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日本版ブラックフライデー 小売業界の足並みが揃わない理由

【ブラックフライデーは年末商戦の前哨戦として根付くか】

 毎月末の金曜日、サラリーマンに早めの退社を促し、冷え込んだままの個人消費を上向かせようという「プレミアムフライデー」は、国(経済産業省)や経済界(経団連)の掛け声倒れで一向に定着していないが、11月の最終金曜日はもうひとつ消費イベントが重なっている。日本版「ブラックフライデー」だ。

 もともとブラックフライデーはアメリカ発祥の大規模セール。米小売業界が11月第4木曜日の「サンクスギビング・デー(感謝祭)」の売れ残り商品を翌日に大幅値下げして一斉にセールすることから、いつしか“小売店が黒字になる金曜日”と呼ばれ、一大イベントとなった。

 そんな米国の盛り上がりにあやかろうと、日本でも昨年から突如、ブラックフライデーを前面に打ち出してセールを実施する大手小売店が出てきた。

 もっとも積極的なのはイオンだ。昨年はイオンモール各店のあらゆる売り場で「衝撃の3日間」と題するブラックフライデーを告知する黒いPOP広告を貼り、食品や日用雑貨、衣料品、家電などを特価で販売。期間中の売上高を20%伸ばしたという。

 そして、今年は前日の23日(木曜)が祝日のため、フライングスタートと称して1日前倒ししてセールを実施。高級ブランド品やファッションアイテムなど超目玉商品を多数揃える。

 また、今年から百貨店業界もブラックフライデーに参戦する。松坂屋名古屋店では全71ブランドでセール品を用意し、19ブランドの売り場では黒い袋の「ブラック福袋」を販売する。まさに正月セールさながらの雰囲気だ。

 だが、ブラックフライデーに“乗り気”な小売店はまだ一部で、消費喚起のうねりが日本中に広がるには程遠い状況といえる。小売業界の足並みが揃わないのはなぜなのか。『月刊BOSS』編集委員の河野圭祐氏はこう見る。

「ブラックフライデーに熱心なところは、クリスマスや年末年始商戦の前哨戦として、お値打ち商品で他社より早く消費者を刈り取っておきたいという思惑があります。

 その一方で、クリスマスや正月など通常より割高でも商品が売れる定番行事を控えて、わざわざ米国の真似をしてセールをする必要がないと考える小売業もあります。

 たとえ歳末セールを前倒しした“在庫一掃”の目的があったとしても、正月を過ぎてくると冬のクリアランスセールでイヤでも在庫処分の時期に入っていくわけですしね」

 そもそも近年は、ネット通販でも大掛かりな特売セールが頻繁に行われているため、リアル店舗のセール期間をめがけて店舗に足を運ぶ顧客も少なくなった。事実、ブラックフライデーの本場であるアメリカでは、今年の年末商戦の支出予定額で実店舗よりオンラインのほうが多くなるとの予測を出す調査機関もあるほどだ。

「共働き世代が増えているいま、生鮮食品やデイリー食材ならともかく、その他の商品は手軽なネット通販のセールやポイント還元情報などをチェックして購入している人が圧倒的に多い。ブラックフライデーの主戦場も、今後は店舗からネットに移行していくでしょう」(前出・河野氏)

 なによりも、消費意欲をかきたてる家計が潤ってこなければ、ブラックフライデーもプレミアムフライデーと同様、単なる“イベント疲れ”で終わってしまうことは想像に難くない。

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