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トランプ外交の限界か

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パキスタンアガシ首相とティラーソン米国務長官 2017年10月24日 flicker:U.S. Department of State

宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)

宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2018#01(2018年1月1-7日)

【まとめ】

・イランの反政府デモ。非難の矛先イスラム共和制に向いたとすれば新しい事態

・金正恩党委員長新年の辞。中国共産党の極秘文書報道もあったが信憑性なし。

・トランプ大統領、ターリバーンを支援するパキスタンを非難。

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されず、写真説明と出典のみ記されていることがあります。その場合はhttp://japan-indepth.jp/?p=37907でお読み下さい。】

謹賀新年、今年も本コラムを宜しくお願い申し上げる。今年こそは希望に満ちた2018年となれば・・と思いたいところだが、どうなることやら?昨年は年初からトルコとイラクでテロ事件が起たが、今年は昨年末から続くイラン反政府デモが全土40以上の都市に拡大、一部が暴徒化して、既に20名以上の死者が出ているそうだ。

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▲写真 イランの最高指導者ハメネイ師 出典:khamenei.ir

一方、アジアでは元旦に北朝鮮の金正恩党委員長が新年の辞を発表した。年の初めの試しとて、今回はその全文を読んでみた。日本語で9800字ほどの長い演説だが、1月2日には北朝鮮当局公式サイトに日本語版が掲載された。余程、我々に読んでほしいのだろう。ちょっと退屈だが、一読をお勧めする。

情報分析の基本は公開情報の読み込みだ。メディアは、「去年の特出した成果は国家核武力完成の歴史的大事業を成就したこと」であり、「核のボタンは机の上にある」などと米国を牽制する一方、「平昌五輪に代表団を派遣する用意もある」とも述たなどと報じたが、演説を読めば、金正恩の関心が国民の生活水準にもあることが分かる。

「私も核のボタンを持っている。より強力な。そしてそれは作動する!」

▲トランプ大統領のツイート

昨年は予測不能と思われたことが次々と起きた。予測が外れたら、その理由を詳細に分析し、将来に備えるのがプロの最低限の責任だとも書いた。されば、今年も引き続き、筆者の課題は如何に「Unthinkable」を事前に予測できるかだろう。改めて、これから一年、お付合いをお願い申し上げる。

〇欧州・ロシア

欧州ではまだクリスマス休みの余韻なのか、EU関係の会議は始まらない。しかも、いわゆる「正教会」系のキリスト教では1月7日がクリスマスだ。ちなみに、この日程はエジプトやエチオピア等のコプト系クリスチャンも同様。欧州が本格的に動き出すのは1月中旬以降だろう。

ロシア関係では今年、「ロシアにおける日本年」及び「日本におけるロシア年」が相互に開催される。ロシアでは「政治、経済、文化など多くの分野で日本を紹介する行事が行われ、日露関係の更なる発展に寄与することが期待」されるそうだが、露大統領選挙が終わるまで大きな動きは期待できないだろう。

〇東アジア・大洋州

3日、ワシントン発共同が、米ニュースサイトの報じた中国共産党の「極秘文書」なるものの内容を報じている。同文書は「北朝鮮の6回目の核実験直後の2017年9月」に作成され、中国共産党が「北朝鮮がさらなる核実験の中止を約束すれば中国は経済、軍事支援を拡大し金正恩政権の体制を保証する」との方針を決めたとしている。

元ネタを書いたのはBill Gertzという名物記者。彼はCIAなど諜報機関系にかなり強いが、同時に眉唾記事も多いことでも有名な保守系ジャーナリストだ。件の極秘文書のコピーも添付されているが、真偽は不明である。

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▲写真 ビル・ジェルツ氏 Twitter:@BillGertz

中国側はこれもフェイクニュースだとしているが、俄かに本物とは信じ難い代物だ。良く出来た偽物ではないか。

〇中東・アフリカ

イランのデモは昨年12月28日に北東部マシャドで始まったらしい。事実であれば、実に興味深い。2009年の際の騒動の主体は都市のインテリ層だったが、今回は地方の庶民が動いた可能性がある。発端は生活レベル低下への不満だったらしいが、非難の矛先が1979年以来続くイスラム共和制にも向いたとすれば、新しい事態だ。

1979年の革命以来、治安当局は一貫して異論を弾圧してきたが、今回参加者は「独裁者に死を」などと気勢を上げ、最高指導者ハメネイ師を糾弾したという。同師は「敵が銃や金によってもめ事をつくり出そうとしている」と述べたが、仮に今回の騒動を鎮圧出来たとしても、対イラン経済制裁が続く限り、この種の騒動は続くだろう。

〇南北アメリカ

トランプ氏のツイートが止まらない。特に気になるのはパキスタンに対する厳しい非難だ。しかし、パキスタンがアフガニスタンで勢力を回復しつつあるターリバーンを支援しているのは公然の秘密。今更けしからんといわれても、パキスタンは勿論、米国務省の関係者も皆困るはずだ。パキスタンの面子を潰してどうするつもりだろう。

ちなみに、ターリバーンとはアラビア語のターリブ(学生、イスラム法学生・神学生)のパシュトゥー語の複数形だから、彼らはコテコテのパキスタン系である。これまでも米国はパキスタンの二枚舌を承知で付き合ってきたのに、突然経済援助を止めるなどといったら、喜ぶのは中国ぐらいだろう。やはりトランプ外交には限界がある。

〇インド亜大陸

特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。今年も、いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。

トップ画像:パキスタンアガシ首相とティラーソン米国務長官 2017年10月24日 flicker:U.S. Department of State

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