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慰安婦問題、再び火をつけた韓国 「声高な少数派」が国内世論を誘導

Republic of Korea / flickr

 2015年の慰安婦問題に関する日韓合意を検証していた韓国外交部の作業部会は、合意が被害者の意見を十分に反映したものではなかったと結論づけた。韓国の康京和外相は、検証結果を検討し、被害者や支援団体と相談した後、今後の方針を決めることになると発言した。これに対し、日本の河野外相は、韓国が合意を変えようとすれば日韓関係は管理不能になると述べている。北朝鮮問題での協力が欠かせない今、また慰安婦問題が日韓関係に暗い影を落としている。

◆被害者を軽視した合意。韓国は日韓合意に不満


 聯合ニュースによれば、作業部会は報告書を発表し、「韓国政府が合意当時、被害者の意見の重要性を認識していながらもこれを取りまとめる十分な努力をしていなかった」と指摘し、「被害者中心のアプローチ」よりも「政府の立場に立って決着をつけた」と批判している。

 検証をリードした元ジャーナリストの呉泰奎氏は、短期間で行われた外交交渉や政治的取引で、慰安婦のような普遍的価値や歴史認識の問題は解決できないと主張する。城西国際大学のアンドリュー・ホルバート客員教授も、合意は和解ではなく、二度と話題にしないためのものであり、最初から不備があったと批判している(ロイター)。

◆合意を急いだ日本。朴政権への配慮だった?


 日韓合意が急ごしらえであったことは確かだが、そこに日本の非がないことは、ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)が説明する合意の経緯からも分かる。

 日本から新たな解決策を出させる努力をすべきと司法から言われてきたこともあり、当時の朴槿恵(パク・クネ)大統領は2015年を通して、日韓国交正常化50年、朝鮮半島解放70年を機に慰安婦問題の解決を日本政府に求めていた。初の安倍首相と朴大統領の公式会談が実現した11月に両国の雪解けが始まり、安倍首相は外交官による問題解決の話し合いを加速させることを表明する。12月17日に、朴大統領の名誉を毀損したとして起訴されていた産経新聞の記者の無罪が確定したことも後押しして、12月22日ごろには日本から合意の概要を携えた使節団が韓国入りした。日本が急いだのは、年内合意という朴大統領の期限を意識したからだと同紙は説明している。

 まさに日本による「電撃戦」に驚いた韓国だったが、「新たな謝罪と補償」という韓国側が求める主要内容が含まれていたことから、同意せざるを得なかったと当時関与した外交官は語っている。WSJは、最初は日韓ともに合意を「最終的かつ不可逆的」と呼び、オバマ政権も歓迎していたのに、文大統領になってから国民の支持がないとして韓国側が検証を行ったと述べ、今回慰安婦問題の緊張に再度火をつけたのは韓国だと指摘している。

◆実は7割の元慰安婦が補償を受け入れた。誰のための反対なのか?


 報告書では、被害者への相談を怠り合意したと批判されているが、アジア・タイムズに寄稿したジャーナリストのアンドリュー・サーモン氏は、生存していた元慰安婦の46人のうち34人が、日本が拠出した基金から補償を受け取った、または受け取る意思があることを示したと述べる。それにもかかわらず、日韓合意に反対する市民団体が声高な少数派として議論を支配してメディアの取材を受け、結果として70%の国民が合意に反対することになったと指摘する。同氏はまた、慰安婦への補償のために設立された「アジア女性基金」の場合も、補償を受け入れた元慰安婦が市民グループから中傷を受けたり、韓国政府からの補償を拒否されたりする例があったとし、こういった行為が、韓国における合意抹殺につながったとしている。

 WSJは、韓国が慰安婦問題を蒸し返そうとすることに日本はいら立っていると述べ、北朝鮮の核・ミサイル開発に対し、経済制裁や防衛で対抗しなければならない二つのアメリカの同盟国の協力関係が、今回の検証で弱まることを懸念している。「最終的かつ不可逆的」だったはずの日韓合意だが、ゴールポストが動かされることがあれば、両国関係の悪化は避けられそうにない。

Text by 山川真智子

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