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スパコン不正とNEDOとエルピーダ破綻の関係について

ども宇佐美です。
歴代M-1王者でパンクブーブーの陰が薄いのはなぜなのでしょうかね。

さてスパコンベンチャーの雄ことPEZYcomputingの助成金不正が話題なっていますが、私は2009年~2012年にかけてNEDOの電子情報技術開発部~電子・材料ナノテクノロジー部(通称「電材部」)の電子部門(現IOT推進部)で主査として部の取りまとめをする立場にありまして、同社にも少し関係したことがあるのでその当時のことを覚えている限りで記しておこうと思います。

具体的に私が関係したのは、PEZY社がNEDOに採択された5案件のうち一番初めの
<平成22年度イノベーション推進事業/3次元積層TSVメモリ技術を活用したメニーコアプロセッサの開発(助成期間:2010年度~2011年度 約1億100万円)>
の採択過程でした。

上記の「
イノベーション推進事業」は、いわゆるテーマ公募型の助成事業で、NEDOとして企業から幅広い分野の技術開発の提案を募り、その中の優れた取り組みを支援する枠組みでした。同事業の所管は技術開発部(通称「技開部」、現イノベーション推進部)で直接的には私のいた電材部とは関係ないのですが、その採択過程において各専門部が技術的に優れた提案を推薦し、その推薦を踏まえて最終的に技開部が第三者委員会の意見を聞いて採択案件を決定するという仕組みになっていました。

そんなわけで私がどう関与したかというと一言で言えば「PEZY社の提案を電材部として技開部に推薦するとりまとめをした」ということになります。業務プロセスとしてはいたってルーティンでして

①技開部からイノベーション推進事業に対する提案リストが来たので、電材部内で技術班と総括班で推薦案件を絞り込むための会議を開催した
②技術班からあがってきた推薦候補リストの中にPEZY社の提案があったが、ベンチャー企業としては資金需要が大きく、また、開発テーマも挑戦的だったので若干不安があり、技術班に背景調べるよう指示をした
③すると技術班から「PEZY社はエルピーダの支援を受けているようだ」との報告が上がってくる。当時電材部としては三次元積層TSV開発プロジェクトをエルピーダと進めており、また同社は再建過程といえど相応の大企業でもあったため「エルピーダのサポートが付くならばやりきってくれるだろう」という判断で推薦を出すことを決める


というような流れだったように記憶しています。もしかして同じテーマ公募型事業の<
戦略的省エネルギー技術革新プログラム/バンプレス3次元積層技術を用いた省電力メニーコアプロセッサの開発>の推薦にも関与したかもしれませんが、恥ずかしながら一度推薦すると2回目は審査が甘くなるところがありましてその辺の記憶は定かではありません。

ということで私の記憶にあるPEZY社は「エルピーダの支援を受けてかなり挑戦的な技術開発に挑むベンチャー」というもので、採択時においては今随所でささやかれているような政治の影を感じた記憶は一切ありません。

ここからは推測になるのですが、おそらくはPEZY社はエルピーダからの何らかの形で開発受託を受けており同社の経営はエルピーダが破綻した段階で相当苦しくなったのではないかと想像するところです。実際不正がささやかれている「イノベーション実用化ベンチャー支援事業/超広帯域Ultra WIDE-IO3次元積層メモリデバイスの実用化開発」もエルピーダが破たんした翌年の2013年度の事業です

助成事業というのは「総事業費のうち一定の割合を補助する」という事業ですから、関連会社への架空の仕事の発注で総事業費を膨らまさすことで受け取る補助金をかさ上げしたのだと予測しています。

なおこれに付随する論点として「PEZY社は外注費の比率が極端に高く見抜けなかったNEDOは間抜け」ということが指摘されています。この点に関して一般論を申しますと、NEDOは元来ハードウェア開発に最適化した組織となっており、ソフトウェア開発がメインのプロジェクトはしばしば人件費単価が直接的に助成を受ける企業側と折り合わず外注に回すようNEDO側から指導することがあり、そのような場合外注費比率が高くなってしまいます。外注先は直接採択審査を受けるわけではないので、こういう場合事前審査は甘くなるのですが、最終的には事業終了後に厳しい確定検査があるので今回のケースが発覚したということなのではないでしょうか。

そんなわけで私としてはあまりこの事件を政治的な疑獄事件のように取り扱うようことは適切ではないと思っていまして、むしろ日本の電機産業の足腰が弱まっていく過程でエルピーダという柱が折れて資金繰りに苦しんだ関連ベンチャーが不正に手を染めてしまった、という種の話なのではないかと思っています。

ただ一部資金が幹部に私的流用されていたことも確かなようで、全容が発覚したら私が見当違いだったという可能性ももちろんありますが、斎藤社長の証言などを漏れ聞くにその可能性は低いんじゃないでしょうか。

ではでは、懐かしい話をしましたが、今回はこの辺で。


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