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アングル:株は「とり年」、世界好況の上昇気流 鳥貴族など急伸

[東京 29日 ロイター] - 2017年の日本株は、まさに「とり(酉)」という干支(えと)が示す通りの相場となった。年初は「千鳥足」であったものの、後半は世界同時好況の上昇気流を受けバブル崩壊後の高値を更新。地政学リスクという「北風」も吹いたが、人・モノが活発に国境を飛び交い、空運株が堅調だった。鳥貴族<3193.T>など値上げに踏み切った企業の株価も好パフォーマンスをみせた。

<10月以降に浮力増す>

日経平均<.N225>は、9月前半までは昨年末水準と変わらない1万9000円台前半で推移していた。だが、衆院解散の可能性が浮上すると、出遅れ感や企業業績の好調さが再評価される形で一気に2万3000円台まで上昇。年間上昇幅は3650円57銭と、アベノミクス相場では2013年(5896円13銭)に次ぐ大きさとなった。

ただ、世界同時的な好況と株高の追い風に乗ったともいえる。日経平均の上昇率は19.1%。米ダウ<.DJI>(25.7%、28日時点)にはやや劣るが、S&P総合500種<.SPX>(20.0%)とほぼ同レベル。先進国23カ国と新興国23カ国の大型株と中型株で構成するMSCI ACWI指数<.dMIWD00000PUS>とほぼ変わらない。

このため、市場では「さほど過熱感はなかった。ビットコインの方がすごかった」(国内投信のファンドマネージャー)との声も聞かれた。実際、値幅(高値と安値の差)は5157円47銭と4年ぶりの大きさだったが、日経平均ボラティリティー指数<.JNIV>の値幅は12.51ポイントと、2010年の算出開始以来では最低だった。

業種別では、資源関連や電機、化学などシクリカル・セクターの好パフォーマンスが目立った。東証33業種中、上昇率トップとなったのは石油・石炭。年後半の原油価格の上昇を背景に、在庫評価益拡大への期待が膨らんだ。

上昇率2位には、原油高が業績面にネガティブな影響をもたらすはずの空運がランクイン。訪日外国人旅行者の増加に加え、海外出張などビジネス需要の拡大が業績にプラス影響をもたらすとの見方が株価の追い風になった。JAL<9201.T>、ANA<9202.T>の両社は中間期決算発表のタイミングで、通期の業績予想を上方修正している。

時価総額や流動性の高い500銘柄で構成するTOPIX500<.TOPX500>ベースで、最も上昇したのは化学セクターの昭和電工<4004.T>。ナフサ価格や中国での黒煙電極市況の上昇が業績の追い風となっている。

産業用ロボットを手掛ける安川電機<6506.T>や無人搬送車のダイフク<6383.T>など省力化投資関連銘柄も大きく上昇。SUMCO<3436.T>や東京エレクトロン<8035.T>、アルバック<6728.T>など半導体関連銘柄への資金流入も顕著となった。

<値上げ企業に軍配>

商品・サービス価格の値上げを行った企業の株価も好調だった。焼鳥の提供価格を引き上げた鳥貴族や、ビール系飲料の値上げを発表したアサヒグループホールディングス<2502.T>は年初来で50%を超す上昇となった。

一方、8月、日用品の一部で平均約1割の値下げを実施した流通大手のイオン<8267.T>は年初来で14.9%高。上昇率では日経平均をやや下回った。低価格志向が消費者の支持を集めてきた「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング<9983.T>は7.4%高。同業のしまむら<8227.T>は15.0%安となっている。

三井住友アセットマネジメント・シニアストラテジストの市川雅浩氏は「国内では緩やかながらも物価上昇率が1%に向け高まりつつある。2%には程遠いが、ゆっくりとした上昇傾向は続くとみられる。価格転嫁に動く企業に注目し、銘柄を物色する流れはこれからも継続するだろう」とみる。

<大型株より中小型株>

各指数を規模別でみると、成長期待の高い中小型・新興株への物色傾向が鮮明となっている。日経ジャスダック平均<.NOTC>は年初来で40%を超す上昇。一方、大型株で構成するTOPIXコア30<.TOPXC>は12.3%高。日経平均やTOPIXに対し、出遅れ感が強まった。

コア30銘柄のうちキーエンス<6861.T>(57.4%高)、任天堂<7974.T>(67.8%高)など高バリューション銘柄の上昇が目立った半面、トヨタ自動車<7203.T>は4.9%高と指数に対し大きくアンダーパフォーム。自動車大手は米トランプ大統領の通商政策が事業に及ぼす悪影響が懸念されたが、メガバンクを含め全体的にはバリュー銘柄への資金流入は限られた。

岡三証券・日本株式戦略グループ長の小川佳紀氏は「米長期金利の上昇が鈍いものとなった結果、世界的にみてもシクリカル、グロースに物色の方向性が傾いた1年。バリュエーションが高くても、業績の伸びが期待できる銘柄が選好された」と分析。「今後も米長期金利が大きく上昇するとは見込みにくい。物色の大きな流れは変わらないだろう」とみる。

<買い手筆頭は日銀>

12月第3週までの累計では海外投資家は日本株(現物と先物合計)を約2兆0300億円買い越した。第4週分の公表は年明けとなるが、海外投資家は年間では14年以来、3年ぶりに買い越しに転じる公算が大きい。ただ海外勢は16年に日本株を約2兆2000億円売り越しており、その分が市場に戻ってきたとみることもできる。

日銀による今年のETFの累計購入額は28日時点で約5兆6000億円。設備投資・人材育成型ETFを含めると、約5兆9000億円に上る買い手の筆頭だ。世界的に良好なファンダメンタルズに加え、需給面での安心感も日本株の底上げ要因となった。

「酉」という文字は物事が成熟する様子を示しているとされる。来年の干支にちなんだ相場格言は「戌(いぬ)は笑う」だが、米株など過熱感が漂い始めた市場で、猟犬のような嗅覚と俊敏さが求められる年になるかもしれない。

(長田善行 編集:伊賀大記)

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