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エルサレム、アメリカの立場、世界の立場

エルサレム問題といっても大半の日本人には、だから何、というのがせいぜいではないでしょうか?多くの方が中東問題そのものに無縁だと思います。せいぜいイスラエルがいつも何かしでかしているというイメージだけだと思います。この問題はまずは一度、根本に立ち返えらないと分かりにくいかと思います。

また今回もメディアはトランプ大統領がまたしても無謀なことをしでかした、というトーン一色になっています。ここは一歩戻って考えてみましょう。

エルサレムというのは聖地であり、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教が共にシェアする場所であります。宗教に格付けはありませんが、ユダヤが一番古く、次いでキリスト、そしてイスラムになります。次にユダヤ人ですが、これは一般的には民族ではなく、ユダヤ教徒のことを指します。そのユダヤ教徒は世界に1400-1500万人程度しかおらず、そのうちの約4割がイスラエルに、約3割がアメリカに、そして残りがかつての「死の商人」として世界中に散らばっています。

ユダヤ教徒は改教さえすれば誰でもなれますし、ユダヤ人と結婚すると大抵は改教してユダヤ教徒になります。私も三角の帽子(キッパ)をかぶって結婚式に参列したことがありますが、知り合いが改教して突然、ユダヤになりました、というのも不思議な感じがします。

さて、トランプ大統領がイスラエルにあるアメリカ大使館を事実上の首都のテルアビブから政府機能があるエルサレムに移し、エルサレムをイスラエルの首都と認識する発表しました。(国交を樹立するようなイメージだと思います。)エルサレムについてはその統治についてユダヤのイスラエルとイスラムのパレスチナで長年、様々な調整が行われてきましたが、一向に解決しません。

アメリカの頭脳(=政治、経済)は歴史的にユダヤと一心同体的なところがありましたので1995年にアメリカ政府としては大使館をエルサレムに移すことを決定していました。ただ、歴代大統領がそれを実行できずに今に至っていました。特にオバマ前大統領はイスラエルと決定的な不仲にありました。イスラエルのネタニヤフ首相にとってトランプ政権誕生は嵐がやみ、春の雪解けがやってきた、ぐらいの感覚のはずです。

トランプ大統領は娘婿がユダヤで政権幹部にもユダヤ人が多いということもあり、イスラエルとユダヤに対して特にひいき目であることは事実であります。トランプ大統領にしてみれば声明の通り、「本件はもとから決まっていたことを実行するまで」ぐらいの感覚かと思います。

この決議事項の実行に対してイスラム諸国のみならず、欧州各国からも激しい非難が押し寄せており、国際社会でのアメリカの孤立化がより進む公算が出てきてしまいます。つまり聖地エルサレムは誰のもの、に対してイスラエル=ユダヤのもの、という色付けにイスラム教徒や一部キリスト教徒から厳しい反発がある、というのが今回の話であります。

ではこの先、どうなる、といえば、アメリカ大使館=イスラエルの支配するエルサレムとなればテロなど不和がまず浮かび上がりますが、私はそれよりもアメリカがあまりにも独善的な政治判断にかじ取りを切り続けることで外交能力が急速に低下し、「アメリカ外交一人旅」になるような気がします。もちろん、トランプ大統領が君臨する限りにおいて、という時限つきでありますが、その間に世界がアメリカ外しの枠組みを作り上げてしまえば後になって改心したアメリカがわがままを言っても聞いてもらえない、あるいは厳しい条件を課せられ、いわゆる「失われた〇年」が生じるのではないでしょうか?

イメージ的には中国やロシアのような「他国の顔色をうかがわない大国主義」というスタンスに近いと思います。それでもアメリカは世界をリードするのだろうと考えますが、テロ対策だけは十分にした方がいい気がします。それ以上にトランプ大統領自身が身の回りの警戒をより厳しくしないと相当危険な状態に陥ると思います。

宗教は相互理解がしにくい問題だけに本件による世界のテンション(緊張感)はぐっと上がると思います。日本の外交的立場は本件からはやや距離感がありますが、アメリカの衛星国的なイメージを持たれている日本が解き放たれた風船のようなアメリカに今まで通り「外交はアメリカ第一主義」を引き続き貫くのか、十分な考察が必要になってきたかと思います。

では今日はこのぐらいで。

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