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「“反安倍”に野党三党四苦八苦」 ―“一強多弱”脱却は希望・維新の合併か― - 屋山太郎

 立憲民主党、希望の党、民進党の三つの議員集団が統一会派を目指して四苦八苦している。もともとこの三党は昨年の総選挙前は同根の党だった。小池百合子東京都知事が異様な旋風を巻き起こし、希望の党を結成した結果、民進党から当選を頼りにごっそりと移籍した。参議院議員は当分民進党のままでいることになったが、内部は希望に行きたい者と立民に行きたい者とが混在している。

 民進党は保守派(希望系)と立民系が混在していたが故に、新安保法でも憲法問題でも党内をまとめることができなかった。このような党が魅力を増して増大化するなどということはあり得ない。連合や小沢一郎氏は「自民党に対して野党がひと塊になれば議席をとれる」と声を大にして言っているが、選挙は足し算では計れない。かつての民主党のように300議席とっても、政策決定はできなかった。日米関係まで怪しくして政権は崩壊したのである。

 現在、希望の党の玉木雄一郎代表、民進党の大塚耕平代表が立民の枝野幸男代表を口説いている図だが、枝野氏は希望の党や民進党の保守派と組むことを断固拒んでいる。一方で民進党内の“立民派”には個人的に声をかけて入党させている。前代表の蓮舫氏はすでに立民に入党した。

 枝野氏の“反安倍度”は強烈で「すでに成立した新安保関連法は憲法に反するから、国会で無効にする。憲法改正問題はまっさらな憲法にしたあとの話だ」「国民は憲法改正を望んでいない。安倍さんの趣味ではないか」と言う。こういう人物と希望の党政調会長を務めている改憲論者の長島昭久氏が同一の党(民進党)に在籍していたこと自体がおかしい。長島氏や細野豪志氏、前原誠司氏らは玉木氏が立民と統一会派結成に成功したと聞いた途端、離党するのではないか。

 政党には思想の近似性が不可欠だ。更にそれを叫ぶに相応しいリーダーが必要だ。希望の党を率いた小池氏があっという間に注目されたのは、左翼勢力を「排除する」と言明したからだ。左と右が混在し、モヤモヤとしていた空気を一刀両断で左右に分けた。右だけの人気でも自民党を削ることができたろう。どうにも理由が分からないのは、いきなり「排除を取り消す」と言ったことだ。これでは民進党の後戻りに他ならず、“希望”は一瞬にして消えた。小池氏が名代として東京10区に出馬させた若狭勝氏も、あまりにもタダの人過ぎた。3着で落選したのも庶民の評価を物語っている。

 枝野氏はかねて共産党より左翼と言われた革マルから支持を得ている。統一会派問題では共産党より厳しい立場だ。今後も目立つだろうが、そのまま支持を広げていけるかどうかは疑問だ。選挙時に14%あった支持率はすでに9%に落ちている。一強多弱の状態から脱する可能性は希望の党と維新の会が合併し、維新を創業した大阪改革に大実績のある橋下徹氏を党首に担ぐことぐらいではないか。

(平成30年1月10日付静岡新聞『論壇』より転載)

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屋山 太郎(ややま たろう)
1932(昭和7)年、福岡県生れ。東北大学文学部仏文科卒業。時事通信社に入社後、政治部記者、ローマ特派員、官邸クラブキャップ、ジュネーブ特派員、解説委員兼編集委員を歴任。1981年より第二次臨時行政調査会(土光臨調)に参画し、国鉄の分割・民営化を推進した。1987年に退社し、現在政治評論家。「教科書改善の会」(改正教育基本法に基づく教科書改善を進める有識者の会)代表世話人。
著書に『安倍外交で日本は強くなる』『安倍晋三興国論』(海竜社)、『私の喧嘩作法』(新潮社)、『官僚亡国論』(新潮社)、『なぜ中韓になめられるのか』(扶桑社)、『立ち直れるか日本の政治』(海竜社)、『JAL再生の嘘』・『日本人としてこれだけは学んでおきたい政治の授業』(PHP研究所)など多数。

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