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とにかく大きな数字を作りたがる事業者にどう対峙すべきか?

さて、本日は先週のカジノ系定例会合でご紹介した、カジノ業界で起こっている最新の論議をご紹介。以下、NYupドットコムからの転載。

なぜNY州カジノの売上は予測を下回っているのか?州政府が調査も?
Why are new Upstate NY casinos falling short on revenue? State may investigate
http://www.newyorkupstate.com/casinos/2017/11/why_are_new_upstate_ny_casinos_falling_short_on_revenue_state_may_investigate.html

There seems to be no doubt that the three new "Vegas-style" casinos that opened in Upstate New York in the past year are not yet earning as much in gaming revenues as they had predicted. The question is: Why not?

この1年で州北部に開業した3つの新しい「ラスベガス型」カジノが、彼らが当初予測した売上を達成する見込みはほぼなさそうである。そこで疑問となるのは「何故なのか?」である。

NY州では、昨年の12月に新しい統合型リゾート(上記記事のいうところの「ラスベガス型カジノ」)が開業し、おおよそ一年がたちます。一方で見えてきたのが、この1年の営業実績において当初事業者が予測していたゲーミング売上がどうやら達成できなそうであるということ。しかもそれが、当初予測値の7割を切ってしまうような、かなりの大幅な下ブレとなっているということであります。

NY州 Tioga Downsカジノの業績(開業一年目予測売上:1億300万米ドル)
NY

私自身も市場予測を専門としている人間として、予測はあくまで予測でしかなく、未来を的中させる「予言」ではないことは重々承知であり、だからこそ各種数字を導き出す「過程」の妥当性の検証がかかせないわけです。

ただ、これは以前も書いた事があるのですが、一方のカジノ事業者が発表する数字というのは、その後の入札等を優位に進めるためにあらゆる予測値などを大きめに見せてゆく傾向があって、これは上記のような事情とは全く別次元のところから生まれてくるもの。それが現在、世界で最新の統合型リゾートが開業したばかりのNY州で表面化し、地元メディアを中心に物議をかもしているわけで、実は日本でも同様の傾向は既に見え始めています。

【参照】日本のカジノ開発に一兆円を投じるか? 答えは「Yes」
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/8268483.html

言い方を変えるのなら、事業者にとってこの種の予測値のブレというのは、入札競争を勝ち抜くための一種の「方便」であって、それらを織り込み済みで数字を掲げるかぎりにおいて、それ程大きな問題となるものではありません。一方、それで大きな被害を受けるのが統合型リゾートを受け入れる地元側。地域は事業者が挙げて来た業績予測を元に周辺インフラの整備をします。

特にカジノの場合は、そこから生まれる将来のゲーミング税収入を「あて」にしながら、行政としても様々な周辺整備事業を進めてゆく場合があり、その「あて」が外れてしまった場合の被害は甚大なものとなります。

例えば我が国の場合、大阪などは当初事業者が挙げていた「1兆円投資」という甘言をそのまま受け止め、夢洲などというトンデモナイ広大な用地を開発地として設定したわけですが、様々な法的要件がより明確化してくると共に事業者のいう投資規模は既に半減し、これから更なる現実的な検討が始まるにつれてもっと下がってゆく可能性がある。

夢洲の場合は、今は未整備の鉄道敷設が区域の観光開発の前提となっていますから、集客予測が外れてしまった場合、この路線の採算が合わなくなる。はたまた、それが同じく夢洲で2025年に計画している万博誘致と絡み合って…と、大変なことになってくるわけです。


【参考】IR 前のめり大阪府・市 万博前開業厳しくhttps://mainichi.jp/articles/20171130/k00/00e/040/301000c
府市には大阪開催を目指す25年国際博覧会の前に、IRを確実に開業したい意図がある。IR事業者が整備する宿泊施設や「MICE」と称される大型展示場に加え、夢洲へのアクセスとなる鉄道整備など、万博との相乗効果で湾岸エリア活性化が期待できる。経済界も、巨額の資金負担が必要な万博の実現には「IRと絡めて集金するしかない」という思惑がある。

先週開催された会合内では、NY州などで表面化しはじめているこの辺の問題を鑑みると、当初予測値を大きく下回る業績となった事業者には課徴金の支払いを設定するなど現実的な対応を考えなければ「言ったもん勝ち」の状況になってしまうのではないか?などと意見も出始めているところ。我が国の統合型リゾート導入にあたっては、まだまだ考えなければならないテーマが沢山ありそうです。

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