記事

核の脅威が深刻化する【2018:国際情勢】

1/2

宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)


写真)2017年1月20日に就任したトランプ大統領
出典)White House photographer

【まとめ】

・2017年、世界で民族主義や大衆迎合主義が合体した「ダークサイド」が蔓延。露、中、イランらの「諸帝国」が台頭。北朝鮮の「核の脅威」顕在化。

・2018年、米朝は大規模戦争には突入しない。トランプ氏は大統領のままであろう。

中東和平プロセスは当分瀕死状態で進展は見込めない。

【この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては写真説明と出典のみ記されていることがあります。その場合は、Japan In-depthのサイトでお読み下さい。】

遂に2017年も最後の週となった。一年間ご愛読頂き、心から感謝申し上げる。尊敬する編集長からは、今回は「国際情勢の今後を考える指針」を示す「2018年を占う」特集にせよと厳命されている。だが、そもそもこの時期、各メディアで「来年を占う」企画が掲載されるが、予測が当たった試しはない。

 でも、ここで何か書かないと今年は終わらない。仕方がないので、今回は的中率が高かったと昨年一部で注目されたBusiness InsiderのMilitary & Defense Teamが行う予測をご紹介しながら、適宜茶々を入れることにした。後半に彼らの本文の要約を紹介し、筆者のコメントもカッコ内に記してある。

 さて、その前に、まずは2017年全体を回顧しよう。今年一年間、筆者がスターウォーズ映画の題名を捩りつつ繰り返し述べてきたのは、次の3点だ。

①今世界で覚醒しているのは正義の「フォース」ではなく、醜く不健全で破壊願望を伴う民族主義や大衆迎合主義が合体した「ダークサイド」である。

②逆襲しているのは単一の「帝国」ではなく、現状を不正義と考え、その変更を場合によっては、力を使ってでも実現しようとするロシア、中国、イランなどの「諸帝国」である。最近では、こうした動きにトルコという旧帝国も加わろうとしている兆候がある。

③今最大の脅威(メナス)は「ファントム・メナス」ではなく、北朝鮮などの「ヌークリア・メナス(核の脅威)」である。こうした傾向は2018年に深刻化することはあっても、改善することはないだろう。2016年のイギリスEU離脱、2017年のトランプ氏大統領就任などは、これを象徴する事件であった。

 2018年の日本の課題は、こうした「ダークサイド」が日本でも拡大しないよう上手にコントロールしていくことだ。幸い、日本の大衆迎合主義には欧米のような差別的民族主義的イデオロギー的要素が少ない。このような健全な社会を如何に維持していくかを日本人は真剣に考える必要があるだろう。

 それではBusiness InsiderのMilitary & Defense Teamの予測をご紹介する。原文はこちらで読める。

〇欧州・ロシア 

プーチン大統領は再選挙に楽勝、ジョージアとベラルーシに向かう

2
写真)プーチン大統領
出典)ロシア大統領府

 ウクライナ東部での戦争は続く。ジョージアの南オセチアとアブハジアの共和国も引き続き守るだろう。 ロシア軍とベラルーシの軍を一体化するだろう。

【宮家コメント、以下同じ。こうした常識的な予測をされると、実に反論しにくい。プーチンは、母なるロシアが失った数十年(革命時代+ポスト冷戦時代)を取り戻すためなら何でもすると思う。】

〇東アジア・大洋州 

米国と北朝鮮は大規模戦争に突入しない

3
写真)Thomas Vandal(トーマス・ヴァンダル)米第8軍司令官らが集まり、韓米連合(CFC)の将来計画についての協議(2017年11月21日)
出典)US.Pacific Command 

米国と北朝鮮は両者とも戦争になれば失うものが大きすぎる。世界の外交官の不安は頂点にまで達するが、最終的に大規模な戦争は勃発しないだろう。

【これも、実に常識的な予測だ。小競り合いはあっても、大戦争はないのだが、それでは北朝鮮で喰っている識者たちは商売上がったりだから、2018年も●●記念日に向けてミサイル発射だ、核実験だ、などという噂が乱れ飛ぶのだろう。】

中国は日本海(?)で軍事力を誇示する

中国のレトリックがますます独裁的になり、新しい航空母艦で、中国は西太平洋での海軍の軍事力を誇示することになるだろう。

【当たって欲しくはないが、恐ろしい予測である。但し、この人たちは日本海も、東シナ海も、あまり区別ができていないようだ。いずれにせよ、北朝鮮問題で一喜一憂するくらいなら、この問題を真剣に考えた方が建設的だと思うのだが。少なくとも中国は朝鮮半島情勢の動向に関係なく、南シナ海での計画を進めるだろう。】

〇南北アメリカ

トランプは米大統領であり続ける

4
写真)トランプ米大統領
Photo by Gage Skidmore

 トランプ氏の最側近がロシアゲートに巻き込まれる可能性はあるが、トランプ氏は来年も大統領であり続けるだろう。

【先日ワシントンに行ってみて感じたのがこれだ。トランプが立派な大統領でないことぐらい、米国人は判っている。問題はやはり大統領ポストが強力であり、議会の多数の支持のない不満だけでは大統領弾劾などできないのだ。】 

トランプ政権外交安保人事大刷新の可能性? 

 米安全保障チーム内の関係は危険な状態が続く。 国務長官、NSC担当大統領補佐官を辞めさせたい「アメリカ・ファースト」支持者たちは引き下がらない。

【この点も、最近の週刊新潮コラムに書いた通りである。】

米軍の問題は継続する

5
写真)コンテナ船ACXクリスタルと衝突して破損したUSSフィッツジェラルド(横須賀)
出典)U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 1st Class Peter Burghar

 米軍、特に海軍は、予防可能な事故を起こし続ける。作戦の速度は引き続き高いにも関わらず、不安定な資金供給によって軍が影響を受け続けるからだ。

【この予測というか指摘は重要である。もし、米軍、特に海軍が国防予算削減で訓練不足になってるのだとしたら、それが日本の防衛に及ぼす悪影響は計り知れないからだ。この予測は外れてくれることを祈るしかない。】

メキシコの流血事件は継続し深刻化する

 あらゆる徴候が示しているのは、物事が良くなる前にメキシコでさらに悪化するというということだ。

【中南米は専門外だが、この保守的な予測が正しい可能性は高いだろう。】

マドゥロは悪化するベネズエラを引き続き指導する

6
写真)ニコラス・マドゥロ ベネズエラ大統領 
Photo by Hugoshi

米のベネズエラに対する制裁はマドゥロの支持層を分裂させるほどではない。 現在の状況を見る限り、マドゥロはどこにも行きそうにない。

【昔はベネズエラは豊かな良い国だったのになぁ!】

あわせて読みたい

「中国」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    セブンの生ビール販売中止は正解

    ヒロ

  2. 2

    「ドラクエ式」が被災地で大活躍

    中妻穣太

  3. 3

    山本太郎氏の品位欠く罵声に呆れ

    早川忠孝

  4. 4

    小室圭氏留学 皇室パワー利用か

    NEWSポストセブン

  5. 5

    「人殺し大臣」発言に懲罰はなし

    和田政宗

  6. 6

    枝野幸男氏「私こそ保守本流」

    キャリコネニュース

  7. 7

    川上量生氏の独白 都が裏取引か

    おときた駿(東京都議会議員/北区選出)

  8. 8

    田原氏「麻原彰晃はマジメな男」

    田原総一朗

  9. 9

    ゲーム没頭する子供にすべきこと

    不登校新聞

  10. 10

    橋下氏「定数増法案は戦後最悪」

    AbemaTIMES

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。