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金正恩氏の「寂しい誕生日」に込められた意味


金正恩氏(朝鮮中央通信)

北朝鮮の金正恩党委員長が8日、誕生日を迎えた。米財務省が金正恩氏を制裁指定する際に発表したところによると、同氏は1984年生まれで、今年で34歳になったことになる。生まれた年については諸説あるが、いずれにせよ、30代の若さであることに変わりはない。

若さのせいか、金正恩氏は過去、誕生日に合わせて派手なイベントをぶち上げたこともあった。2016年1月、誕生日の2日前に4回目の核実験を行ったのが極め付けだが、その2年前には、金正恩氏の「マブダチ」を自称する米プロバスケットボールNBAの元スター選手であるデニス・ロッドマン氏が、正恩氏の誕生日に合わせて訪朝。1月8日にバスケットボールのエキビジョンマッチを開き、さらにサプライズらしき演出で正恩氏を大喜びさせた。

(参考記事:【動画】金正恩氏の誕生日を祝うデニス・ロッドマン

この様子は朝鮮中央テレビでも放映され、翌日の労働新聞の1面にも掲載された。ロッドマンの訪朝は謎多き金正恩氏のプライベートの一面を知る点で大いに役立った。一方、ロッドマン一行を接待するパーティーでは、名門学院から女学生たちがコンパニオンとして動員された。乱痴気騒ぎに付き合わされた彼女たちは陰で泣いていたという。

(参考記事:北朝鮮「秘密パーティーのコンパニオン」に動員される女学生たちの涙

ただ、昨年と今年は特別なイベントもなく、いたって静かに過ぎた。祖父・金日成主席や父・金正日総書記のように、そろそろ自分の誕生日を「民族の祝日」に制定するのでは、との観測が毎年出るが、そうした動きは見られない。

その理由については、「若さを気にして自制しているのではないか」との分析が各方面から聞かれる。たしかに、祖父の誕生日が祝日に指定されたのは62歳(1974年)のときで、父は40歳(1982年)のときだった。金正恩氏が「もう少し待とう」と思ったとしても不思議はない。

しかしそれよりは、金正恩氏は母親の出自を気にしているのではないか、というのが筆者の見方である。金正恩氏が自分の誕生日を祝日にしたら当然、国民の間では「お母さんはどういう人だったっけ」という疑問が持ち上がる。

金日成氏の母親・康盤石(カン・バンソク)氏や金正日氏の母親・金正淑(キム・ジョンスク)氏の誕生日は、それぞれ4月21日と12月24日だ。祝日ではないが二人の生誕記念日にちなんで、なんらかの記念行事が行われたり、国営メディアで言及されたりすることが多い。

しかし、高ヨンヒ氏に関しては誕生日どころかその存在すら明らかにされていない。彼女が、北朝鮮では要監視対象とされている元在日朝鮮人の帰国者で、しかも「親日派」と言われかねない家系の出だからだ。

(参考記事:金正恩と大阪を結ぶ奇しき血脈

そうした事実を乗り越えて金正恩氏の誕生日を祝日とするためには、日本や日本とからむ歴史観を部分的にせよ修正する必要が出てくるのではないか。金正恩氏にとって、それが相当に厄介な作業であることは間違いないだろう。

※デイリーNKジャパンからの転載

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