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中国のハチミツ商法

 突然ですが、貴方に質問です。 Do you like honey?

 「なんですって?」

 ですから、蜂蜜はお好きですか、と聞いているのです。

 「オブコース アイ ドゥー」

 そうですか、やっぱりお好きですか。蜂蜜っていうのは、非常に消化がよく、エネルギー源として
最も効率的だ、なんて言われているのです。

 「それに甘いし‥」

 但し、ちょっとばかりお高いのが問題。でも、よーく考えてみると、一瓶蜂蜜を買っても、結構長持ちするのも事実。つまり、一見高そうにみえても、案外安いと考えた方がいいのかもしれないのです。

 「あれっ、安いのが売ってあるのを知らないの?」

 確かに非常に安い蜂蜜が売られているのを時々見かけることがあるのです。で、ご丁寧に純粋蜂蜜なんてラベルが貼ってあったり‥で、それらの殆どは中国製だと書かれてあるのです。

 「やっぱり‥」

 中国製だから粗悪だ、なんて断定する訳にはいかないのですが‥一時期、水あめを混入した蜂蜜が売られたりしたこともあったのです。

 でも、どういう訳か未だに格安の蜂蜜が店頭に並んでいるのです。やっぱり安いということは大変な武器になるということでしょうか?

 しかし、本当の蜂蜜ファンであれば、恐らく格安の蜂蜜を買うことはないでしょう。国産品を購入するか、或いは輸入品であったとしても、それなりの価格がついているものを買うことでしょう。

 ということで、私は貴方に警告します。価格だけみて判断してはいけませんよ、と。

 まあ、いずれにしても、そんなに安い蜂蜜が店頭に並ぶと、国内の養蜂業者にそれなりの影響を与える筈なのですが‥本日、NPRのニュースを聞いていると、アメリカの養蜂業者にも打撃を与えたと言っているのです。

 American bees made most of America's honey.

 「アメリカの蜂がアメリカの蜂蜜の殆どを作っていた」

(中略)

 More than half of all the honey that Americans consume these days comes from other countries.

 「最近では、アメリカ人が消費する蜂蜜の半分以上は他の国々から輸入されている」

 Long supply chains connect this warehouse to beehives half a world away.

 「長いサプライチェーンがこの工場と蜂の巣を結び付けている」


 But there's trouble in those supply chains, uncertainty about where honey's really coming from.

 「しかし、そうしたサプライチェーンには不確かなことがある。蜂蜜が本当は一体どこから来ているのか、と」

 There are accusations of smuggling, rumors of forged shipping documents.

 「密輸の告発があり、また書類を偽造しているという噂もある」

 To understand why, you need to step back in time just a few years to the 1990s, when the U.S. got a lot of its honey from China. China's the world biggest producer of honey.

 「その謎を理解するためには、1990年代にまで遡ることが必要だ。その当時、米国は大量の蜂蜜を中国から輸入していた。中国は世界で最大の蜂蜜生産国であったのだ」

 Chinese honey was cheap. It was so cheap, American beekeepers complained it was driving them out of business.

 「中国製の蜂蜜は安かった。大変安かった。そこで、アメリカの養蜂業者は、自分たちが廃業に追いやられると文句を言った」

 They went to the government claiming that China was dumping that honey, selling it for an artificially low price. U.S. officials agreed.

 「養蜂業者たちは、中国が蜂蜜をダンピングしていると政府に申し出た。人為的に安い価格で売っている、と。そして、当局はそれを受け入れた」

 And to level the playing field, they imposed huge import duties on Chinese honey. So now the Chinese can't sell their honey in the U.S.; it's too expensive.  

 「競争条件を等しくするために、米国当局は中国製の蜂蜜に高い関税を課した。そして、今では
中国は米国では蜂蜜を売れないのだ。余りにも高すぎるからだ」

 

 あれですよね、あれ。TPPに熱心なアメリカも、自国の養蜂業者を守るためには高い関税を掛けるのですから、日本のことをああだこうだ、なんて言えた義理ではないのです。

 まあ、それはともかくとして‥そうやって中国製の蜂蜜に高い関税が課せられることになり、中国製の蜂蜜をアメリカで見ることはなくなったのだ、とか。これで、アメリカの養蜂業者にとっては、メデタシ、メデタシとなったのでしょうか?

 問題はここにあるのです。また、そこのところが分からないと経済というものを理解することはできないのです。

 中国製の蜂蜜は、2年前に完全にアメリカの店頭から姿を消した。しかし、それと同時に、他の国から安い蜂蜜がアメリカに入ってきたのだ、とか。

 どこから来たかと言えば‥マレーシア、インドネシア、そして台湾。

 マレーシアやインドネシア、或いは台湾などは、養蜂業が盛んな国なのか? どうもそうではないようなのです。おかしい、どう考えてもおかしい。そこで関係者は、それらを Funny Honey と呼んだというのです。

 実は、それらの蜂蜜は、本当は中国で生産されたもので、そうした国を迂回して米国に流入してきたというのです。では、何故それらが中国製だと分かったのか? 蜂蜜に含まれる花粉のDNA検査をすると分かるのだ、と。

 で、そうやって中国製の蜂蜜が迂回して輸入されていたことが分かると、当局は関係者を処罰したのだ、と。

 では、それで一件落着かと言えば‥

 今度はインド製の蜂蜜が大量にアメリカに流入するようになった、と。で、それをDNA検査にかけても、中国製の花粉のDNAは発見されなかった、と。

 今度は正真正銘のインド製の蜂蜜だったいうことでしょうか?
 
 違うのです。中国の蜂蜜業者が、蜂蜜をフィルターにかけて花粉を取り除いてしまい、そしてそうやって精製した蜂蜜をインド製の蜂蜜と混ぜ合わせたのだというのです。

 やっぱり中国!

 でも、私は思うのです。こうして法律の網の目を潜り抜けようとするような行為は永遠に続く、と。

 アメリカは判断したのです。中国の蜂蜜生産者は米国にダンピングをしている、と。ダンピングとは、不当に安い値段で輸出するということです。だから、対抗手段として高い関税をかけて、競争条件を等しくしようとした。

 しかし、ダンピングという判断がおかしいのです。中国は不当に安い価格を設定している訳ではなく、低コストで蜂蜜を生産することができるだけの話です。或いは粗悪な蜂蜜を生産することができる、と。粗悪なという意味は、水あめなどが混入している可能性があるということですが‥

 つまり、価格だけをみれば、アメリカの養蜂業者が、中国の養蜂業者に太刀打ちができないのは明らかなのです。アメリカの養蜂業者が生き残るためには、蜂蜜の品質で勝負をするしかない、と。

 しかし、その重要な事実にアメリカの当局は気づいていないのです。単にアメリカの養蜂業者を守るために、口実を探したに過ぎないのです。

 それに、そもそもアメリカの当局が本当にアメリカの養蜂業を守りたいというのであれば、ミツバチの集団失踪の原因を確定しなければならないのに‥そして、ミツバチの減少を食い止めることが先決なのに‥それができないのです。

 我々日本人も、今回のニュースから学ぶところがあると思うのです。日本の養蜂業者も、価格競争力では中国に負けるのは明らかなのです。では、どうやって生き残りを図るか? それは、品質で勝負をするということなのです。それに消費者が品質に敏感になる必要があるのです。

 価格の安さにばかり目が行くアメリカの消費者は、本当の蜂蜜の美味しさが分かっていないのではないでしょうか?

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