
Kyrylo Glivin / Shutterstock.com
トランプ大統領は現地時間6日、エルサレムをイスラエルの首都と正式に認めた上で、米大使館をエルサレムに移転する方針を正式に表明した。エルサレムは、イスラム教徒、ユダヤ教徒、キリスト教徒がそれぞれ聖地と位置付けており、国際的にはイスラエルの首都とは認められていない。ロイターでは、首都認定を避けてきたアメリカの数十年に渡る方針を転換するものとしてこの動きを報道している。トランプ氏の支持基盤である保守系共和党員へのアピールとのことだが、中東での新たな火種となりかねず、国際社会からは非難が相次いでいる。
◆歴史的対立
イスラエルのハアレツ紙では、今回のトランプ氏の意志表明を受け、エルサレムをめぐる歴史的紛争を振り返っている。キリスト教徒にとってエルサレムはキリストが死を遂げた場所であり、重要な聖地である。一方でイスラム教徒にしても、預言者モハメドの旅の目的地である「最も遠いモスク」の所在地として、エルサレムは聖地になっている。また、ユダヤ人もエルサレムの「神殿の丘」全域を聖地と捉えており、3つの宗教が同じ都市を重要視している状態だ。過去には中東戦争の原因ともなっている。イスラエルとパレスチナは25年以上に渡って交渉を続けているが、合意の目処は立っていない。ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)によると、イスラエル政府は1948年以来エルサレムに所在してきたものの、米国は国際社会の認識と足並みをそろえ、エルサレムをイスラエルの領土としては認めてこなかった。米大使館がエルサレムに移転すれば首都であると認めることになり、従来のアメリカ政府の立場とは一転する形になる。