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学業と就職活動 - 中原 岳

12月の異称は「師走」。語源には諸説あるが,有名なのは「僧侶(師)が忙しく走る月」というものである。僧侶に限らず,仕事納めや年末商戦,大掃除などで,あらゆる人々が慌ただしく駆け回る。

例年以上に忙しく動き回るのは,就職活動の期間が2カ月短縮された大学3年生や大学院修士1年生だろう。かく言う筆者も“就活生"だ。大学の就職担当部署による就活ガイダンスでは,今回の就活戦線の特徴として「短期決戦」という言葉もよく使われている。今年3月,日本経団連の「採用選考に関する企業の倫理憲章」が改定され,会員企業による広報活動の開始時期が,不特定多数に向けた情報発信を除いて10月から12月へと2カ月遅くなった。日本経団連が2カ月遅らせたのは,就活の早期化による学業への影響を踏まえ,「学生が本分である学業に専念する十分な時間を確保するため」(倫理憲章)である。リクナビやマイナビなどの就職ポータルサイトも12月1日にグランドオープンし,2013年春採用のエントリー受付や採用情報の公開が始まった。このうち,利用者が殺到したマイナビなどでは,午前0時の「解禁」からしばらくの間,サイトにつながりにくい状態が続いた。

ただ,経団連の倫理憲章は紳士協定である上,外資系など関係がない企業もあり,早期化への歯止め効果を疑問視する意見もある。また,面接などの実質的な選考活動の開始日は,例年通り卒業・修了学年の4月1日である。学生からすれば業界や企業について研究する期間が短くなり,戸惑いの声も聞かれる。

そもそも,「学業に専念する十分な時間を確保するため」に広報活動の開始を12月にずらしたという経団連の説明は,学生や大学教育の実情とは合っていないように思う。なぜなら12月というのは,非常に中途半端な時期だからだ。

例えば,12月は後期授業がまだ行われており,1月から2月にかけては定期試験もある。さらに,12月は多くの大学や学部でゼミ大会が開催される。筆者も学内外で2つの研究発表を抱え,就活と研究活動の「二正面作戦」で鋭意準備中である。また,選考活動が本格化する4月以降は,大学4年生の場合,前期が始まり,学業の総仕上げとして卒業論文に向けた研究を進めていく。学業に影響が出ることに変わりはない。

同じゼミに所属する友人は「卒業してから就活というかたちにはならないか」と短文投稿サイト「ツイッター」でつぶやいた。現時点で学業に影響が出ていることを踏まえれば,本来はそうあるべきなのかもしれない。各企業は,せめて卒業論文の提出が終わってから,選考活動を始めるのはどうだろうか。来年度,再来年度に就活を行う学生のことを考えると,まだまだ改善が必要だと思う。

無論,今さらこのようなことを書いても,筆者自身の就活日程が変わることはない。「就職超氷河期」と呼ばれるが,学業面,私生活面で努力してきたことはたくさんある。時には楽しみながら,自信を持って悔いのない就活をしたい。

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