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「赤ちゃん連れて議会出席」の"がっかり感”

熊本市議会で女性市議(42)が、生後七ヶ月の乳児を連れて本会議に出席しようとした問題が、大きな議論を呼んでいます。諸方面から叱られるかもしれませんが、私には今回の件、残念ながら、少々“がっかり感”がありました。「議員としての覚悟はどこにいった?」と。

最初は「おっ!」と思いました。それなりの理念あり、作戦あり、懲罰も覚悟の上、一石を投じるために強行突破したのかな、と。そういう手法には批判もあるでしょうが、政治家は役人ではなく、ルールを守ればよしという存在ではありません。時にはルール無用の乱戦もあり。「それこそが政治」であり、私はそういう政治家が好きです。

しかし、新聞などの報道、テレビやラジオのインタビューを見る限り、計算ずくには見えず、覚悟も感じられません。「パフォーマンスは良くない」という批判もありましたが、むしろパフォーマンスの方が良かったのでは。成り行きまかせの域を出ていないように見えます。

議会に赤ちゃんを連れて行くのが良いのか悪いのか。それは各議会がケースバイケースで決めればいいと思います。子供は泣くことも騒ぐこともある。会議にも形式的なもの、実質的なもの、いろいろある。丁々発止の論戦のさなかに泣かれては困るでしょうし、議員がそろいさえすればOKという場なら許容されるかもしれない。

熊本市議の議員報酬は月額67万円余り。経済的にはベビーシッターや民間施設も利用できるでしょうから、ただ個人的に困って行動したわけではないでしょう。「女性議員の活躍のため託児所が必要だ」「子供連れの出席も認めるべきだ」という、漠然とした思いはあったのでしょう。しかし、「政治家として」動いた形跡はなさそうです。

報道によれば、この市議さんは議会事務局に相談やお願いをしていたそうです。大事なことを「議会事務局にお願いする」というのは、議会職員がやることであって、議員の行動とはいえません。議会には自治・自律の原則があります。議会のことは議会が決める。事務局は決定に従って事務的に動くだけです。そうあるべき、なのです。

「一人会派のため議会運営委員会に出席できず、主張できなかった」という解説もありますが、公式の会議に出席できなければ主張できないのでしょうか。また、公式の会議で発言した程度で実現するような簡単な問題なのでしょうか。水面下での働きかけや根回しは、やっていたのでしょうか。

本気で後進のため先鞭を付けたいという気持ちがあったなら、説得すべき相手は他の議員たちです。議長、副議長を説得する。市長与党系の会派を動かす。市長野党系をとりまとめて要求する。それでもダメなら街頭に出て、演説し、チラシを配り、世論を盛り上げて議会が動かざるを得ないように仕向ける。その段階で、赤ちゃんを連れて議会に強行出席するのも、あり。それこそが「議員」だと思うのです。

一般市民や有識者なら「事務局に頼んだのに、してくれなかった」でいい。しかし、選挙で選ばれた人間は別です。議員は「してもらう」存在ではありません。制度を作り、ルールを変えるのが役目です。「してもらう」のではなく、「する」のであり、「させる」のが議員です。

「頼んだのにやってくれなかったので、仕方なくこうなった」ではなく、むしろ「頭の固い連中を議論に巻き込むために、ひと騒動を起こしてやる!批判も懲罰も覚悟の上だ!」ということであってほしかった、と思うのです。

とはいえ、これだけ大きなニュースとなり、国民的な議論も呼んだわけですから、今回の行動は意図せざる効果を生んだとも言えます。けがの功名、でしょうか。偶発的とはいえ、それも政治、それこそが政治、ということかもしれません。

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