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秋吉 健のArcaic Singurality:格安スマホ市場に「選択の自由」を。端末性能や市場の変化から2018年のSIMフリースマホの動向を占う【コラム】

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2018年の格安スマホ市場の動向を占う!

新年明けましておめでとうございます。昨年は取材活動へ本格復帰したり本連載の開始を機会にハンドルネーム表記をやめるなど個人的に大きな動きのあった年ですが、今年は「VISION」を抱負に日本や世界の最先端を追いかけ続けさまざまに夢想していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

さて、そんな個人的夢想の1つにあるのが比較的安価なSIMフリーのスマートフォン(スマホ)、いわゆる「格安スマホ」の話題です。格安とは言っても最近では3万円台や4万円台が主流となってきているので絶対的なお値段としては格安ではないのですが、性能面でのコストパフォーマンスの高さが勝負の世界になりつつあります。

昨年末にも中国の大手ベンダー、OPPO(オッポ)が2018年より日本へ参入するという話題が駆け巡りました。すでにASUSやZTE、HTC、ファーウェイといった中国・台湾系ベンダーに加え、日本からもシャープや富士通、京セラといった大手ベンダーが攻勢をかけ熾烈なシェア争いとなっている格安スマホ市場は、今後どのような展開を見せるのでしょうか。また、こういった格安スマホ市場の活況の裏にはどのような市場変化があるのでしょうか。

感性の原点からテクノロジーの特異点を俯瞰する「Arcaic Singurality」。今回は格安スマホの現状や消費者ニーズの変化、そしてハイエンドスマホの動向なども読み解きながら2018年の格安スマホ市場を占います。

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知る人ぞ知る中国屈指のベンダー、OPPOが日本上陸へ

■成熟期に到達したスマホ市場

みなさんはスマホを選ぶ時、どのような点を重視して購入されるでしょうか。昨年7月に一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会が公開した「2017年度 モバイル通信端末の利用実態調査」によれば、端末の購入価格や月々の支払価格を重視すると答えた人の割合が、スマホ・フィーチャーフォン(従来型携帯電話、いわゆる「ガラケー」)ともに1位と2位にランクインしており、端末のデザインや質感、サイズ感などよりもさらに重視されていることが分かります。

また個人的に注目したのは、スマホの「操作の反応速度・快適さ」や「CPU 性能」の項目のランクがそれぞれ14位および15位と、かなり低い順位となっている点です。これは性能などが軽視されているというわけではなく、現在のスマホの性能が一般利用において何ら不満のないレベルに到達した、という事実を示しているものと思われます。

つまり、端末価格や月々の支払額に強い関心があるということは、これらの点においてまだまだ不満や納得していない部分があるということなのです。

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スマホの価格や月々の通信料金は常に人々の関心のトップにある(「2017年度 モバイル通信端末の利用実態調査」より引用)

この「性能面で不満がなくなった」という事実は、他の調査結果からも読み取ることができます。「端末の買替え」の調査項目によればスマホの買い替え意向は2016年の調査時の85.1%から60.5%へと大きく減少しており、またスマホの買い替えサイクルの目安となる利用期間も2016年まで短くなっていたものが2017年から長期化の方向へと転じるなど、背景に「今の端末で十分」、「新しいスマホは価格が高い」といった意見が隠れているように思われるのです。

こういった流れはスマホが登場した当初より予想されていたもので、2015年や2016年あたりでスマホの性能が成熟期に入ったことを示しています。日本の成人の半数以上がスマホを持ち飽和状態となった市場において、端末性能も必要十分を満たすものとなった今、敢えて高額を投資してまで新型のハイエンド端末にこだわる必要がなくなったのです。

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不満がないものは買い換える必要がない。当たり前の発想だ(「2017年度 モバイル通信端末の利用実態調査」より引用)

■ピンチにこそチャンスあり

一見すると停滞感と閉塞感しか感じない調査結果のように思われますが、実はここにこそ商機が隠れていると筆者は考えます。恐らくこれから日本市場へ参入しようというOPPOなども同じ考えでしょう。基本性能で勝負する必要がなくなったからこそ、価格とアイデアで勝負できる市場になったのです。

OPPOは日本でこそまだあまり知られていませんが、Androidスマホの世界シェアでは現在4位につけるほどの大手ベンダーであり、そのシェア拡大のためにiPhone人気が高くAndroidスマホ市場でも世界的シェアの大きなサムスン電子やファーウェイなどがあまりシェアを獲得していない日本をターゲットとするのは自然な流れと言えます。

特にOPPOはリアカメラをデュアル化し、フロントカメラにも2000万画素のCMOSセンサーを搭載した「R11s/R11s Plus」といった端末を最新モデルとしてラインナップしており、インスタグラムのブームに乗って“自撮りスマホ”として日本でも攻勢をかけてくることが予想されます。

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OPPO R11s。かなりのハイスペックスマホだが価格は2999元(約5.2万円)と比較的安価

こういったハイスペックで比較的安価な「コスパ重視スマホ」が今後の格安スマホ市場の注目端末となっていくのは間違いないでしょう。NTTドコモやauといった大手移動体通信事業者(MNO)も日本ベンダーを中心に5万円台から6万円台のミドル価格帯のスマホや3万円台のエントリースマホを充実させつつありますが、性能面ではアジア系ベンダーにはまだまだ及ばない印象です。何より肝心の通信料金が高止まりしている以上、端末の価格に敏感な層への訴求力に疑問符が残ります。

一方で、更に価格の安い3万円台やそれ以下のSIMフリースマホにも注目が集まります。ファーウェイの「HUAWEI P10 lite」やASUSの「ZenFone 4 Max」などは2018年1月4日現在の市価の最安値では3万円以下となっており、購入者による満足度評価なども比較的良好な印象です。またこの価格帯では型落ちとなるような機種でも息の長いセールスを記録している端末も多く、ファーウェイの「HUAWEI P9 lite」、ASUSの「ZenFone Go」、富士通の「arrows M03」など、1万円台から2万円程度の端末も未だに売れ続けています。

これらの価格帯のスマホが格安スマホ市場のメインストリームである点は今後も変わらないと考えますが、その中身(性能や機能)は確実に向上しており、これまで「安かろう悪かろう」であった低価格スマホが「必要十分な性能」もしくは「より便利で高機能な付加価値を持ったスマホ」へと変遷しているのが現在の市場動向であると分析しています。

また「1台目のスマホ」としても十分に活躍できるだけの性能を持つ格安スマホが主流化することは、これらの端末を武器とする仮想移動体通信事業者(MVNO)にも大きな追い風になると考えられ、各MVNOが発行する格安SIMとのセット販売などでも大きな牽引力となることが予想されます。

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2万円台や3万円前後のスマホが格安スマホ市場の人気機種上位を席巻している

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