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ピンハネ率93%・核燃料プールに潜る外国人労働者-重層的下請構造で使い捨てられる福島原発労働者

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 一昨日(8月4日)、日弁連主催の「原発労働問題シンポジウム」に参加しました。とても内容の濃いシンポジウムでしたが、なかでも福島原発労働者からの相談活動を事故前から日常的に取り組まれている福島県いわき市の渡辺博之市議による「原発労働問題〜現場からの報告」は、驚きの連続でしたのでその要旨を紹介します。(by文責ノックオン。ツイッターアカウントはanti_poverty)



 福島第1原発の労働者の多くが宿泊する福島県いわき市で市議会議員をやっています渡辺博之です。



 上の図は私が作成した「原発の重層的下請構造の構図」です。



 東京電力から日立や東芝などプラントメーカーなどへの発注のほか、「東電御三家」と呼ばれている「東電工業」「東京エネシス」「東電環境」という2次下請の企業に発注されます。この「東電御三家」の下に、3次下請となる「常駐下請」の企業がそれぞれ20社ぐらいずつぶら下がっています。



 さらに、その下請として、地元の専門業者が4次下請となります。4次下請は、パイプやバルブ、電気など、それぞれ固有の技術力を持っている業者で、ある程度地元では知名度がある企業です。



 この4次下請の専門業者が、5次下請となる「派遣会社」――「派遣会社」と一応呼んではいますが実態はまともな派遣会社からすれば一緒にしてくれるなと怒り出すような違法な「人夫出し業者」と言うべきものです――この人夫出し業者(派遣会社)を経由して、必要なだけの作業員をかき集めているのです。



 さらに、人を集めることができなければ、その下に、6次、7次の下請となる人夫出し業者(派遣会社)から作業員を集めることになり、場合によっては20次下請ぐらいまでの重層的な人夫出し業者(派遣会社)がからんでくることもあります。



 5次下請以下の人夫出し業者(派遣会社)になると、下請の順位はその都度入れ替わったりしますし、派遣会社から派遣会社への多重派遣というのも日常的に行われてます。

 実際の労働者は、5次以下の下請となる人夫出し業者(派遣会社)に雇われていたとしても、書類上は「常駐下請(3次か4次下請)」の社員ということにされています。しかし、給料は実際に雇われている4次下請以下の人夫出し業者(派遣会社)から受け取ります。



 東電からは労働者の日当が多い場合1人10万円ぐらい出ていますが、この重層的下請構造の中で中間搾取され、4次、5次下請労働者で日当8千円ほどにされ、さらに末端の原発労働者では私が知っている中で最も低い日当は6千500円程度でした。底辺の原発労働者の実態は、日当10万円から9万3,500円も中間搾取され、ピンハネ率は93%で9割を軽く超えているのです。



 原発労働者には、大きく分けて技術者とそれを支える簡易作業労働者がいます。技術者は継続して雇用されるわけですが、簡易作業労働者は必要なときだけ雇用されるという不安定な状態に置かれます。



 とりわけ簡易作業労働者が大量に必要とされるのは、原発の定期検査のときです。原発1基の定期検査で、4千〜5千人が必要とされるわけですが、たとえば福島原発の立地町の一つである双葉町のすべての労働人口でも4千人程度ですからとても足りませんので、いわき市など周辺地域からも多くの労働者が駆り出されることになるのです。そして、必要なときだけ多数の原発労働者を集めるために重層的下請構造が利用されているのです。



原発下請労働者の社会保険未加入問題



 こうした重層的下請構造の中で、福島原発事故が起こる前から、私のところには多くの原発労働者から様々な相談が持ち込まれてきました。一番多い相談は、健康保険や雇用保険などの社会保険未加入問題です。一例を紹介すると、失業して生活ができないと相談に来た30歳代の方ですが、原発下請労働者として1年間働いていたにもかかわらず、雇用保険未加入で失業給付を受給していませんでした。失業後も雇用保険に加入できるので失業給付の受給手続きをすすめたのですが、その方は「これから先も原発で働くかもしれない。手続きをすれば、会社から悪く思われ再び原発で働くことができなくなる」と拒否されました。その方は健康保険証も持っていませんでした。



 また別の原発派遣労働者の方は、社会保険未加入問題について話をすると、「最初から社会保険に加入しないという条件で原発で働かせてもらっているのに、文句を言う奴はとんでもない」と語るなど、仕事がなかなか見つからない人にとって、社会保険に加入させてもらえなくても仕方がない、原発労働の多重派遣の中で賃金が中間搾取されても仕方がない、働けるだけまだましということにされてしまっていて、貧困問題は原発労働においても劣悪な労働者状態を蔓延させる要因になっています。



 こうした相談を受けて、東京電力に対し、原発下請労働者の社会保険未加入問題の実態調査と改善を求める申し入れなどを昨年2月にも実施しましたが、東電側は「下請・孫請会社の調査は難しい」、「プライバシーの問題もあり実態把握が困難である」などと繰り返すばかりで問題解決をはかろうとする姿勢は一切見られません。

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