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特集:2018年の日本経済を予測する

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あっという間にもう師走。
そろそろ2018年の経済予測をまとめておきましょう。

結論から先に言ってしまうと、
「2018年の日本経済は悪くない」。

海外経済の堅調さに助けられて、輸出主導型の成長が期待できるでしょう。
内外の日程を考えても、国政選挙などの大きなイベントはありませんから、比較的静かな1年となりそうです。長年の政策課題に取り組むには、格好の1年となるのではないでしょうか。

本誌が経済ネタを取り上げるのは久しぶりです。本号では「使える図表」を多く載せてみたつもりです。読者のお役にたてば 幸いです。

●世界経済:「長期停滞論」からは底離れ

2018年の経済予測は、いつも通りIMFのWEO(世界経済見通し)から始めることにしよう。
直近の10月発表分のテーマは
”Seeking Sustainable Growth”(持続的成長を求めて)
で、題名からして先行きに強気な響きがある。

なんとなれば、年4回発表されるWEOは以下のように推移してきたからだ。

2017年7月
“A Firming Recovery”(確かさを増す回復)
4月
“Gaining Momentum?”(勢いがついてきた?)
1月
“A Shifting Economic Landscape”(移り変わる景況感)
2016年10月
“Subdued Demand : Symptoms and remedies”(需要不振:その症状と対策)
7月
“Uncertainty in the Aftermath of the U.K. Referendum”(Brexit後の不透明性)
4月
“Too Slow for Too Long”(かくも長き停滞)
1月
“Subdued Demand, Diminished Prospect”(需要の不振と期待の縮小)
2015年10月
“Adjusting to Lower Commodity Prices”(国際商品価格低下への調整)

こうしてみると、題名だけを見ても2016年春(かくも長き停滞)が景気のボトムであったように感じられる。
ちょうど石油価格(WTI)が1バレル20ドル台に落ちて二番底をつけ、日本では伊勢志摩サミットを控えて官邸で勉強会が行われ、クルーグマン教授などのノーベル経済学賞学者が招聘されて、「リーマン危機前夜」といった言葉が飛び交っていた時期だ(ついでに消費増税も延期された)。

この年、英国は国民投票でEU脱退を決めたし、米国は大統領選挙でトランプを選出した。あるいはローレンス・サマーズ教授の「長期停滞論」が説得力を持っていた。つくづく「夜明け前が一番暗い」というのは本当のことのようである。

各国別に見ても、ほとんどの国で2017年の成長率が2016年を上回っている。インドだけは例外になっているが、これはアングラマネー退治に、16年11月に「高額紙幣の流通停止」という荒療治を施した副作用。むしろポジティブな要素と言っていいだろう。



17~18年はそれまでとどう変わったのか。以下の3点を指摘できよう。

1.世界経済の成長率が、3%台前半から3%台後半になっている。
2.石油など資源価格の低下に歯止めがかかった。
3.貿易量の伸びが4%台となり、世界の成長率を上回るようになっている。

考えてみれば、来年はリーマンショックから10周年になる。
AC(After the Crisis)の時代もこれだけ時間がたつと、さすがにいろんなことが落ち着いてくる。もちろんBC(Before the Crisis)の世界経済と比べると見劣りするが、それでも最悪期は過ぎたと考えることができよう。2018年の世界経済は基本的に明るいのである。

●日本経済:分かりやすい「輸出主導型」回復軌道

海外の景気が良い、というのはもちろん日本経済にとって良いニュースである。以下に貿易と鉱工業生産のデータを並べてみた。この2つのグラフを比べると、日本の鉱工業生産(モノづくり)がいかに輸出と連動しているかがよくわかるだろう。そして昨年来の輸出の増加につれて、生産が年末に向けて駆け上がっていく様子が見て取れる。仮に経産省の予測通りになるとしたら(1)、今年12月の鉱工業生産指数は109.6となり、リーマン後の最高値を更新することになるだろう。

○貿易とモノづくりの関係



よく知られている通り、日本経済の貿易依存度はそれほど高くはない。
輸出入の合計を名目GDPで割った数値はざっくり25%程度であって、これは米国の約20%よりは高いが、中国の約30%や韓国の65 %、台湾の105%などに比べればずっと低い。そこで「日本経済はもっと内需、特に個人消費を伸ばさなければならない」と言われることがある。もちろん、それは望ましいことである。

ところが日本経済の場合、経済全体に占める製造業のプレゼンスが高く、しかも工業製品出荷額に占める輸出比率が高い。だから景気回復局面の多くは、どうしても輸出主導型となる。その点、AC(After the Crisis)の世界経済では、なかなか海外の需要にスイッチが入らなかった。それが今年になって、半導体関連を中心に外需が伸び始めた。2018年も輸出に牽引される局面が続くことだろう。

ちょうど今週12月5日に、恒例の日本貿易会貿易動向見通しが発表されている。(2)次ページにその概要をご紹介しておくが、2018年度の輸出は久々に80兆円台となり、2007年以来の高水準となる見込みである。

(1)「経産省の予想はいつも低めに外れる」という経験則があり、評判がよろしくない。
(2)http://www.jftc.or.jp/research/index2.html

○日本貿易会「貿易動向見通し」から



さらなる注目点は、18年度の経常収支が23.8兆円の黒字となることである。これまた2007年の24.3兆円に次ぐ既往第2位の水準。ほんの少し前まで、「高齢化の進展に伴って貯蓄の取り崩しが起きるから、日本の経常収支はやがて赤字に転じる」という予測 を聞いたものだが、来年度はGDP比4%以上の黒字となる見込みである。それくらい第1次所得収支が堅調で、「投資立国」となりつつある日本経済の姿が浮かび上がってくる。

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