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「アメリカ軍に勝てるはずない」北朝鮮から漏れてきた不安の声


金正恩氏(朝鮮中央通信)

2017年の北朝鮮を振り返る(5)

米国が北朝鮮に対して様々な軍事的デモンストレーションを行った今年、北朝鮮国内でも、「戦争が始まるかも知れない」との危機感が漂ったもようだ。

とくに9月3日に6回目の核実験が行われた直後に、様々な声が漏れ伝わってきた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋はこの時期、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)に対し、次のように語っていた。

「平壌などでは水爆実験の成功を祝う行事が目白押しだが、一部の幹部らの間では、米国との間で戦争が起きるかもしれないとの見方が広まっている。主に中堅幹部が不安を募らせているようだ。中央は『仮に米国が攻撃してきても、米国を撃破し勝利するであろう』と宣伝しているが、地方の幹部らはこれをまったく信じていない」

(参考記事:「戦争になったら生き残れない」震える庶民…北朝鮮で非常待機命令

地方の幹部らがこうした宣伝を信じないのは、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)内部での物資の横流しや性的虐待といった、軍紀びん乱についても知り抜いているからだ。

(参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

核兵器を使う以外に、北朝鮮には米韓軍への対抗手段がない。そして核兵器を先制使用すれば、それは結局、北朝鮮の破滅を意味する。北朝鮮の人々にとって、戦争はすなわち死を意味するのだ。

そのような絶望は諦念につながり、人々が「愛国心」を維持するのを難しくさせる。RFAの情報筋によれば、戦争勃発を恐れる中堅幹部たちは、ワイロを貯めて築いた不動産などの資産を処分し、今のうちに金塊に変えて置こうと血眼だという。

金塊に変えてどうするかと言えば、戦争が始まったらそれを抱えて、中国にでも逃げようと考えているのだろう。

戦争は、軍隊だけで戦うものではない。各種の行政を支える中堅幹部がこの体たらくでは、北朝鮮が積極的に戦争計画を立てるのは不可能だ。

(参考記事:「いま米軍が撃てば金正恩たちは全滅するのに」北朝鮮庶民のキツい本音

一方、北朝鮮の国境都市、新義州(シニジュ)では今月、「米軍が北朝鮮を爆撃する」との噂が広がった。中国のデイリーNK対北朝鮮情報筋によると、このような噂が広まり始めたのは今月10日ごろのことだ。それも「攻撃は18日から20日までの間に行われる」とかなり具体的なものだったという。

情報筋によると、このような噂は朝鮮人民軍が意図的に流した可能性があるという。おそらく国内の引き締めをねらったのだろうが、噂はさほど広範囲には広がらなかったようだ。北朝鮮の人々も「危機」の喧伝が繰り返されるうちに、根拠の薄弱な噂に対する耐性が強まっているのかもしれない。

(参考記事:「米軍が金正恩を爆撃してくれれば」北朝鮮庶民の毒舌が止まらない

※デイリーNKジャパンからの転載

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