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原発避難いじめ 「全部は話しきれない」学校で子どもたちがいじめを受けるようになったことを証言 福島原発被害救済新潟訴訟で本人尋問

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2011年3月11日の東日本大震災に伴う、東京電力・福島第一原発事故によって、避難を余儀なくされた福島県内の住民がいる。復興庁によると、11月28日時点で、県外に避難をしているのは3万4419人おり、彼らは全国各地に避難している。

しかし、自主避難者の避難先住宅の無償提供が3月末で打ち切られたことによって、自主避難者を統計上、計上しなくなったため、正確な自主避難者の数は明らかにされていない。

そんな自主避難者たちの一部(239世帯、807人、10月25日現在)は国や東電に対して損害賠償を求めて各地で提訴している。12月22日、新潟地裁で開かれた口頭弁論では、本人尋問が行われた。この日は4人が証言台に立った。筆者が取材を続ける、会社員の佐藤幸治さん(51、仮名)の妻、郁美さん(45、仮名)もいた。(関連記事「一時は自殺も考えた…原発事故避難先でいじめを受けた少女」

この日証言をする4人のうち、最初に証言をしたのが郁美さんだった。幸治さんは傍聴席にいた。私の隣だった。

一度は避難したが、葛藤の中で戻った

原発事故前、郁美さんは福島県の中通りにある、夫の実家で、義父母と一緒に住んでいた。当時は長女が7歳、次女が4歳だった。夫は南相馬市小高区にある工場勤務で、普段は工場近くにある社宅に住んでいた。原発事故のことはラジオで知り、3月15日、一度は、郁美さんの実家である新潟県下越地方に避難した。

代理人:どうして避難をしようと思ったのか?
郁美:娘の同級生たちが避難をし始めていました。それに夫は会社から自宅待機を指示されて、実家に戻っていたからです。

 その後、同年4月2 日、夫の実家に戻っている。

代理人:なぜ戻ったのか。
郁美:何もわからずに避難をしていました。しかし、長女が通う小学校の新学期が始まるというので、葛藤があったものの、戻りました。

郁美さんが証言をした新潟地裁

一方、東京電力の代理人からは「いつも通り、学校は始まった?」と質問されている。

郁美: いつも通りではありません。

実際、生活も一変している。

代理人:事故後はどのように生活していましたか
郁美:水道水は飲まない。福島産のものは食べない。外に出るときには、帽子をかぶり、長袖、長ズボンを身につけていた。なるべく外出はしないようしていた。

東電代理人は、11年秋に小学校で運動会が開催されたことを指摘した。しかし、「通常と違う」という言葉が出たために、かえって東電に不利になるような証言内容になった。

東電代理人:11年秋、運動会が開催されましたね?
郁美:いつもとはまったく別のものでした。自分の競技中だけ半袖半ズボン。そのほかは長袖長ズボン。昼食は室内で。通常の運動会とは違っていた。

家族揃って、新潟に避難をすることを考えた

郁美さんたちが一家4人で再度避難をするのは12年8月6日だった。

代理人:この時期に避難した理由は?
郁美:夫が会社を解雇されていた。また、子どもたちが夏休みを迎えていたから。その時期のほうが、子どもの生活に影響がでないと思ったから。

これは郁美さんが家族揃って一緒に避難をしたいという考えだったからだ。東京電力側はその点について疑問に感じたのか、以下のように質問している。

東電代理人:なぜ12年8月に?
郁美:夫が解雇されたことと、夏に子どもをプールに入れたくなかったから
東電代理人:屋外でプール活動をするという案内があった?
郁美:はい
東電代理人:それは学校が安全と判断したのでは?
郁美:わかりません

避難後、長女がいじめに…。

長女へのいじめが始まったのは転校後、一ヶ月くらいからだった。その影響で、自傷行為をするようになり、病院で適応障害の診断を受けることになる。裁判では、以前、取材した内容を簡素に伝えていた。そして、長女の気持ちについても、代弁した。

郁美:長女は「孤立感を感じる」と言っていた。また、「避難するときにはいろいろ我慢をした。何もしていないのに、なぜいじめられるのか。こんな思いをしてまで生きる意味があるのか」と言っていました。

長女のいじめは「きもい」「けがれる」「なまっている」「サイバン」と言われたり、菌鬼ごっこの対象になったことだ。こうしたことは、一般的な転校生に対するいじめとは違うのか。
長女の作文。中学でのいじめ経験を書いているが、国語の教員はこの記述を見逃しているという。

代理人:いじめと避難は関係があるのか?
郁美:あると思います。小学校のときに「きもい」「けがれる」「なまっている」「サイバン」と言われています。
代理人:菌鬼ごっこは?
郁美:関係はあると思っています。横浜での避難いじめや、新潟県内で避難してきた子どもたちに菌鬼ごっこがあることがニュースになっている時期でした。長女は「私と同じだ」と言っていました。関係がないとは言い切れないと思います。

国側は学校のいじめの対応についても聞いて来た。

国代理人:長女が小学校のときのいじめは特定の男児か?
郁美:学年は1クラス。言葉の暴力を言っていないのは3人だけ
国代理人:学校側に改善を求めたか?
郁美:対策は取られましたが、いじめがなくなることはありませんでした。
国代理人:中学に進学してもいじめが続いた?
郁美:同じ小学校出身の女の子が吹聴して歩いたから
国代理人:「けがれる」は原発事故に関連しているのか?
郁美:はい。「サイバン」も、菌鬼ごっこもそう。
国代理人:なぜそう言えるのか?
郁美:横浜の避難いじめ、新潟の菌鬼ごっこの件がニュースになっていた時期だったので。
国代理人:それはいじめなのか?
郁美: 本人がそう感じればいじめですから。

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