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物言えぬ入院中の吉田福島第1原発前所長に責任を押しつける東京電力の事故調査中間報告書

東京電力福島第一原子力発電所で3月の事故発生以来、収束作業の指揮に当たり、病気療養のために、12月1日付けで交代した入院中の吉田昌郎前所長の病状について、枝野経済産業大臣は、2日の閣議のあとの会見で、放射線被ばくによるものとは考えにくいという見方を示しました。

この中で、枝野経済産業大臣は「吉田前所長の病気と、放射線被ばくとの因果関係は、専門家の判断が必要だとして、東京電力に確認させていたが、昨晩、報告があり、吉田前所長の病気は被ばくとの因果関係は考えにくいという見解が示された」と述べました。

ネット上では、吉田前所長の病気が放射線由来ではないかという言説が広まっていますが、その可能性は私も低いと思います。だからこそ、国民が安心できるように、吉田氏の病名や病態を早く発表すべきだと思います。

だって、さんざん、どれだけ放射性物質が拡散しても「ただちに健康に影響はない」と言い続けた枝野さんが今、東電からの報告をノーチェックで垂れ流す会見をしても、信用性はゼロに近いのですから。

真面目に賠償する気のない東京電力の緊急事業計画を認可して、1兆円を出してやる枝野経産相の目は節穴か!

東京電力福島第1原発の吉田昌郎所長

東京電力福島第1原発の吉田昌郎所長(産経新聞11月29日より)

吉田前所長は大量吐血をしたという話もあり、今、反論できる状態にないのですが、東京電力が行った、福島第一原子力発電所の事故調査の中間報告で、事故発生日の夕方、1号機で唯一 稼働できる非常用の冷却装置を、運転員の判断で停止したのに、吉田所長らは、深夜まで、冷却装置が動いていると誤って認識していたと書かれていることが分かりました。

同報告書は12月2日午後公表されます。

安全上 重要な情報を共有できなかったことが、事故対応の遅れにつながった可能性があるということになりそうなのですが、事故隠しに奔走してきた東電がまたまた、今度は吉田前所長らに責任を押しつけているのではないかという疑念がわきます。

「黒塗り手順書」やっと公開 東京電力はほとんどブラック企業 いよいよ司直のメスを入れることが必要です


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福島第一原発の中で最も早く深刻な事態に陥った1号機では、事故が起きた3月11日の午後6時すぎ、電源が失われても蒸気を利用して原子炉を冷却できる「非常用復水器」という装置を、現場の中央制御室にいた運転員がいったん動かしたにもかかわらず、すぐに停止させたことが分かっています。

ところが、事故対応の指揮を執っていた、当時の吉田所長ら幹部がいる免震棟や、東京電力本店では、深夜まで、冷却装置は動いていると誤った認識を持っていたことが、東京電力の事故調査の中間報告で主張されています。

誤った認識を持った理由について、中間報告では、原子炉の水位が燃料よりも上にあるというデータが水位計で得られたためとしています。水位計は当時、正しい値を測れなくなっていたとみられ、誤った情報を基に、誤った認識をしていた可能性があります。

そうすると、水位計が正しい値をはかれなくなった、それほど原発の安全システム全体が地震にもろかったことが問題の原因だと思うのですが、東電はそうは言いません。

今回の津波について、上の記事にあるように、東電には予測できていたのにその対策をしていなかったという根本の問題がこれでは見えなくなってしまいます。

東京電力 15メートルの津波を2008年に試算 「想定外」ではない 福島原発事故は天災じゃなくて人災3

(毎日新聞 「東京電力 津波に襲われる福島第1原発の画像公開」 より)

そして、さらにこの原発事故を現場のミスに押しつけてしまおうという報告書は、下の二つの記事にあるように、津波以前に地震で冷却装置が停止したことが福島原発事故の真の原因である事を押し隠すものです。

津波なら理論上は防潮堤という手もありえますが、福島原発事故の原因が地震ということになれば、地震国日本全部の原発の存在が許されなくなるので、東電はそこだけは死守しようとしています。

日本経団連の米倉会長が福島第一原発の事故について「千年に一度の津波に耐えたのは素晴らしいことだ。原子力行政はもっと胸を張るべき」「(苦笑)と言っていましたが、今では、福島原発は津波にも地震にも耐えていなかったことがわかっているのです。

福島原発事故 冷却機能停止→炉心溶融・メルトダウン 原因は津波ではなく地震 受電鉄塔倒壊と復水器停止


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東京電力の解析では、1号機は、最も早いケースで、地震発生の4時間後の午後7時ごろには、水面から露出した 燃料の損傷が始まったと推定され、その後、大量の水素が発生して、翌12日に水素爆発を起こしています。

中間報告によりますと、吉田所長らが燃料の損傷の可能性を初めて認識したのは、地震発生から8時間以上たった午後11時ごろ、原子炉建屋の放射線量の上昇を把握してからで、安全上重要な冷却装置の稼働状況を、運転員と幹部との間で共有できなかったことは、事故対応の遅れにつながった可能性があるというのです。

吉田氏は末尾の新聞記事のように、東電本店の注水停止命令を聞かず、注水を続けました。東電にとっては目の上のたんこぶのような存在でしょう。どうも、東電の事故隠しは、事故後内部から本社に反抗してやっかいな存在だった吉田氏になにもかもおっかぶせてしまおうということになってきたようです。

私は、その吉田氏も原子力村の一員であり、津波や地震の被害や原発事故の可能性を過小評価してきた責任があると考えているので、吉田所長英雄説は採りません。

東日本大震災 福島原発事故は天災じゃなくて人災2 東京電力・経産省も知っていた大津波

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しかし、功罪両面はあるとは言え、これまで奮闘してきた吉田氏を捨て駒のように扱う東電の体質には呆れてしまいます。

国会も国民も、このような事故報告を検証なしに真に受けることがあってはならないと思います。

ご自身やご家族のためはもとより、原発事故究明のための重要な証人として国民のためにも、吉田氏がお病気から回復されることを心からお祈り申し上げています。

ストレステストに根本的欠陥 原発の安全性に対するテストになっていない以上原発再稼働は許されない

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