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姉妹都市提携解消と国際連盟脱退 ~歴史に学ぶ~

 米サンフランシスコ市のエドウィン・リー市長が11月22日、市内に設置された慰安婦を象徴する女性像について、民間団体からの寄贈を受け入れるとした同市議会の決定を承認する文書に署名しました。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171123-00050002-yom-int

 これに対して同市と姉妹都市提携を結ぶ大阪市の吉村洋文市長は、「提携解消を申し入れる」とするとしており、ほぼ姉妹都市提携は解消されるもの思われます。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171124-00000019-asahi-pol

 勿論、大阪市の対応は大阪市が決めることでしょうし、このサンフランコ市の決定は、複数国家間で事実関係に対して対立している問題について、一方当事者のみの主張を受け入れて対立を煽るもので、それに対する抗議の意を表明するのは、私も当然だと思います。

 しかし、だからと言って姉妹都市提携を解消してしまう事は、本当に日本にとって良いことなのか、本当にこの問題についての日本の主張を世界各国に受け入れてもらう事にとってプラスになるのか、よくよく考えてみるべきことだと思います。

 歴史を振り返れば、1933年、満州事変の後、清朝最後の皇帝溥儀を擁して事実上の傀儡国である満州国を設立した日本に対し、リットン調査団は「日本の満州国における特殊権益は認めるが、満州事変は正当防衛には当たらず、満州を中国に返した上で、日本を含めた外国人顧問の指導下で自治政府を樹立するべき」とするリットン報告書を国際連盟特別総会に提出し、採択されました。

それに対して日本は、全権代表の松岡洋右が国連脱退を宣言し、国民の拍手喝采の下国連常任理事国の立場をかなぐり捨てて孤立の道を歩んでいきます。

 この時の満州国設立に問題があったことはリットン報告書の通りでしょうが、日本の視点から見れば他の帝国主義列強と同じことをしたにすぎず、日本に、一分の理がなかったわけではありません。

そしてその観点から冷静に見てみれば、実はリットン報告書は日本の権益と主張をそれなりに認めたもので、報告書に従って満州国を自治政府としたうえで外国人顧問団を主導して事実上の影響下におき、国際連盟常任理事国という立場を保持しつつ、国際連盟の場で粘り強く自らの立場を主張し続けた方が、当時の帝国主義的観点からは、恐らくは日本の国益にかなっていたものと思われます(繰り返し、現代的観点でそれが良かったといいたいわけではありません。)。

 「断交」は、その一瞬は相応の高揚感も格好の良さもあるものの、落ち着いて考えると実は、国際社会における自らの主張の場をなくし、相手の主張のみがある種の正当化根拠をもって世界に向かって発信され、それによって更なる孤立を招き、トータルで見て国益を損なう可能性の高いものなのです。

 自らの主張を相手に受け入れてもらうためにこそ、一時の感情にとらわれず、友好関係を保持し、粘り強く主張し続ける冷静な判断が必要だという事を、私達は歴史から学ぶべきだと思います。

 歴史へのこだわりからなされたと思われる姉妹都市提携解消が、かつての日本の国際連盟脱退と、同じではないにせよ、似通った道をたどらない事を祈ります。

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