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急加速するドイツ車EV戦略 - 遠藤功治(株式会社SBI証券)

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急加速するドイツ車EV戦略 
写真)SmartブランドのEV
出典)遠藤功治

遠藤功治(株式会社SBI証券 投資調査部 vマネージングディレクター)

【まとめ】
・世界的にEV(電気自動車)シフトが過熱、特に米中 で進行中。
・ドイツの3メーカーもEVシフトを急速に進める計画表明。
・ただ中国等でEVが増えるとCO2排出が増えるとの試算もある。

EVのテーマが過熱気味である。話ベタの日本各社がいかにEV戦略で遅れているのか、これに対して、ドイツ社がいかに前を進んでいるのか、と言った論調が一般的である。これに米国Detroit勢と中国勢が加わり、世界各国の国策とも言うべき環境規制が導入され、訳がわからないうちにEVが主戦場を席巻するかの論調がメディアを賑わせている。

冷静に考えればそう簡単に内燃機関が消えるわけでもないのだが、マスコミに見られるEVの熱波を見聞きするにつれ、日本勢としてはやや心配にもなる今日この頃である。そんな中、筆者は9月に欧州最大の自動車ショーであるフランクフルトモーターショー、そして11月には米国で今年のトリを飾るモーターショーであるところのロサンゼルスモーターショーを視察した。

■独のEVシフトとディーゼル不正

印象は徹底的に両極端のモーターショー、フランクフルトは電動化花盛りであったのに対し、ロサンゼルスはガソリンがぶ飲みのSUVとピックアップトラックがまだ全盛、Tesla等の一部を除けば、圧倒的に“アメリカン”なショーであった。

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写真)ロサンゼルスモーターショー2017
出典)Los Angeles Auto Show2017インスタグラム

まず今回はそのフランクフルトからご紹介する。今年の大きなテーマは、ダイムラー曰く“CASE”、即ち、Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Share(シェア)、Electrification(電動化)の頭文字を取った4分野である。ダイムラーだけではなく、VWやBMWなど、ドイツ勢は特に“E”を前面に押し出したモーターショーとなった。具体的には、EV・PHVであり、足元でその開発スピードは急速に上がっている模様である。

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写真)フランクフルトモーターショー2017
出典)Internationale Automobil-Ausstellung

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写真)フランクフルトモーターショー2017
出典) Automobil-Ausstellung

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写真)フランクフルトモーター BMWのブース
出典)遠藤功治

そもそもドイツ勢をEVに走らせている元凶は、VWに代表される彼ら自身の“ディーゼル不正”であった。2015年に発覚したこの不正は未だに完全には決着をしておらず、今年8月に開催された“ディーゼルサミット”では、欧州域内で走行している500万台のディーゼル車のソフトを無償修理させられることが決議された。

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写真)自動車産業協会(VDA)会長のマティアス・ウィスマンとフォルクス・ワーゲン(VW)最高責任者(CEO)のマティアス・ミュラー  フランクフルトモーターショー2017にて
出典)photo by Matti Blume

ドイツ勢は元々、環境対策の切り札として、またトヨタを初めとする日本車のハイブリッド車に対抗する術として、ディーゼルエンジンに力を入れてきた。それがこの不正により欧米を中心にディーゼルへの不振が広がり、パリ協定の発効や世界的な環境規制重視の流れの中、イギリス・フランスが2040年までにガソリン車・ディーゼル車の販売を禁止するという宣言にまで至った。

フランスやスペインではディーゼル車の販売比率が、5年前の70%強から足元では50%以下にまで減少、そのドイツ国内でさえ、シュツットガルト(ダイムラーやポルシェの本社所在地)やミュンヘン(BMW本社所在地)市内での、ディーゼル車規制法案が出される羽目になった。

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写真)ドイツ メルケル首相とマティアス・ウィスマン自動車産業協会(VDA)会長
フランクフルトモーターショー2017にて
出典)Internationale Automobil-Ausstellung

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