の撲滅』を

書いて、近松秋江、吉井勇、久保田万太郎、後藤末雄など、情痴小説を書く作家を攻撃したが、その際、森鴎外や小山内薫や谷崎潤一郎はなぜか除外された。そして、そんなことを言ったら、漱石か小川未明くらいしかそういうことを書かない作家はいないじゃないかとも言われた。未明は今では童話作家として知られるが、当時は普通の小説家だったのである。

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