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"不正発覚"の日産を投資家が評価するワケ

三菱UFJモルガン・スタンレー証券 シニアアナリスト 杉本 浩一

■一過性で経営へのダメージ自体は大きくない

今年10月、日産自動車は116万台の大規模なリコールを届け出た。社内で認定を受けた検査員以外の社員が完成車検査に従事していたという。リコール費用は250億円を超える見通しで、同月に発売した看板商品、新型の電気自動車(EV)「リーフ」の販売にも影響は出るだろう。

とはいえ、リコールの影響は一過性で経営へのダメージ自体は大きくないだろう。250億円という費用も毎年ならば問題だが、今期限りのもの。2016年度に8647億円の経常利益を叩き出した日産からみれば、取り立てて大きな金額とは言えない。

リーフはグローバル商品だ。仮に国内販売が躓いたとしても、海外で販売を拡大できれば全体として大きな問題ではないだろう。規制が厳しくなる分、EV需要は、日本よりも欧州、中国、米国の一部などで拡大傾向にむしろ弾みがつきそうだ。

■EV事業の一層の強化は正しい

欧州では排出ガスの超過に対する罰金が19年から跳ね上がる。現在の罰金は1g/kmのCO2超過に対して1台当たり5ユーロ(2g/km超過:20ユーロ)だが、19年以降は1g/km超過ごとに1台当たり95ユーロ(2g/km超過:190ユーロ)となる。21年時点でこの罰金から逃れられるのは、EVに積極的なルノー・日産連合、ハイブリッド車で先行するトヨタ自動車、19年以降は全車種をEVやマイルドハイブリッド車等にすると発表したボルボの3社との試算がある。

中国では各自動車メーカーに一定量のEV販売を義務付ける規制が19年からスタートする。米国のカリフォルニア州等でも本年からEVに対する規制が大幅に強化される。

旧型リーフの収益は十分とは言い難いが、それでも他社に先駆けてEVの量産に成功したことは日産にとって誇るべき実績である。EVの普及にはまだまだ課題が多く、日産も投資回収に手間取るかもしれないが、EV事業の一層の強化は正しい経営戦略と考えられる。

(三菱UFJモルガン・スタンレー証券 シニアアナリスト 杉本 浩一 構成=衣谷 康)

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